マンガ家のさかもと未明さんが雑誌「Voice」に寄せた「再生JALの心意気」と題した記事が報道された。
内容は以下の通り。
 
「さかもとさんが今夏に搭乗したJAL国内線の飛行機の中で起きた出来事。その記事によれば、さかもとさんは機内に同乗していた1歳くらいの乳児が泣き叫んでいたことに耐えられず「ブチ切れて」しまい、 「もうやだ、降りる、飛び降りる!」と、着陸準備中にもかかわらず席を立ち、出口に向かって走り始めたのだそう。そしてさらに、乳児の母親に「お母さん、初めての飛行機なら仕方がないけれど、あなたのお子さんは、もう少し大きくなるまで、飛行機に乗せてはいけません。赤ちゃんだから何でも許されるというわけではないと思います!」と告げたのだという。

 そして、飛行機が着陸した後もさかもとさんはこの一件について納得がいかなかったようで、JAL側に対応に関するクレームを入れるとともに、航空法や飛行機の現状を知るべく広報部に取材を申し込んだそう」。
以上。

この記事を目にして絶句した。

赤ちゃんが泣くのは、赤ちゃんだけに与えられた「唯一のコミュニケーション」なのです。一歳の赤ちゃんにマナーを求める偏狭さに言葉を無くすと共に、彼女の大人としてのマナーは、他者に容認される範囲だと思っているのでしょうか?

こういう大人が居るということも理解できないが、赤ちゃんをあやすお母さんへの気遣いのなさもひどい。『航空法を改正しろ』云々・・に至っては理解に苦しむ。言葉が無い!

機内で泣き止まない赤ちゃんをあやす母親は、日本人外国人を問わず、周りの旅客に対して身の細る思いをしているのが人の母であることを、彼女は何時か知る時が来て欲しいものだ。

そこで気になることが一つ。
そのシーンを見せつけられた周囲の旅客は何かしたのでしょうか?それとも何もしなかったのでしょうか?黙ってただ事の成り行きを見つめていたのでしょうか?。困り果てたお母さんの味方をした人はいなっかたのでしょうか。
常々、こういうシーンに出くわした時に見せる日本人の無関心を装う態度に私はいつも腹をたてている・・・・・・!のだが・・・・

正月三が日が過ぎるとすぐに、兼高かおるさんと食事をする機会が訪れた。新年早々の嬉しい出来事に感謝しながら、指定されたレストランで待った。再会の喜びと新年のあいさつもそこそこに、まず、『今年はいい年になりますわよ!』と満面の笑顔がはじけた。本当にいいことがいっぱい起こりそうな年の予感がして、会った途端に元気をもらった。そして彼女を取り巻くオーラに圧倒される。


「兼高かおる世界の旅」で、31年間日本の茶の間に世界を紹介し続けたこの偉大な旅行家は、世界150ヶ国を訪れ地球を180周した。お会いすると聞きたい話は山ほどあって、一方的に私の質問攻めになってしまった。彼女がまず口にしたのは、築地の初競りで『マグロ一匹に5600万円の値段がついたこと!』への驚き!同感・・・!!地方なら家二軒分の金額が、魚1ッ匹に支払われる・・庶民にはわからないこの国ならでは起こる奇跡?!


次に予定している旅の話を聞くと『来週から1か月ほど船の旅に出ますのよ!』ということだった。太平洋を南下する船の航路・寄港地・訪問国を尋ねると、私の知らない島々の名が連らなる。大型客船の旅を知らない私には『船の旅は退屈する暇がない・・・結構忙しくて楽しめる』との彼女の話に夢中になった。


兼高かおるさんが「世界の旅」を始めた当時、世界の国連加盟国は90ヶ国ほどだったが、番組が終了する31年後は国連加盟国は160ヶ国になっていたという。まだ訪ねていない国、更にこれから先、予定している旅を聞くと、『ジョージアに行きたいですわ!』!という返事。ジョージア?アトランタが州都である米国南東部のジョージア州??そんな筈はない。これほど知名な旅行家がまだ訪ねていない外国がアメリカ・ジョージア州である筈がない?・・・・・


『日本語ではなんて言うのでしょう・・英語ではジョージアって言いますの!』

アトランタのGeorgiaでなければ何処だろう!しばらく色々と話しているうちに、

その国は日本語では「グルジア」と言われている黒海に面している共和国。1991年ソ連解体で独立した国であることが判った。確かに私たちは「グルジア」という国名でこの国を知っている。英語では「Republic of Georgia」と書く。

『何度か行くことを試みたが、その都度戦争や何かでなかなか入国出来ない国だった』とのこと。

この偉大な旅行家の、飽くことなき旅への情熱とエネルギーに、ただただ感服したひと時であった!!


翌日、横浜の地下鉄に乗った時、私の真ん前の座席に座った女性が、今しがた本屋で買ったばかりの本の包みを開けて読み始めた。表紙は 『私が旅から学んだこと』(兼高かおる著)の本だった。女性は最初のページを開くなり、何か新年の夢が舞い降りて来たかのごとく、ときめきを感じている様子でその本に読みふけった・・・・なんだか嬉しくなった・・・


兼高かおるさんは今頃は太平洋上を、その旺盛な旅への情熱をたぎらせながら南下していることだろう・・・


         Bon voyage・・・・・・

正月2日、人混みを覚悟で、そごう美術館に現代の日本画壇の巨匠・後藤純男展を見に出かけた。東京都現代美術館や東京国立近代美術館には画伯の作品が展示されていることを聞いてはいたが、多くの作品を鑑賞するには北海道・富良野の後藤純男美術館を訪ねなければならないと思っていた。


10年ほど前から毎年、後藤画伯のカレンダーを送って下さる画伯の義妹君から、富良野の後藤美術館を訪ねるよう何度かお誘いを受けたが、まだ実現できていなかった。ところが今年正月、横浜で展覧会が開催されることを知らされ、招待券が届いたのだった。


心ときめきながら美術館に出掛けた。その圧倒的な迫力ある作品群のなかでも、14メートルにも及ぶ『雲海黄山雨晴』の絵の前では、スケールの大きさと祈りにも似た画伯の魂の叫びのような気迫が感じられ、雷に打たれたような衝撃が我が身を突き抜けた。画伯が生涯をかけて追及している主要なテーマの一つである「中国の風景」の中でもその作品は圧巻!!もう言葉がない・・・・・・・


『畏敬や信仰をかたちにした後藤自身の心象風景・・』と会場の説明書きに書いてあった通り、殊に中国の作品からは悠久の歴史を感じさせる大きなスケールが絵筆に込められた画伯の60年の祈りが伝わって来た・・・・・


今年は正月から嬉しいことが続く・・・いい年になりそう!!