国債市場から逃げ出していた巨額資金2013年5月25日

(イーグルヒット)

日銀の異次元緩和が、保険会社などの金融機関の外債購入へ向かわせる狙いがあることは、すでに指摘した。これにより米国債を下支える米国の思惑が働いていることも。
だが、実は、日本の年金基金が海外投資へシフトしていたようである。

【日本の年金基金、海外のオルタナティブ投資拡大】

日銀が先月、新たな量的・質的金融緩和策を発表して以来、欧米の投資家は、日銀による一層の債券購入によって日本の生保勢が海外での投資に向かうことを息をひそめて待っていた。真実はというと、日本の年金基金は既に、彼らの先を行っていた。日本の年金基金は、世界第2の規模を誇る退職基金から多くの資金を、世界の不動産からナミビア国債に至るさまざまな投資先に注いできた。
JPモルガン・アセット・マネジメントが4月に公表した128のファンドを対象とする調査によると、年金基金は全資産に占める日本国内の債券の投資配分比率を4年前の目標水準の35.4%から、今年3月末には29.4%に引き下げた。国内株式については22%付近から13.9%に引き下げた。これにより、不動産や海外債券といったオルタナティブ投資の余地は2倍近く拡大し11.8%となった。コンサルタントやファンドマネジャーらは、日本社会の高齢化で年金支払いが拡大するなか、国内債券よりもリターンが高いが、株式よりもリスクの低い投資先を見つける以外に選択肢はないと話している。
教職員共済生活協同組合の経営管理本部長兼資産運用部長、樋口徹氏は、資産を多様化して不動産やアブソルート・リターン(絶対収益)プロダクト投資からのリターンが加われば、全般的な金利の上下にかかわらず利益が上がるとの見方を示した。同基金は2年間に及ぶ見直しの最中にある。これによって、国内株式の投資配分比率は引き下げる一方、6000億円の資金の多くは海外の株式や債券に投資され、これまでで初めてそれぞれ2%を上限としてヘッジファンドや世界の不動産投資信託、JREIT(国内不動産投資信託)にも投資する見込みだという。
企業年金連合会のチーフ・インベストメント・オフィサー、濱口大輔氏(運用資産額約10兆円)は、同氏が運用するファンドはカナダの年金基金との協力の下、初のインフラ投資を年末までには完了する見通しで、他のオルタナティブ資産にも投資を徐々に拡大する方針を明らかにした。
投資家の一部は、安倍晋三首相の経済政策を背景とする企業利益の改善で、企業年金はリスクテイクで一段と大胆になる可能性があると見込んでいる。アベノミクスに対する期待で国内の株価は押し上げられ、円相場は下落、株式やヘッジなしの海外債券への投資の道が開かれた可能性がある。【WSJ 21日21:32】

保険や銀行の資金が米国債を中心とした外債へ向かい、年金基金が海外のオルタナティブ投資に向かっているという実勢になっているが、まるで国際金融資本らの術中にはまっているかのようである。

言うまでもなく、金融機関の資金は私たちの預貯金であり、保険も個人資産の一部である。
そして、年金の資金までもが海外へ渡っていくのである。

果たして、将来、大きくなって帰ってくるのだろうか?
無論期待するだけ無駄である。
アベノミクス、異次元緩和が、国民の金融資産の海外流出であり、国富の収奪であることが、ここからも明瞭になってこよう。

現状、海外投資家らの資金が株式市場に注入され、バブル状態となっているが、
やがて彼らが資金を引き揚げたとき、もはや日本の資金、資産は枯渇状態となる恐れがある。
その最後の仕上げが、国債暴落であることは言うまでもない・・・。




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