英語化が進む進む、そして中国語も? | 知財業界で仕事スル

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知財業界の片隅で特許事務所経営を担当する弁理士のブログ。

最近は、仕事に直結することをあまり書かなくなってしまいました。

本人は、関連していると思って書いている場合がほとんどなんですが…

韓国、日本、マレーシア、中国と移動する2週間あまりの出張を終えてDCに戻ってまいりました。

今回は、日本でのビジネス日がたったの1日という、異例のスケジュールになったのですが、日本以外の国々でいろいろとやらなければならない課題が活発に沸き起こっている状況なので、その状況に鑑みれば“自然”なスケジュールであったとも言えます。


今回、最初に訪問した韓国(ソウル)は、約2年ぶりだったのですが、そこで最も強く感じたのが韓国人の英語力の向上でした。わずか2年くらいの間で、ずいぶんとレベルアップしたように思いました。私が始めてソウルを訪問したのは89年ですが、その頃は、世界で最も英語が下手なのが日本人と韓国人だ、みたいなことを言っていたのですけれども、今や、韓国の状況に対して日本は相当に水をあけられたように思います。

ある韓国人の説明によると、韓国では、英語ができなければ就職できないので、英語は必須なんだそうです。「実入りのいい仕事は」という条件をつけなければ、英語無しで就職することは可能だとは思いますけど。


マレーシアは、もともと英語力の比較的高い国ですし、訪問時に英語力の高さを感じるのは当然として、中国でも英語力の向上はまだまだ進んでいると感じました。

今回の出張では、89年に私が始めてワシントンDCに来て、約1ヶ月のセミナーを受講したときに知り合った2名の中国人専利代理人に北京で会う機会がありました。いずれも、彼らに会うことが直接の目的ではなかったのですが、偶然、両者の所属する組織でミーティングを持つことになり、ついでのような形でご両人に会って話をする機会を得たのです。

その2名のうちの1人の英語力に今回は驚かされました。年齢的には50歳を超えているはずですが、昨年、ワシントンDCで会った時に比べて、英会話力が格段にアップしていたのです。ある著名な事務所の副所長をやっている男で、昨年会ったときには、もちろん直接は言いませんでしたが、もっとしっかりやらんとアカンよ、という感慨を持ったのですけれども、今回はすっかり見直しました。50歳を超えてなお、自己改善に努力している。頭が下がる思いでした。さすがです。私も負けないようがんばらねば、と思わされました。

ともあれ、そんな感じで、中国人の英語力もアップしています。


韓国にさえ水をあけられた感のある日本ですが、日本人の英語力も向上していると思います。他国と比較してレベルの低いところでの変化ではありますが、間違いなく向上しています。英語で議論できる人が増えてきました。


どこまでいくのか分かりませんけれども、世界はますます英語で動くようになっています。
世界はボーダーレス化し、英語でコミュニケーションできる人々と、そうではなく現地語(日本語も含む)しかできない人々との間で階層化が進んでいくように思えます。





ただし、そんな中にあって、中国人の英語力は10年後、20年後には相当低下しているはずだ、というのが私の予測です。

現代のアメリカ人には、外国語を話せる人があまりいません。一方で、途上国の一つマレーシアでは多くの皆さんは英語が達者です。前者は、英語以外の言語を学ばなくても、仕事にありつけるのですからそれでよいのです。後者は、英語が、まともな職にありつくためのほぼ必須のツールです。

日本も、少し前までは、日本語ができれば、日本国内でいい仕事に就くことができましたので、英語を学ぶ必要性が低かったのです。日本に比べて経済力が弱い韓国では英語熱の波が日本より早くやってきました。

さて、中国ではどうでしょうか?今までは英語や日本語を学ぶことが良い仕事にありつくための重要な要素でした。しかし、中国の経済力が上がるにつれ、その重要性は低くなりつつあるようです。13億人を擁する中国内で中国人相手にビジネスをするだけで、相当なるビジネス展開が可能になってきています。状況は、世界最強の国、アメリカの国内で米国人を相手にビジネスをするだけで相当なるビジネス展開が可能なアメリカ人が置かれている状況に近づいています。

そうなのであれば、中国人はこれから先、英語学習に必死になる必要性が薄れていくことになり、アメリカ人が英語しか必要としないのと同様に、中国人は中国語だけで十分であると考える傾向が強くなっていくはずでしょう。


一方で、中国人が英語も日本語も学ばなくなってくるのに並行して、日本人は英語のみならず中国語をも勉強しなければならなくなっていくのかなと思えます。

言語学習が嫌いな者にとっては恐ろしい状況ですが、それは現在57歳の私にはほとんど無関係の変化と言ってよいでしょうから、ま、私個人は中国でこれから起こるであろう変化を気楽に観察するだけにとどめたいと思います(笑)。