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ひらめき電球木造校舎シリーズの第8回目は、岡山県真庭市久世鍋屋にある旧遷喬(せんきょう)尋常小学校を紹介します。


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↑旧遷喬尋常小学校校舎。明治40(1907)年竣工。

※画像サイズが大きいのでクリックして全体表示させて下さい。


今回紹介する旧遷喬尋常小学校の木造校舎は、

真庭市立遷喬小学校が平成2(1990)年夏に校舎を移転したため、

現在は内部が一般公開されています。

校舎は完全なシンメトリー(左右対称)のデザインとなっています。

中央部は倍の厚みがあり、玄関左右を少し張り出して

破風で飾り、その上に大きなマンサード屋根(二重勾配)がしっかり乗っています。

この旧遷喬尋常小学校校舎までは、JR姫新線の久世(くせ)駅で下車後、

徒歩で10分ほどかかります。


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↑JR姫新線の久世駅。

ローカル線なので電車の本数が少なく、しかも一両編成で

下車する際に、車内の運転席近くで切符を回収されます。

久世駅にはきちんと駅員がいますが

途中には無人駅もありました(;^_^A


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↑旧遷喬尋常小学校の裏は駐車場になっていました。

ちなみに、反対側の校庭はイベント等に使用されるため、

常に1枚目のような写真が撮れるとは限らないそうです。


パンフレットによれば、真庭市立遷喬小学校の前身は、

明治3(1870)年に旧久世町内の有志が発起して大旦高下につくった

明親館という塾だそうです。

命名は備中聖人の山田方谷で、自ら明親館の額を書き、

塾の先生には方谷の門人があたり、生徒数は46人でした。

そして、 明治7年(1874)年、栄町の中国銀行久世支店の付近にあった

久世代官所御蔵(年貢米倉庫)を校舎として開校しました。


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↑校舎の中央玄関。屋根の上には初代の校章。

写真の右下の石碑には校名の由来となった中国の古典・詩経の一節が刻まれています。

※画像サイズが大きいのでクリックして全体表示させて下さい。


正面左右の壁にはベネチア窓である飾り窓があり、

軒下の壁は筋交いを組んで化粧しています。

窓間の板壁は水平に下見板が張られ、窓下は垂直の縦羽目板になっています。

1階と2階の間の間に胴コーニス(蛇腹)が入っています。

屋根の上にある校章は、帆を張った高瀬舟で「久世」をデザインしたものだそうです。

本校舎開校時から大正12(1923)年まで使用していたそうで、

その後は久世の「久」を上下に組み合わせ、中央に「小」を入れていました。

平成6(1994)年に化粧直しをした時、元の高瀬舟に復元したそうです。

ちなみに遷喬という校名は、山田方谷が

中国の古典・詩経の“出自幽谷遷于蕎木”(ゆうこくよりいでて きょうぼくにのぼる)

との一節から2文字を取って、遷喬(せんきょう)と名づけたそうです。

この一節の意味は、ウグイスが深山の暗い谷間から飛び立ち、

高い木に移ることに例えて、学問に励み出身立世することと解釈されています。


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↑旧遷喬尋常小学校校舎の見取り図。

校舎内部は中央部分が広いせいか、外観よりも狭く感じました。


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↑中央玄関を入って左側の廊下。奥の壁面には、昭和63(1989)年度卒業制作。

卒業制作に描かれているように、廊下には分厚い松材が使われているそうです。

また、戸の板壁には全面無節の杉材で、その幅は一定ではないそうで、

工匠たちの情熱と技術の結晶といえる作品とパンフレットに

紹介されています。


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↑1階のきてみてよんで教室の前の廊下。


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↑きてみてよんで教室の内部。

『ゴルゴ13』・『サーキットの狼』などの漫画がありました。

校舎と同様、無料で開放されていますので、誰でも本・漫画の閲覧が可能です。

ただし、教室名の通り、貸出は不可です。


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↑きてみてよんで教室の隣の田口学級。

校舎の見取り図では山田学級でしたが、

実際には田口学級との表札がありました。

後で判明しましたが、反対の東側の端の教室に

山田学級の表札がありました。

なぜ表札が入れ替わっていたのかは不明です。

ちなみに教室の窓際にはオルガンが置いてありました。


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↑校舎1階西側の児童会室の隣のまわり階段。

道路標識の徐行が再利用されています。


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↑校舎西側のまわり階段を上ってすぐの福島学級。

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こちらも校舎の見取り図では奥村学級となっていましたが、

実際には表札が福島学級になっていました。

この教室の東隣の教室には3の2奥村学級、さらに奥の講堂に近い教室が

3の3中嶋学級との表札があったので、単に上記の校舎の見取り図が

間違っているだけだと思われます。

写真には映っていませんが、この教室の西側の壁の右端には虎の置物、

さらに中央には写真にあるように虎が崖で獲物を狙う楯がありました。


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↑奥村学級。

この教室の黒板に今日の献立とありますが、

こちらでは学校給食を味わうイベントが開かれるそうです。

その時の給食のメニューの板書が残っているのでしょう。

最前列の左端の机には給食の食器らしきものがオブジェとして置いてありました。


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↑中嶋学級。

この教室は、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』の教室での授業中のシーンや、

『ALWAYS 続・三丁目の夕日』の給食のシーンの撮影が行なわれました。


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↑黒板の右側の掲示板には撮影で使用された夕日小学校という

架空の学校の献立表などが掲示されていました。

日付もきちんと映画の設定通りになっています。

※画像サイズが大きいのでクリックして全体表示させて下さい。


左上から、献立表・保健室だより・学校行事予定表、

左下から、時間割表・交通ルールの注意書き・班ごとの掃除当番の場所でした。


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↑夕日小学校の保健室だより。


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↑教室の後ろの掲示板には、ゆうひ新聞という学級新聞がありました。

記事の内容も映画の時代設定通りですよね。


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↑旧遷喬尋常小学校校舎2階中央にある講堂。

2階中央の講堂は二重折り上げの洋風格(ごう)天井となっており、

鏡板はすべて無節の檜柾目板だそうです。

透明ガラスは、角度によって景色が変わるものがあり、

短い期間しか造られなかった貴重な手造りのものだそうです。

写真右下の案内板にもあるように、この講堂は終戦60年スペシャルドラマ

『火垂るの墓』で御影国民小学校(病院の設定)のシーンで撮影に使用されました。


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↑講堂の北側の壁に飾ってあった昭和49(1974)年度卒業制作。

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左側の校舎は現存していますが、右側の校舎は取り壊された校舎では

ないかと思われます。

さらに、左側の校舎中央の屋根にある校章が

復元された現在の開校時から大正12(1923)年まで使用されていた

帆を張った高瀬舟で「久世」をデザインしたものではなく、

平成6(1994)年に化粧直しをした時までの

久世の「久」を上下に組み合わせ、中央に「小」を入れた校章になっています。


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↑松田学級の前の廊下。


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↑松田学級。

この教室にはオルガンが置いてあるだけでした。


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↑実村学級。

黒板は取り外され、教壇の上に何かの行事の飾り物がありました。

この東隣にある谷口学級は倉庫として使用されているためか

入れませんでした。

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↑実村学級の前にある昭和36(1966)年度卒業制作のトーテムポール。


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↑東側のまわり階段。

西側と同様、橋の欄干を思わせる細かい細工が施されています。


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↑安藤学級。

校舎の設計者である江川三郎八が設計した建物や、

後身の岡山県真庭市立遷喬小学校に至るまでの遷喬尋常小学校の歴史、

展示物がパネルや模型を使って詳しく紹介されていました。

遷喬尋常小学校は、2年間の工事期間をおき、明治40年(1907)年7月20日に完成。

工事費は17,984円56銭で、当時の町予算(経常経費)の2.93倍もの

巨額な費用が投じられました。

費用のうち11,500円は県からの貸し付けを受けています。

建築材は真庭市木山国有林の優れた檜、杉材を選定し使用しているそうです。

ちなみに、この安藤学級の東隣の山田学級は倉庫として使用されていて

見学できませんでした。校舎の見取り図では田口学級となっていました。


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↑江川三郎八が設計した倉敷町立倉敷幼稚園。


遷喬尋常小学校校舎は、観光客や市民が自由に見学できるとあって、

8月に訪れた際には、家族連れの方や友人同士、さらには一人旅の方まで

私のように比較的若い年齢層の方々が校舎内を回られていました。

校長室が管理人室になっていて、管理人のおじさんが、

一人ひとりに「今日はどちらから来られましたか?」と

尋ねておられました。

校舎の見学は1時間程度で終わってしまうので

周辺の散策や近くの観光スポットを事前に調べておいた方が

良いと思います。


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第56怪の善城小学校の記事以来の木造校舎シリーズの更新となりました。

今回紹介した旧遷喬尋常小学校の木造校舎は、

平成11(1999)年5月に国の重要文化財に指定されていて、

また数多くの映画やTVドラマのロケ地というだけあって

内部もまるで現役の小学校のように感じられました。

また、最近ではアニメ『京騒戯画』の第2話で主人公コトが

神社世界で通っていた学校のモデルとなっています。

この貴重な木造校舎が取り壊される事なく、

これからもずっと残っていて欲しいと思います。


クローバーこれからも不定期に更新をしていきますので、黄泉ネットをよろしくお願いします(‐^▽^‐)


以上