あしや温泉
高級住宅地の中に建つ、ほのぼの温泉
「源泉・加水なし」の熱湯に芦屋の江戸っ子魂を感じよ。
この日は芦屋浜で行われた「潮芦屋アクアスロン大会」に参加。
ランが思いのほか不調。走り終えると、10キロ50分もかかってしまうという、ふだんより5分も遅いタイム。
うーん、何がいけなかったのか、反省もしつつ、次のマラソン大会の準備にとりかかるとしよう。
さて、芦屋と言えば、ご存じのとおり、日本屈指の高級住宅街である。
その芦屋の温泉と聞けば、「高級」温泉を思い浮かべるかもしれない。
しかし、この日、訪ねた「あしや温泉」はいたって、普通の庶民的な感じの温泉施設である。
入浴料も380円と銭湯価格より安い。
15年ほど前には、そのギャップが面白くて、テレビの情報番組で取材、紹介させていただいたこともあった。
その頃は、プレハブ建ての小さな建物で、「これがホンマに芦屋の温泉?」と、B級スポット感が満載だったが、今は改装され、立派な建物。
中もフロント式で、大きなロッカーがあり、スーパー銭湯に近い。
風呂場に入ると、洗い場の他には、左手に二種の浴槽があるだけ。
「加水アリ」と「源泉かけ流し」という、なんとも豪気な分け方である。
「源泉かけ流し」の湯は、かなり熱い。45度もあるそうだ。
何度か、チャレンジしたが、日焼けした体で45度の源泉に入るのはムリ!と根性のない私は早々にあきらめてしまった。
地元のおじいさんと思しき人物が、熱さに耐えながら、ゆっくりと5分ぐらいの時間をかけて肩まで浸かる姿が、印象的だった。(結局、20分ほどの滞在中、かけ流しに入れた人は、この人だけ)
顔を真っ赤にして、落語に登場する「江戸っ子」のようだ。
で、ふと思った。
「芦屋」って、実は江戸っ子気質なのでは?
江戸には出稼ぎ労働者や地方からの流入組が多く、そうした人びとが自分を誇示するために「意地っ張り」で、「見栄っ張り」な気質が造成されていった。
芦屋も同じ。
明治以降、阪神間モダニズムが花咲き、大正時代には関東大震災を機に谷崎潤一郎ら多くの東京文化人が芦屋近くに移り住んだ。
現在も高級住宅地の雰囲気とその気風に憧れ、多くの地方からの新参者が詰めかける。
で、自分を高く評価してもらおうと、「江戸っ子的な」「意地っ張り」になる。
とすると、この「あしや温泉」の「源泉かけ流し 加水なし45度熱闘風呂」は、真の芦屋っ子になれるかどうかを試す装置なのかもしれない。
以上、いつもの妄想である。
芦屋ではあるが、庶民感覚の残る、いい温泉である。
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芦屋市立「あしや温泉」
住所:兵庫県芦屋市呉川町14番11号
電話:0797-32-0204
定休日:毎週火曜日及び第1・3水曜日(祝日の場合は営業)、 年末年始(1月1日~1月3日)
オススメランニングコース:芦屋川沿い~芦屋浜
(この温泉は銭湯ランナーを推奨しているので、荷物預けなども可能です。芦屋川沿いや芦屋浜の眺めは気持ちいいので、銭湯ランにはもってこい)