横浜嚥下障害症例検討会

私たちは横浜、湘南、横須賀の医師、歯科医師、コメディカルの有志で作られた会です。嚥下障害の臨床を追求し、より質の高い臨床を患者さんに提供出来ることを目指しています。


テーマ:

今日は誤嚥性肺炎予防のエビデンスをご紹介致します。日本から寺本先生が海外に発信されたものです(s-sptを開発したDr.ですね)。

英論文のため(管理人の日本語訳が怪しいので)ご自身でご確認下さい。


title

ACE inhibitors prevent aspiration 

pneumonia in Asian, 

but not Caucasian, elderly patients 

with stroke


S. Teramoto, H. Yamamoto, Y. Yamaguchi, Y. Hanaoka, M. Ishii, S. Hibi and Y. Ouchi

Dept of Geriatric Medicine, Dept of Urology, Graduate School of Medicine, University of Tokyo, Tokyo, Japan. 


http://erj.ersjournals.com/content/29/1/218.full.pdf


タイトル

ACE阻害薬はアジアの高齢脳卒中患者(白人以外)の誤嚥性肺炎を予防する


ヨーロッパの呼吸ジャーナル最新号のVAN DE GARDEらの報告。ACE阻害薬は白人の集団において、市中肺炎(CAP:Community acquired pneumonia)による入院リスク減少とは関連がないことを証明した[1]。市中肺炎リスクに関するACE阻害薬の薬効が一般の白人の集団で観察されないという結論は、アジアでの所見と対照的にある。このstudyはかなりのサンプル数を集め、心血管疾患におけるACE阻害薬とCAPの関連を調べられたとても素晴らしいstudyである。この結果は受け入れられるものであるし、驚くことはない。しかしながら、考察と結論は、少々まぎらわしい。

{1304BAFE-C764-4052-8D9B-331893BC5B19:01}


表1で示すように、アジアの中でさえ肺炎のリスク減少に対するACE阻害薬効果に関しては論争がある。さらに、サンプル数はstudy間で非常に異なる。SEKIZAWAらによる前向き研究[2]において、ACE阻害薬の使用は2年間肺炎発生率を低下させたが、彼らは一般的な集団を調べていない。被験者は、脳卒中またはラクナ梗塞の既往をもつ高血圧の高齢患者であり、VAN DE GARDEらのstudyより平均10歳上であった。一方、ARAIらのstudyでは日本の一般高血圧高齢者(脳卒中除く)におけるACE阻害薬と肺炎のリスク減少との関連を調べている。驚くべきことに、彼らの3年間のデータは([6、7]より20倍高い発症率)肺炎の発症率が8.3–8.9%となっている。大きな合併症のない高血圧高齢の外来患者の3%が肺炎を患ったというのは信じ難い。

我々は、以前脳卒中の既往がない高血圧高齢被験者でACE阻害薬は肺炎リスク(CAP?)と関連がないことを示した[4]。ACE阻害薬はサブスタンスPの不活性化を終わらせ(サブスタンスP合成促進)、高齢患者において上気道反射である嚥下反射および咳反射を改善し、誤嚥性肺炎を減少させる。ただし、嚥下に問題を抱えない患者ではCAPを減少させる可能性はない。現在の根拠は、ACE阻害薬が高齢者における誤嚥性肺炎の予防で有意の役割を果たすが、一般の健康な成人のCAPには効果がない。これは、再発性脳卒中study(PROGRESS)の下位分析によって確認されている。

OHKUBOらは肺炎の発生率に関して、PROGRESSデータを再分析した[5]。ACE阻害薬による積極的な治療は、アジアの民族(平均(95%信頼区間)47%(14–67%)、(p=0.01))の間で、肺炎のリスクを有意に低下させた。非アジア民族(5%(-27–29%)、p=0.7:pは均一性=0.04)の間では肺炎リスクに有意差はなかった。これらの所見は、肺炎におけるACE阻害薬の作用に関しての証拠となる。PROGRESSの無作為設計は、分析を混乱させる可能性を減らし、観察研究[2、3]で報告される関連の有効性を探査する優れた機会を提供した。このように、重要な問題は高齢者の属する民族性、脳卒中の既往、全身状態、ACE阻害薬の効果が見込める嚥下障害をもつ患者の選択である。

臨床疫学研究としては、ETMINANら[8]によるACE阻害薬またはアンジオテンシンⅡ受容体遮断薬(ARBs)の使用とCAPに起因する入院リスクの間に有意差は見つからないという報告がある。本研究は、白人の集団で肺炎による入院リスク減少に関して、ACE阻害薬の限られた有効性を更に確認した。我々が推測する限り、ARBsには誤嚥性肺炎予防としての役割はないと思われる。

脳卒中と脳卒中の既往をもつ患者では、しばしば正常な咳嗽反射だとしても嚥下反射が低下しており、夜間の少量の不顕性誤嚥が肺炎のリスク主要因子であることが示されている[9、10]。それゆえに、脳卒中の既往を持つ患者は神経学的所見が乏しく、一般の高齢者より肺炎発症率が10倍高くなる[5]。また、加齢による上気道反射障害が脳卒中の既往歴にかかわりなく、高齢者のCAPメカニズムの一因として考慮されなければならない。

最後に、我々は誤嚥および不顕性誤嚥が誤嚥性肺炎の非常に重要な機序であると強調する。不顕性誤嚥は脳卒中や虚弱高齢患者で普通にみられる。そして、嚥下リハビリテーションまたは口腔ケアの行っていない嚥下障害症例は経鼻胃管にしても肺炎リスクを低下させることができない[11]

我々は、ACE阻害薬が使用された高齢患者で誤嚥性肺炎を予防することができたと考えている。脳卒中の既往および虚弱高齢者はACE阻害薬による肺炎リスク減少のための最善の候補である[12]。しかしながら、これらの利点は、脳卒中の有無にかかわらず白色人種の高齢患者で一貫して観察される可能性はないようだ。

REFERENCES

1  van de Garde EM, Souverein PC, van den Bosch JM,Deneer VH, Leufkens HG. Angiotensin-converting enzymeinhibitor use and pneumonia risk in a general population.Eur Respir J 2006; 27: 1217–1222.

2  Sekizawa K, Matsui T, Nakagawa T, Nakayama K,Sasaki H. ACE inhibitors and pneumonia. Lancet 1998;352: 1069.

3  Arai T, Yasuda Y, Toshima S, Yoshimi N, Kashiki Y. ACEinhibitors and pneumonia in elderly people. Lancet 1998;352: 1937–1938.

4 Teramoto S, Ouchi Y. ACE inhibitors and prevention ofaspiration pneumonia in elderly hypertensives. Lancet1999; 353: 843.

5 Ohkubo T, Chapman N, Neal B, Woodward M, Omae T,Chalmers J. Effects of an angiotensin-converting enzymeinhibitor-based regimen on pneumonia risk. Am J RespirCrit Care Med 2004; 169: 1041–1045.

6 Woodhead MA, Macfarlane JT, McCracken JS, Rose DH,Finch RG. Prospective study of the aetiology and outcomeof pneumonia in the community. Lancet 1987; 1: 671–674.

7 Jokinen C, Heiskanen L, Juvonen H, et al. Incidence ofcommunity-acquired pneumonia in the population of fourmunicipalities in eastern Finland. Am J Epidemiol 1993; 137:977–988.

8 Etminan M, Zhang B, Fitzgerald M, Brophy JM. Doangiotensin-converting enzyme inhibitors or angiotensinII receptor blockers decrease the risk of hospitalizationsecondary to community-acquired pneumonia? A nestedcase-control study. Pharmacotherapy 2006; 26: 479–482.

9 Teramoto S, Ishii T, Yamamoto H, et al. Significance ofchronic cough as a defence mechanism or a symptom inelderly patients with aspiration and aspiration pneumonia.Eur Respir J 2005; 25: 210–211.

10 Teramoto S, Matsuse T, Fukuchi Y, Ouchi Y. Simple two-step swallowing provocation test for elderly patients withaspiration pneumonia. Lancet 1999; 353: 1243.

11 Teramoto S, Ishii T, Yamamoto H, Yamaguchi Y, Ouchi Y.Nasogastric tube feeding is a cause of aspiration pneumo-nia in ventilated patients. Eur Respir J 2006; 27: 436–437.

12 Teramoto S, Kume H, Fukuchi Y. Antihypertensive drugsin Japan. Lancet 2001; 357: 720–721.

DOI: 10.1183/09031936.00115106 

AD
いいね!した人  |  コメント(0)

AD

Amebaおすすめキーワード

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

ランキング

  • 総合
  • 新登場
  • 急上昇