私が社労士事務所を退職した理由 | 社労士事務所を辞め、IT企業の労務に勤めた私

社労士事務所を辞め、IT企業の労務に勤めた私

社労士・行政書士法人で就業規則作成・人事評価制度構築・退職金制度構築・国際渉外業務に携わっていた私が、転職してIT企業の労務で働く日々を綴ったブログです。

久しぶりの更新でいきなり退職の話題になってしまいました。

突然ですが4月をもって5年間勤めた事務所を退職することになりました。
そして休むことなく5月からIT企業のバックオフィスで働きます。
配属先は経営管理本部、担当は労務。
社労士事務所で勤めていたので、
同じ労務畑を歩くわけです。
ちょっと間を開けようかとも考えましたが、
根がずぼらなので、間を空けずに転職しました。

この不景気の中、転職活動がスムーズに進み、
色々大変ではありましたが無事IT企業から内定を頂くことができました。
人数は300人とそれほど大きい会社でははないのですが、
日本だけではなく海外に複数子会社があります。
日本内外の労務管理の調整はやりがいがありそうです。

さて、入社までまだ2週間ほどありますが、
現在は有給消化中ですので、
今後は少しずつブログを再開していこうと思います。
新しい会社に入ってからは、業務中心のブログになると思いますが、
入社するまでは、転職活動の様子を中心に書くつもりです。

今回私が書く内容はといいますと、
「私が社労士事務所を退職した理由」
正確には社労士・行政書士法人を辞めた理由ですが、
行政書士に関しては後日機会があったら書きたいと思います。

5年勤めた社労士事務所を今回退職することになったわけですが、
退職理由は以下になります。
・とにかく給料が安い
・社労士の将来性がない
・社労士の社会的地位が低い

まず給料が安い。
うちの事務所は大卒初任給で175,000円。
5年勤めて250,000円と5,000の携帯代。
これとは別に残業代も出ますが、
残業自体やっても月30時間なので、残業で稼ぐこともできない。
賞与が年2.5ヶ月分出るとはいえ、
年収は400万円を下回ります。
そんなの悪くないよ~と言う人もいるかもしれません。
確かにそこまで酷くないことは知っています。
私達も色々な業種の給与計算をやっていますので。
ただやっぱりもっと給料が欲しい。
成果主義を求めるのであれば不満が出てきます。
どうしても成果主義が馴染まない士業、
なかなか賃金が上がらない年功序列賃金です。
ここは事業会社に転職してもっと稼ごうと思いました。
新しい会社では年収が60万円程UP、よかったよかった。
これはよくある転職理由。

次に社労士の将来性がない。
これは本当に難しい問題。
まずは社労士の業務内容を説明しましょう。
6割・・・・・給与計算
3割・・・・・手続・労務相談
1割・・・・・各種規則・規程の作成
(その他スポット案件もぼちぼちあり)

社労士って人事評価制度や就業規則ばかり作っているイメージがありますが、
そんなの本当に稀です。
ほとんど毎日給与計算ばかりしている地味な仕事です。
顧問料と給与計算委託収入が主な収入源です。
この大きな割合を占める給与計算ですが、
クラウドの普及により社労士事務所が窮地に立たされています。

中堅から大手企業が使用する給与計算ソフトERPが、
軒並みクラウドソフトへとバージョンアップし、
IT化に乗り遅れた社労士が相当焦っています。
クラウドへのバージョンアップには100万円近く費用がかかります。
今まで顧問先とデータをスムーズにやり取りできていたのですが、
顧問先のクラウド化により、業務は大幅な作業増になってしまいました。
社労士がソフトをクラウド化しようにも費用が高すぎてできない。
そんなIT化にもたついている事務所は愛想を尽かされてしまいます・・。
現にうちの顧問先もどんどんクラウド化していき、
一度社内のERPのクラウド化を検討しましたが、
費用がとても払える額ではありませんでした。

そんな社労士にとって柱とも言える給与計算業務ですが、
そもそもこれ、社労士の独占業務じゃないんです。
誰でも依頼を受けて給与計算することができます。
給与計算代行会社は世にくさるほど存在します。
その中で社労士は、法律の知識を活かして正確な業務を売りにしていましたが、
IT化の波に思いっきり乗り遅れています。
一方代行会社は、持ち前の資金力を活かしスムーズにIT化に対応している現状。
世の会社はどちらに仕事を頼むでしょうか・・・。
今後社労士の収入の柱はどうなるんでしょう・・・。
私はこの業界の閉塞感に耐えられませんでした。

最後に社労士の社会的地位が低い。
皆さん社労士という資格を知っていますか。
仮に知っていたとして、弁護士のように敬意を払いますか。
中には先生と言ってくれる方もいます。
一方で、総務のお姉ちゃんのように扱ってくる会社もあります。
「経理は難しいけど、労務なんて誰でもできるでしょ。」
「給与計算なんて入力するだけじゃん。正確で当たり前。」
こんな事をよく言われた気がします。
社労士事務所で5年間勤めましたが、
社労士という士業に誇りを感じられなくなりました。
やっている業務も法律を大して使うわけでもない単純作業。
給与計算して、手続き書類作って、発送作業して・・・。
どんな仕事をしているの?と友達に聞かれたとしても、
社労士の名前を出すこともしなくなりました。
弁護士や税理士と違い、士業のブランドもなく、
収入も普通の中小企業より低いかもしれません。
自分の仕事にプライドを持てなくなったらもうお終いです。

以上が私の転職理由。
同僚には恵まれ、本当にギリギリまで転職を悩みましたが、
このまま虚無感を抱えながら仕事をするよりは、
新しい新天地を選びました。
幸い27歳という転職しやすい年齢でもあったため、
早期に転職先が見つかったのは幸いでした。
皆さんは今の仕事にどこまで満足していますか。