「慢性頭痛を理解するために」 | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 「健康的な生活」を送るためには、「規則正しい生活を行って、食事をバランスよく摂り、睡眠を十分にとり、姿勢を正しくし、リラックスするように」といったこのような”至極単純な・当たり前のような”「生活指導」が必要とされます。
 そして、脳のなかに異常のない「慢性頭痛」は「健康的な生活」を送ることができないことに根本的な原因があり、”慢性頭痛”とは、「不健康な生活を送っている」という生体の警告の信号”サイン”と考なくてはなりません。先述のような指導内容は、すべてミトコンドリアに関連したものです。
 このような指導は、慢性頭痛の改善だけではなく、健康と美容、さらに生活習慣病予防、そしてアンチエイジング、認知症予防へと繋がっています。


 慢性頭痛のなかの片頭痛は、ミトコンドリアの機能障害による頭痛です。そして、慢性頭痛のなかの緊張型頭痛と片頭痛は一連のものであるという機能性頭痛一元論という考え方が存在します。
 こうしたことから、日常的に感じる極く軽度の頭痛は、こうした「規則正しい生活を行って、食事をバランスよく摂り、睡眠を十分にとり、姿勢を正しくし、リラックスする」 ことが出来ないような生活習慣から端を発して生じ、これらの生活習慣が次第に増悪し、さらに重畳することによって、片頭痛へと進展していくものです。 このようなことは、これまで、再三に渡って以下で述べてきたことです。


  「慢性頭痛を理解するために」・・慢性頭痛を起こす各種の要因 
    http://taku1902.jp/sub424.pdf


 このように、慢性頭痛とくに緊張型頭痛・片頭痛は謂わば生活習慣病ともいえる頭痛と考えるべきものです。
 「規則正しい生活を行って、食事をバランスよく摂り、睡眠を十分にとり、姿勢を正しくし、リラックスする」という生活指導の内容をそれぞれ述べてきましたが、片頭痛ではこのなかで「食事をバランスよく摂ること」が如何に重要であるかが理解されたはずです。
 この食事指導が、片頭痛治療のすべて、といってよいくらい重要なものです。


 しかし、学会を主導される方々は、このような考え方は一切されることはなく、ただ単に、マグネシウム、ビタミンB2の補充を勧めているだけです。
 このことは、学会を主導される方々とは、片頭痛をミトコンドリアの機能障害による頭痛とは考えないことに根本的な相違点があります。
 片頭痛をミトコンドリアの機能障害による頭痛とは考えないことから、「体の歪み(ストレートネック)」は一切頭痛とは関係なしとされます。
 ミトコンドリアの働きは、生活習慣および外部の生活環境によって左右されます。とくに食事の内容によって大きく影響を受けています。
 そして、「規則正しい生活」に関連した「ホメオスターシス」の関与を念頭に置かないことから、慢性頭痛の起点ともなる「日常的に感じる極く軽度の頭痛(緊張型頭痛)」がこの「ホメオスターシスの乱れ」から起きるはずでありながら、片頭痛と緊張型頭痛はまったく別個の頭痛とされていることから、「日常的に感じる極く軽度の頭痛(緊張型頭痛)」と片頭痛の関係が断ち切られることによって、片頭痛の発症様式が極めて曖昧模糊となってしまいます。
 このような要因すべてを否定されることから、片頭痛という頭痛は、生活習慣・環境要因がすべて念頭に置かれることがないため、単純に”遺伝的疾患”とされているにすぎません。
 こうしたことから、慢性頭痛を発症させる根底にどのようなものが存在するのかを一切考慮しないため、原因不明の”不思議で・神秘的な”頭痛といった神懸かり的な発想しかできないことになります。
 その結果、トリプタン御用学者およびトリプタン製薬メーカーの作成した(専門家は”国際頭痛学会が作成した最も権威あるものとされますが)「国際頭痛分類 第3版β版」を頭痛診療および研究の絶対的基準として、この枠内でしか慢性頭痛を考えることが出来ず、慢性頭痛のなかの片頭痛こそが最も重要な頭痛であり、緊張型頭痛はまさに取るに足らない頭痛と無視され、ただひたすら片頭痛を見落としなく正確に診断し、的確にトリプタン製剤を処方されます。

 このことから、片頭痛の病態・発生機序すべてトリプタン製剤の作用機序の面からしか考えようとされません。このため、片頭痛に特徴的とされる「脳過敏」の原因は不明であり、生まれつきの先天的なものとされ、片頭痛の慢性化がどうして起きるのか不明とされ、片頭痛発作時に服用されるトリプタン製剤が片頭痛発作時に生じた脳内セロトニンの低下を補填することによって効果を発揮していると説明されながら、片頭痛発作時に起きている脳内セロトニンの低下がどのようにして起きるのかも一切不明とされます。

 このような問題点がいろいろ浮上していることから、最近では、片頭痛はもともと脳の中に異常のない頭痛とされていたのが”中枢性疾患”とまで考え方が変更されるに至っています。

 このような問題点は、片頭痛をミトコンドリアの機能障害による頭痛とさえ考えれば、すべて解決するはずでありながら、一切、このようには考えることはありません。
 このように、学会を主導される方々は、トリプタン御用学者およびトリプタン製薬メーカーの作成した「国際頭痛分類 第3版β版」を頭痛診療および研究の絶対的基準として死守されます。
 これが、学会を主導される方々の本来の姿です。このようにトリプタン製薬メーカーの立場でしか片頭痛という頭痛を考えず、この姿勢は頑なに固守されます。まさに袋小路に迷い込んでいるにも関わらず、一切考え方を改めることすらされることはありません。
 あたかも”カルト教団”を彷彿させるものでしかありません。
 このため、これまでのシリーズで連載してきましたような「生活指導」は一切されることがない理由になっています。


 これまでも述べてきましたように、片頭痛がミトコンドリアの機能障害による頭痛であるという立場から、下村登規夫先生はMBT療法を、さらに最近では分子化学療法研究所の後藤日出夫先生は「3つの約束」を提唱され、これらの2つの治療法により片頭痛の方々は改善に導かれています。このような事実は、片頭痛がミトコンドリアの機能障害による頭痛であるということを臨床的に裏付けるものと考えるべきものです。


 私達は、このような相違点をきちんと認識した上で、自分の片頭痛と向き合うことが大切です。その上で、どちらの考え方を選択するかということです。


 片頭痛を根本的に治そうと考えるなら、片頭痛をミトコンドリアの機能障害と考えることでです。これまで述べたことをされれば、根本的に改善できるということです。
 あるいは、片頭痛発作時にトリプタン製剤を服用して痛みさえ緩和できれば、これで満足されるなら、学会の方針に従って、片頭痛を慢性化させていくしかありません。


 ただ、問題は、これから慢性頭痛とくに片頭痛の研究を進めていくに当たって、従来のようにトリプタン御用学者およびトリプタン製薬メーカーの作成した「国際頭痛分類 第3版β版」を頭痛診療および研究の絶対的基準として行う限りは、これまでのように何時までも解明に至ることはないと覚悟すべきです。その理由は、これまでも諄いばかりに述べてきたはずです。

 そうではなく、慢性頭痛とは何かという大命題を念頭に置いて、臨床研究は進められるべきです。このような羅針盤・海図なき臨床研究はあり得ないと考えるからです。
 今回、私なりに、脳のなかに異常のない「慢性頭痛」は「健康的な生活」を送ることができないことに根本的な原因があり、”慢性頭痛”とは、「不健康な生活を送っている」という生体の警告の信号”サイン”であるとの大前提で論を進めました。


 経験的に、ストレスは慢性頭痛を増悪させる原因と知られています。
 そして、このストレスが、「ホメオスターシス」を乱す根源になります。
 「生体リズム」とは、脳の視交叉上核にある「体内時計」によって刻まれ、睡眠と覚醒のリズム、体温のリズム、行動のリズム、ホルモン分泌のリズムなどです。
 そして、「体内時計」は、ミトコンドリアとセロトニンによって制御されています。
 

 この「ミトコンドリア」は、私達の体を構成する細胞の中のすべてにあり、エネルギーを産生しています。ということは私達の”生命の根源”ともなるものです。ミトコンドリアの機能がまともに働かなければ「健康的で・健全な生活」は送れないことになります。
 ミトコンドリアは食事から摂取した栄養素から生きる為に必要なエネルギーを作り出していて、エネルギーを常時たくさん使う細胞であるほど、ミトコンドリアの数が多く存在し、ミトコンドリアは、私たちの”活力源”ともいえるものなのです。
 そして、私達が日中活動している際に常時活動している神経系がセロトニン神経系です。 このようにエネルギーを常時たくさん使うセロトニン神経系は、ミトコンドリアの働きが悪くなりますと、同時に「セロトニン神経系」の働きまで悪くなってきます。
 「セロトニン神経系」は、脳の中心にある「脳幹」の、さらに中央に位置する「縫線核」という部分にあります。そして、大脳皮質や大脳辺縁系、視床下部、脳幹、小脳、脊髄など、あらゆる脳神経系と結合し、脳の広い範囲に影響を与えている神経系です。
 「脳内セロトニンの働き」としては、大脳皮質を覚醒させ、意識のレベルを調節する、 自律神経を調節する、筋肉へ働きかける、痛みの感覚を抑制する、心のバランスを保つ、といった主な5つの働きがありますが、「セロトニン神経系」は、私達が”日常生活を送る際の生命活動”に直結する重要な神経系です。


 先程の「恒常性(ホメオスターシス)」の維持には自律神経、内分泌系、免疫系の3つの働きが深く関わっており、それはストレスなどに大きく影響されます。例えば、ストレスは自律神経を失調させ、内分泌を乱し、免疫力も低下させてしまいます。
 

 「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの、自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系は”ホルモン”と”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めています。


 ”セロトニン神経系”の機能低下に、生活習慣の不規則・ストレス・生理周期や、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると「脳内セロトニンの低下」が引き起こされてくることになります。
 このようにセロトニン神経は「ホメオスターシス三角」で重要な位置を占めています。
 ”生理活性物質”は、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスがよくないと、 局所ホルモン(エイコサノイド)(プロスタグランジン)のバランスを乱すことになります。 結果的に、細胞機能のバランスを欠くことになります。
 ”腸内環境”は、欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂糖などを大量に摂取すると、間違いなく腸内環境は悪化します。
 また「ストレス」や「過労」も腸内環境に深刻な影響を与えます。「運動不足」も問題です。さらには「抗生物質」などの化学薬剤も、腸内細菌に決定的なダメージを与えます。 家畜に投与された抗生物質が食肉を摂ることで体内に取り入れられ、有益菌を弱らせるようなこともあります。このようにして腸内環境は悪化してきます。
 ”腸内環境”の悪化は「頭痛を引き起こしやすい状態」を形成してくることになります。


 こうした諸々の要因は「ホメオスターシス三角」そのものの釣り合いを乱す原因ともなり、頭痛を引き起こしやすい状態(頭痛体質)を形成してくることになります。
 生体リズムを無視した不規則な生活を送ると、”頭痛”を始めとして、様々な不調を感じるようになります。生体リズム、自律神経、ホルモンはすべて連帯しているため、生体リズムが乱れると自律神経やホルモンバランスにも悪影響が及んでホメオスタシス機能を乱すのです。


 このように、「健康的で・健全な生活」は、「恒常性(ホメオスターシス)」、ミトコンドリア、セロトニン神経系によって維持されています。謂わば、生命の根源ともなります。
 慢性頭痛とは、このような「健康で・健全な生活」が送れないためのサインなのです。


 このような論点から慢性頭痛とくに片頭痛について考えたものです。 


 これが正しいかどうかは、今後さらに臨床経験を積み重ねていくことによって立証されるべきものと思っております。



 最近、週刊現代という週刊誌では、しきりに医者から処方される薬剤として生活習慣病、認知症のおくすりが、一生服用しなくてはならず、また人体に害になるから服用すべきではないとしきりに掲載されます。

 このように、生活習慣病が一般人には薬を飲んでおれば治るとでも思われているようです。

 慢性頭痛を始めとして、生活習慣病すべて、さらに認知症においても、薬を服用しておれば治ってしまうような病気ではないことを改めて認識しなおすことが大切になってきます。

 慢性頭痛を始めとして、生活習慣病すべて、さらに認知症においても、生活習慣の問題点を改善させることがすべてであり、薬剤はあくまでも補助的なものに過ぎないことを肝に銘ずるべきです。

 そして、若い世代から、慢性頭痛を始めとして、生活習慣病すべて、さらに認知症を予防しなくてはなりません。このためには、若い世代から、ミトコンドリアの働きを悪くさせない、働きをよくさせる生活習慣の指導が徹底して行われることが必要になってきます。

 こういった意味で、慢性頭痛とは、将来、生活習慣病すべて、さらに認知症へ移行しかねない生活習慣を行っているという警告・危険信号と捉えるべきものです。このように認識を改める必要があります。

 慢性頭痛を始めとして、生活習慣病すべて、さらに認知症は、薬剤では決して治ることはありません。


 現在の学会を主導される方々が考えるように、慢性頭痛の鎮痛だけが目標ではなく、これはあくまでも通過点でしかなく、最終目標は、生活習慣病すべて、さらに認知症の予防としなくてはならないはずです。