9話 寝言 | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

保健室のドアを開ける。


けど、その中には誰もいなかった。


「保健の先生がなんでいないんだよ・・・」


僕は軽い悪態をつきながら、彼女を一番手前にあったベッドに寝かせた。


僕は、近くにあった椅子を持ってきて、ベッドの横に置いてそこに座る。


長嶋はすやすやと眠っている。


長嶋の寝顔・・・初めて見た。


可愛いなぁ・・・。


なんて考えながら、好きな人の寝顔を盗み見る自分は変態だろうか?


僕は、彼女の額に手を当ててみる。


「・・・やっぱり熱い・・・」


長嶋の熱はどれくらいあるのだろうか?


体温計を差そうにも、情けないことに長嶋の素肌に触れることなんてできないからもちろん無理だ。


だから、保健の先生待ちってわけだ。


「朔弥・・・君」


長嶋が僕を呼ぶ声が聞こえた。


僕はその声に反応して君の方を見る。


それは、もちろん驚いて。


長嶋が、僕のことを名前で呼ぶことなんてなかったから・・・。


まあ、その答えは寝言だから。


長嶋はまだ寝息を立てて寝ている。


「大好き・・・」


・・・どんな夢見てんだよ。


屋上での続き・・・ってか?


僕は内心肩をすくめながら苦笑する。


「今度さぁ・・・」


長嶋は、少し笑顔を浮かべながら寝言を呟いている。


「聞いちゃ悪いな・・・」


僕は、椅子から立ち上がり、保健室の窓から外を眺めた。


校庭が見える。


校庭では持久走をやっていた。


「そういえば・・・まだ2時間目か・・・」


授業をさぼったのは初めて。


後で絶対怒られるんだろうな・・・。


僕は、長嶋が寝てるベッドの方に戻る。


と、同時に彼女が目を覚ました。


「あれ・・・?ここどこ?」


長嶋は不思議そうにあたりを見渡した。


その君のきょとんとした表情がさっきまでとは違いすぎて思わず笑ってしまった。





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