平成27年11月9日 

 

血液内科がある、福知山市民病院に空きが出たとのことで、

11日付けで転院が決まる。

転院の前に、福知山ルネス病院にてPET検査を受けることになる。

 

 

本日は、私の病気についての詳細をお話しします。

結構長いかも…(+_+)

この病気は、10万人に1人の割合と言われている、珍しい病気です。

俳優の松方弘樹さんも同様の病気です。

 

脳リンパ腫とは

脳リンパ腫は、正確には「中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)」といいます。全身のリンパ系組織に発生する「悪性リンパ腫」の中でも、脳や脊髄、眼球などの中枢神経系にできるものです。通常、悪性リンパ腫といえば首や鼠蹊部(脚の付け根)、脇などのリンパ節が腫れる場合が多いのですが、もともとリンパ系組織のない脳にも、なぜかリンパ腫ができることが稀にあります。頻度としては非常に低く、脳腫瘍全体のおよそ3パーセント程度に過ぎません。また年齢としては中高年層に多く、8割以上の患者さんが50歳以上です。リンパ系組織のない脳に、なぜ悪性リンパ腫が発生するのかについては、まだ分かっていない点も多いのですが、他の部位の炎症で広がってきたリンパ球が、脳で腫瘍を形成するのではないか、とする説があります。またHIVに感染している人や、臓器移植を受けた人、何らかの病気で免疫抑制剤を使っている人の罹患率が高いという報告もあるため、免疫力の低下も関わっていると考えられています。脳リンパ腫は、脳の深いところに発生しやすい点も特徴です。また、脳の中に複数のリンパ腫が同時に発生することもあります。一般的に脳リンパ腫は進行が早いため、早期発見と早期治療が非常に重要です。

脳リンパ腫の症状

通常の脳腫瘍と同じく、脳リンパ腫の症状も、脳のどの部位に腫瘍ができたかによって異なります。代表的な症状は以下のようなものです。

麻痺

脳リンパ腫の神経症状として、麻痺が多くみられます。腫瘍ができた位置によって、左右どちらかの手足が麻痺し、人によっては歩行困難になることもあります。

言語障害(失語など)

おもに左脳の、言語を司る部分に腫瘍ができると、失語などの言語障害が出てきます。

精神症状

前頭葉(額)の部分に腫瘍ができると、人格の変化をはじめとする精神症状がよく起こります。

物覚えが悪くなる、ぼーっとすることが増える、などの症状もよく出ますので、高齢者の場合は認知症などの精神疾患と間違えられることもあります。

けいれん

側頭葉(耳の上)の部位に腫瘍ができると、けいれん発作が起こりやすくなります。

頭痛、吐き気、嘔吐など

脳に大きな腫瘍ができると、頭がい骨の中の空間が足りなくなって圧力が高まることで、頭痛や吐き気、嘔吐などの症状が出るようになります。

こういった症状を、まとめて「頭蓋内圧亢進症状」といいます。脳リンパ腫の症状の中でも、もっとも先に出ることの多い症状です。

視覚障害

後頭葉(頭の後ろ)に腫瘍ができると、両目の視力が大きく低下することがあります。また、脳リンパ腫の患者さんの1520パーセントでは、眼球の中にリンパ腫が生じる「眼球内リンパ腫」が合併症として起こる場合があります。上記のほかにも、感覚障害や運動障害、めまい、聴覚障害など、脳の腫瘍では実にさまざまな症状が現れる可能性があります。中でも、特に多いのは麻痺や言語障害などの「脳局所症状」と呼ばれるもので、全体の50パーセントの患者さんにみられるといわれています。次いで、頭痛や吐き気などの頭蓋内圧亢進症状、そして精神症状という順番です。脳リンパ腫は進行が速く、発見が遅れるとあっというまに命を脅かしてしまうため、上記のような症状が現れた場合はすみやかに受診することが大切です。

脳リンパ腫の治療

がんの治療というと、もっとも完治が期待できるのは外科手術ですが、悪性リンパ腫の場合は生検以外の目的では手術を実施しません。リンパは全身をめぐる組織ですので、目に見える腫瘍だけを摘出しても、根本的な治療にならないからです。そこで脳リンパ腫の治療法は、「放射線療法」と「化学療法」が中心となります。

放射線療法

脳の腫瘍には放射線療法がよく効きます。特に、脳全体に行なう「全脳照射」がもっとも有効で、7080パーセントの患者さんで腫瘍が縮小することがわかっています。人によっては腫瘍が消えてなくなることもあるのですが、高齢者の場合、全脳照射で大量の放射線を浴びると脳が萎縮し、認知症の後遺症が残ることがあります。また、放射線療法単独では、生存期間中央値(約半数の患者さんが生存している期間)が約15ヵ月と短いため、最近では化学療法との併用がスタンダードとなっています。

化学療法

もともと放射線療法が治療の中心だった脳リンパ腫ですが、近年は化学療法が主体となりつつあります。ちなみに放射線療法を追加するかどうかは、専門家の間でも意見が分かれており、化学療法を単独で行なう場合と、全脳照射を併用する場合とがあります。特に高齢の患者さんの場合、全脳照射による認知症の後遺症リスクがあるため、化学療法を中心にするケースが多くみられます。脳リンパ腫の化学療法に使われる抗がん剤としては、「メトトレキサート」が代表的です。放射線療法単独の生存期間中央値は約15ヶ月ですが、メトトレキサートを投与した後に放射線療法を実施した場合は、40ヶ月前後にまで延びることがわかっています。メトトレキサートは、「葉酸代謝拮抗薬」というタイプの抗がん剤で、免疫抑制剤やリウマチ薬としても使用されています。通常、悪性リンパ腫では「リツキサン」や「エンドキサン」「アドリアシン」などを組み合わせた「R-CHOP療法」という化学療法が標準治療となっているのですが、脳腫瘍の場合、脳に薬が入っていかないようにする「血液脳関門」というバリアがあるために、多くの抗がん剤がこの関門を通過できず、治療効果を発揮できません。しかしメトトレキサートは、大量に投与することで血液脳関門を突破することが可能です。そのため脳リンパ腫の化学療法では、メトトレキサートの大量投与がよく行なわれています。患者さんによっても治療スケジュールは異なりますが、最初にメトトレキサートの大量投与を何度か行ない、その後で23週間のインターバルを置いてから放射線療法(全脳照射)を行なうことが一般的です。また最近では、副作用の軽減や、放射線の照射量の軽減を目的として、メトトレキサートに加えて「リツキサン」や「オンコビン」などを加えた「R-MPV療法」を行なうことも増えています。R-MPV療法の生存期間中央値は、およそ6.6年です。このように、放射線療法が単独で行なわれていたひと昔前に比べると、化学療法を組み合わせるようになったことで、脳リンパ腫の生存期間中央値は大きく延びています。特に60歳未満の比較的若い患者さんの場合は、認知症リスクが低いため安全に治療ができ、効果も高いことがわかっています。

脳リンパ腫の完治の可能性

脳リンパ腫は化学療法と放射線療法を併用した場合、生存期間中央値は6年半程度と報告されています。この数値だけを見ると、結局それほど長くは生きられない、完治の難しい病気であると思われます。ただし、実際には患者さんによって生存期間はまちまちです。たとえば抗がん剤や放射線の治療効果が非常に高い患者さんの場合は、腫瘍が大幅に縮小し、中にはそのまま消失してしまうケースもあります。つまり完治できる可能性もゼロではないということです。実際、松方弘樹さんも同じ病気に患っておられますが、ドクターに「パターンを踏めば完治する」と言われた、と報道されています。また高齢の患者さんの場合は、そもそもの寿命の問題もありますので、何をもって完治とするかは難しいところです。中にはがんとうまく付き合ながら、天寿を全うできるケースもあります。つまりがんをうまくコントロールしながら、共存していくこともできるわけです。もちろん、手術して切除すればそれで完治できるタイプのがんに比べると、脳リンパ腫は治療が難しいといえます。そもそも悪性リンパ腫は、臓器にできる腫瘍とは異なり、全身に張り巡らされたリンパ系組織の病気ですので、白血病と同様「完治」ではなく「寛解」という言葉が使われています。つまり、がん細胞をすべて体から消すのはなかなか難しい病気です。それでもうまく治療ができれば、症状も抑えられますし、見かけ上はがん細胞を消滅させられる可能性もあります。

今後もさらなる効果的な治療法が登場し、多くの患者さんが天寿を全うできるようになることを期待したいところです。