飛行機は時間通り到着し、イミグレを通過した俺がみたものは『おかえりなさい』の文字。
そう、日本に到着した。
なぜだかはわからないが自分でも困惑している。確かにまだ行くところはたくさんあったはずだ。ものすごく悔しがっている自分がそこには居て、まだまだ旅を続けたかったと思うばかり。
そんな夢を見た。
確かにリマは退屈でコレといった話なんて何もなかった。最近旅行をしていることに生意気にも慣れてしまい、目的もよくわからないまま旅行を続けていた事は確かだ。
でもこの夢で見たことがきっと本音なのだろう。まだまだ帰るには早いようだ。
そんな想いから抜け出そうと向かった先は『イキトス』。
空港を降りた瞬間から確かにソノ空気はあった。
まるで東南アジアを思わせる湿気帯びた気候に、街を横行するトゥクトゥク。騒音と排気ガスに囲まれた、どこか懐かしい町並み。
そう、ここはアマゾンの玄関口。
目指すはリアルジャングル。
ガイドの『ファルコン』は名前こそイカしてるが腹の出た中年親父だし、夜には女を連れ込んでしまう(アマゾンで女買ってる?)しょうもないやつだがこいつは俺の求めていたとおりのアマゾンの案内人であった。
ボートに乗りアマゾン川の主流(マヂでデカイ。向こう岸わかんないし)を進んでいく。よく晴れた空から照りつける太陽の日差しは強く体力を奪っていく。身体はすぐに汗ばみ、それに従い水分を補給する。
思えば最近はずっと標高の高いところに居た。寒い上に酸素も薄い。身体の状態はもちろん悪くは無いがいいとはいえなかった。
そんな中、地球の肺と呼ばれ地球上の酸素の3分の1を供給するとまで言われるアマゾンの吹きぬける風は今までに感じたことの無い心地よさがあり、身体のいいリズムがつくられている。そんな感じがした。
ジャングルには本当に驚かされた。アフリカでもパタゴニアでも散々見てきたはずの自然さえもかすんでしまうような圧倒的な大自然。水と緑とそこに生息する意味不明な生き物たちとそこで生活をする数少ないアマゾンの住人たち。日本の生活からは全く想像もできないほどの『生命』そのものがそこにはあった。
ボートで爆走している中、いとも簡単にあらゆる動物を発見するファルコン。コイツはいったい何者なんだ。
デカイピラニア。こんなんみたらテンション上がるだろー!ちなみにこいつはドライバー。
アマゾンでのスケジュールは自分で決めるもの。当然80%釣り。
おかげで毎日大漁。うちらは当然、ガイドもロッジに常駐している現地人も他のツアー客も全て飯は俺の釣った魚でまかなうという貢献ぶり。
ワニ探し。息を潜めてあたりを見回す。
ファルコンが言った。
『あそこを見ろ!目が光ってるだろ?』←ちなみにそんなの全く分からない。
『ほら、あそこだよ!お前には見えないのか?』←全く見えない。
そして近づき銛のようなもので一突き(ちなみに細い棒を投げる感じ)
そしてまさかの一発命中。
子ワニを捕まえ、『ほら、写真撮れ。』そういって渡してくる。お言葉に甘えて写真を撮るが、なんか微妙な気分だ。観光客に見せるためにワニを銛で突いて殺してしまう、何ともいえない気分だった。
『写真撮ったなら早く返せ。』
そういってファルコンはワニを取り上げ優しく水面に置いた。
するとワニは元気よく泳いで水の底に消えていった
!?
まさかの峰打ち!?
コイツのポテンシャルは計り知れない・・・。
満天の星空、何とも表現しがたいジャングルの『音』、静けさの中の轟音。まるで渦の中にいるような音。そしてその中にどこからともなく聞こえる何者かの鳴き声に包まれながらアマゾンの夜は更けていった。