下町M&A 中小企業の生き残り戦術 川原慎一 平凡社新書 | うみパパのブログ

下町M&A 中小企業の生き残り戦術 川原慎一 平凡社新書

第1章 Xデーがきた―苦渋の決断、第2章 倒産危機から再生への歩み、第3章 経営者の孤独―口の固い者がM&Aを制する、第4章 売り手と買い手、それぞれの鉄則、第5章 社員たちのM&A、第6章 「私的再生」という出口戦略」、という構成で、事業再生コンサルタントの著者が、実際に携わった中小企業のM&Aの案件について、ケーススタディとしてその経緯を記す。


東京の下町で自動車の部品の町工場が、高度経済成長の波に乗って、設備投資を重ね、取扱商品も増やしていく中で、バブル経済がはじけ、経営が急速に悪化する。

それに東日本大震災が最後の追い討ちとなり、不採算部門を売却する決断をする。

そのために、金融機関への根回し、買い手の探索、リストラする従業員への説得など数多くの関門をクリアーして円満なM&Aを成立させるまでをドキュメンタリー風に描いている。


仕事熱心でいいものを作る事を使命と心得る社長と、実際に経営を赤字から脱却させるためには何が必要なのかを模索する跡取りの長男の苦悩がよく伝わってくる。

現代日本においてかなりあるケースなのだと思う。

どの立場になるかは別として、明日は我が身と心得ておいたほうがいいでしょう。