LANVIN。 | yoshi-IWAGISHI の六番目の感覚。

LANVIN。

そろそろ’08S/Sのメンズコレクションの全貌が末端まで行き渡ったところだが、

個人的な総評でいうと、LANVINのメンズコレクションが最高にエレガントでカッコ

よかった!!

2000年、エディ・スリマンがディオールオムのクリエィティブディレクターに就任

して以来、メンズモード界はエディのクリエイションにことごとく洗脳され、街の若者

がこぞってフォーマルでスキニーなブラックウェアに身を包んだ。

ストリート一辺倒であったメンズモード界に一石を投じたエディの貢献度は、尊敬

を通り越して崇めるに値するが、とりあえずディオールオム風なら安心とばかりに

安直にメンズフォーマルが氾濫してしまったという代償も大きい。

ところが昨シーズンそのエディがディオールオムを退き、メンズモード界に新たな

転換期が訪れた。


ルカ・オッセンドライバーの台頭である。

ルカは昨シーズン、長い期間迷走していた伝統メゾンLANVINのクリエイティブディレク

ターに抜擢され、’07-’08A/Wコレクションで華々しくデビューした。

それまでエディの独壇場であったメンズモード界に激震をもたらした、新生LANVINの

コレクションは、ボクシーなシルエットにナイーブでどこかフェミニンな素材使い、スモー

キーで曖昧な色調と少年のようなモデルなど、フォーマルスタイルを唱えるエディに対

するアンチテーゼとも言うべき、新しいリアルクローズの方向性を切り開いた。

 『オフバランス』 という新しいスタイリングとしてカテゴライズされ、各マスメディアから

は賞賛の嵐であった。


そんなルカ率いる新生LANVINのセカンドコレクションとなる’08S/Sは、僕がファッショ

ン業界に踏み入ってかれこれ10年の間にも感じた事の無い、鳥肌の立つような至極の

エレガンスをこれでもかと言わんばかりに見せ付けてくれた。

局面に立たされたメンズモード界を新たな方向へ導いてくれたルカには、同業者一同、

敬意を払うべきだろう。


とは言え、そんな救世主ルカ・オッセンドライバーも実は、元エディ・スリマンのアシスタ

ントでディオールオムのクリエイションに携わっていたのだから皮肉なモンである。

日本茶道の教えに 『守破離』 という言葉があるが、正にこうゆう事なのだろう。


余談ではあるが、そのエディ・スリマンがアシスタントをしていたジョゼ・レヴィというデザ

イナーの服を、僕はファッションスクール在学中に好んで着ていたというのだから、個人

的にも複雑な感情に苛まれる。。


一応僕も、そんなメンズモード界に君臨するゴールデンエッグなので、今後のクリエイショ

ンに於いて正に追い風が吹いてきたと、密かに思うのである。


LANVIN '08S/S COLLECTION