大日本帝国の終焉:予告編(8) | 郵便学者・内藤陽介のブログ

 大日本帝国の終焉:予告編(8)

 昨日(5日)は、広島の原爆に関する定番モノというべき“罹災戻”の葉書をご紹介しましたが、今日はそれとは違ってちょっとひねったものをご紹介しましょう。


 原爆で転送された葉書


 この葉書も、昨日ご紹介したものと同じく、被爆直後の広島宛に差し出されたものです。こちらも、記載されている宛先の白島は原爆で壊滅状態になったのですが、名宛人は何とか生き延びており、葉書も避難先に転送されています。


 “罹災戻”の印が押された葉書や封筒に比べて見た目は地味ですが、広島の原爆に関する郵便物の中では、差出人に戻されたものよりも、無事に相手に届けられたもののほうが残存数が少ないような気がするのですが、いかがでしょうか。


 それはともかく、被爆直後の広島でも郵便がきちんと機能していて、名宛人の避難先を探し出して郵便を転送することが行われたというのは、ちょっと驚きです。姿勢の人々の間に、こうした高い職業倫理が保たれていたからこそ、戦後の日本は驚異的な復興を遂げることができたのだと、いまさらながら思わずにはおれません。


 さて、今日・明日(8月6・7日)の2日間、東京・大手町のていぱーく(逓信総合博物館)で開催のサマーペックス では、この葉書を含めて、終戦前後の日本の状況をたどった作品「大日本帝国の終焉」を展示しています。両日とも、14:30からは展示の簡単な解説も行いますので、是非、お運びいただけると幸いです。