思い出の品たち さようなら
ベットを全て解体し、令子さんとの思い出の品も、
すべてダンボールにしまいだしました。
私と写った写真も中に入れようとするので、何故かあわてて
私はその写真を奪い取っていました。
私 「これは、私が貰う!
このフレームはいらないから、この写真は頂戴!
この写真は、私のアルバムには無いのよ。
だから、私のアルバムに保存しておくね。」
藤原は、黙ってうなずき、また部屋の片付けをし出しました。
彼は、どんな気持ちで、今部屋を取り壊しているのだろう。
私は、そればっかりが気になり、始終 藤原の顔を観察していました。
ただ、ただ無表情に、黙々片づけをする藤原が、異様でした。
このお姫様ベットは、令子さんが使っていたものなの?
それとも、自分で似たような物を購入して作ったの?
とか、聞きたいけれど、聞けない質問ばかりが、頭の中で踊ります。
私だったら、ここまで潔く 捨てられるだろうか・・・・。
一つ位は、思い出を残しておいても、別にいいんじゃないの?
とか、高そうな品物が、ダンボールに詰められて行くのを、
目の当たりにする度に、セコイ考えが浮かんで来ます。
そして、お姫様ベットと、ダンボールの箱を、庭まで全て運ぶと、
回収屋さんに、すぐに電話をし引き取ってもらいました。
旬 「今日から、何に寝るんだ?」
藤原 「客用の布団が沢山あるだろ!
布団には困って無いから。」
と、清清しい顔で、微笑むのでした。
藤原 「真琴、俺自立するよ。
そうだな、自立すれば、家族への気持ちにも
今は分からないけれど、変化が出るかもしれない。
何処から変わっていいのか分からないけれど、
何かしてみるから。
旬も、自立してから、変わったんだろ?」
旬 「察しがいいねぇ~~。
そうだな。
自分で稼いで生きてみてから、家族への気持ちが変化した。
男は、単純だから、そうゆう事でも切り替えられるかもしれないよな。
それでも、駄目だったら、俺で良ければ相談に乗るから。
まずは、ゆっくり、自分を慰めて、褒めてやれよ!
おまえは、支配などしなくても、人は寄って来る奴だから、
自分にもっと自信を持てよ!
それでも、寄って来ない時は、おまえの性格に問題ありと
思って、他人を疎まずに反省しろよ!」
一つ、大きな荷物を捨てたからなのでしょうか・・・・。
藤原は、旬の話を さわやかな笑顔で聞いて 背伸びをしていました。
藤原 「コーヒーを入れるから、ゆっくりどう?」
旬 「いいねぇ~~~」
一仕事終えた男達は、リビングに入って行き、2人で何が
うれしいのか、大はしゃぎをしながら、コーヒーを入れていました。
私は、なんとなく入り込めない世界を、庭越しに見つめ、
夕日が沈むのを、ただジ~と見ていました。
暖かいコーヒーが入ったと、旬が庭で座っている私の所まで
運んで来てくれました。
藤原も私の隣に座り、穏やかな顔でコーヒーを味わっていました。
旬 「で、どうやって自立すんの?
俺の仕事を手伝うか?」
え?話はそんな所まで、もう進んでいるの?
藤原 「いや!自分でなんとかする。
それまでは、情けないけど、親父の金に頼るよ。
叔父のメイクスタジオにでも、修行させてもらう為に、
ちょっと、頼んでみるよ!
少しずつ、変えて行くさ。
一度に全部は、無理だろうからさ。」
旬 「おうっ!」
コーヒーを飲み終えると、藤原と別れました。
これで、良かった、良かったとは思いませんでしたが、
私達は、やっと家に帰る事が出来ました。
To be continued
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