「デザインセンス」は降ってくる? | WEBクリエイターの木

「デザインセンス」は降ってくる?

「デザインセンスがないしょぼん」と思っていた僕は大きな考え違いをしていました。

僕は「センスがある人」というのは、深く考え込んだりせずにインスピレーションを受けてチャッ音譜チャッ音譜と作る人だと思っていたのです。


チューリップオレンジチューリップピンクチューリップ赤ハチ


僕は理系の大学に通っていて、デザインとはほとんど縁のないところにいました。理系というとアレです。一般的には研究室のサンダル、髪はボサボサ、色白、レポートや研究に追われる人が多い集まりで、「Enjoy音譜キャンパスライフビックリマーク」って感じとは違う工場のような、デザインとはほど遠い「現場」というような所でした。(今は変わっているかもしれませんが)


5年前にクリエイティブ系の仕事にあこがれ、デザイン会社に飛び込みました。

その会社は3人ほどで回していて、だれもが認める優秀なデザイナーの女性がいました。彼女は美大卒。油絵を描かせたら原色の黄色を使い、大胆な筆遣いで見事な作品を仕上げる「センスの塊」のような人でした。彼女が作るWEBサイト、広告等の各種デザインでその会社は回っていました。


僕にとっては「住む世界が違う人」でした。


その人から学んだことを3つほど書きます。


1.ある時マイナーな映画のアニメっぽいロゴを頼まれました。PhotoShopの前で「うーんむっ」と悩み、3日かけて提出した3案が、クライアントのもとで結局ボツダウンになりました。その後、同じ仕事がデザイナーに振られると、彼女はすぐにTUTAYAへ。CDやアニメなどのロゴを調査し、帰ってきたら数時間でどこに出しても恥ずかしくない見事なロゴを作成しました。


わかりやすく、「僕」→「センスのない人」、 「デザイナーの彼女」→「センスがある人」ということで見てください。


「センスがない」と言っている僕のやり方がよくありません。PhotoShopのサンプルやフィルタなどしかネタがない僕の作品は貧相なものです。パソコンの前で唸っていても、僕の引き出しにないものはないのです。対して彼女はどういったロゴがこの分野で受け入れられているか。綿密な調査で現状分析し、参考要素を捜して、「チャッ音譜チャッ音譜」と作っていたのです



2.彼女「この図形はどうしてココに配置しているの?」 僕「いえ、なんとなくいいかなっと思って・・・」 彼女「それじゃダメだよ。すべての配置には意味がないと。


「センスがある人」というのは特に考え込まずに直感でやっているのかな、と思いきや、とても精密に考えているのに驚きました。少なくとも構図、配色、文字、緊張感、バランス、アクセント、動き・・・、様々なことを考えて作っています。何度も実践してきて、それらを考える速度が速いから、素人目にはなにも考えずにやっているように見えるのです。



3.「どうすればセンスがよくなるんですか?」と彼女に直接質問したところ、「そうだねー。まずはいろいろみないとね。雑誌、パンフレット、広告なんかからいいものを抜き出してどうやって作ってるか考えてみることかなー。」と。


これは具体的に、なにがいいデザインでなにがよくないデザインかわからない僕に、まずはいいものを見る目を養いなさいという

アドバイスでした。知識のない僕には何が良くて何が悪い、それがハッキリしていなかったのです。


チューリップ黄チューリップ赤チューリップ紫チューリップピンクチューリップオレンジ


結局、様々なデザインの要素を「美大卒」や「センス」という言葉で片づけて、肝心なその人の努力を見逃していました。

センスがいいと言われる作品を作るには試行錯誤、もがき、探求、分析、最新動向の調査、分野別の傾向など、様々な要素が必要です。


ただ、これらは後からでも十分身につけられるものです。センスには生まれつきもっているものと後から身につけられるものがあるとしたら、後から身につけるものを磨けば十分やっていけます。

「自分にはセンスがない」と思っている場合、「センスは降ってくるもの」というだけではなく、「今から学んで身につけられるもの」です。