中国武術運動は内容が豊富で数多くの拳種、器械類、練功法があります。
そして現代版の武挙制度である、中国武術段位制では現在は中国各地で国際武術大会を開催し、中国国内だけでなく、世界各国での多くの武術項目、武術人士の持つ技能評価方法というのがあり、それをご紹介します。
人が人を評価する、というのはとても難しいことですが、納得がいくかたちが必ずできてこそ競技会という存在が成り立つものです。
(※中国ではよく大会期間中に武術指導者や担当した審判員による武術演武の示範が行われす。海外の多くの国々でもほとんとが行われているので日本も指導者や審判人員も演武示範を行うべきとよく思います)
二十四要について
「四撃 八法 十二型」と呼び、総称して’二十四要’といいます。
「四撃」は、蹴る、打つ、投げる、掴む の技術のことです。
当然のこととして攻撃技術を行えるだけでなく、 「四撃」 蹴る、打つ、投げる、掴む の防御技術を兼ね備えていることをいいます。
中国武術段位制ではこれらを武術元素として一段~六段まで「打つ」「蹴る」「掴む」「体当たり」「投げ技、受身」の5項目が規定動作として行えるように定められています。
「八法」は、「手」「眼」「身体操作」「歩法:フットワーク」
「精」「神」「気」「力」の配分法則のことです。 もっと、詳しく解説をすれば、
1、拳打流星 拳:パンチを打ち出す、勢いは「流れ星の如く」あらねばならない。
2、眼似電 眼は電光が光るように感じるほど、その意識の現れた「眼力」を相手に向けるのである。
3、腰如蛇行 身体操作:身法では、胸・背・腰・腹・臀部の五ヵ所が、 それぞれの運動特性を活かさなければならない、のである。
4、歩賽粘 歩法:フットワークでは、滑らかに素早く、時には重く「粘り」があるほど、し っかりと、 足運びができなければならない。
5、精要充沛 「精」を出す、と日本語でもいいますが、その通り、技を行う時の力の出る様子 は 「精:エッセンス」に満ちて、迷いなく大きく行うのである。
6、気宣沉 気を意識する、これは意識呼吸を使いこなす、ということです。 武術運動の呼吸法は、3方法あります。 ひとつは、「提」跳躍や、軽やかな技を行う「気」を上げる使い方。 二つめは、「托」停まる時や、繊細な技をする際の「やわらかな息使い」 三つめは、「集」極めて高い能力を発揮をする時に、大きく息を吸い、 深く息を吐き出し「気」を沈めて落ち着いた境地を創りだす為の呼吸方であり、 この3種類の中で、最も重要な呼吸である。
7、力要順達 これは、蹴る・打つ・投げる・掴むなどの「勁力:力の到達する道すじ」に、 三節:上下三つの関節(上半身:両肩・両手首・両肘 下半身:両股関節・両膝 ・両足首 の連続性を「六合」と呼び、「力」が大きい関節を通って「順」に「到達」させ よ、 ということである。
8、功宣純 「力」のことである。 力量・速度・耐久力が、より「純粋」な力のみで技を発し、 「力み」のない「技撃」を完成するのをめざす、のである。
そして最後が、「十二型」です。
これは、中国武術が持つ、最も大きな特性です。 その形態の活動の顕れは、十二種類あります。
それぞれが呼応しあうものであり、それは、 「動」「静」 「起」「落」 「粘」「立」 「転」「折」 「快」「緩」 「軽」「重」
「動」動くこと「怒涛」の波の如し、 「静」静かなること、山岳の如く佇み、 「起」立ち起こる姿は、猿のように反応し、 「落」下へ落ちて行く様は、鵲のように勢いよく降りる。 「粘」粘り強く存在する手本は「松」の樹木のように立ち、 「立」片足で立つのは、鶏のように安定し、 「転」走る足は、「車輪」の如く進め、 「快」技の連続性は、「快く流れる風」が吹き抜けるようである。 「折」身体のしなやかさは、折れない「弓」のような弾力を持ち、 「緩」緩やかで穏やかな様、空中で獲物を狙う「鷹」のようであれ。 「軽」空に浮いて動く様は、「葉」のように軽やかであり、 「重」重く安定する時は「鉄」のおもりのようになり、 というものです。
この二十四要を基に各自の持つ技能での演武と評価が行われます。
伝統武術競技ルール
採点基準
拳術 器械
配点 採点分類 減点の範囲
6点(動作規格)
手型 歩型 手法 歩法 軽微0,1 顕著0,2 甚だしい0,3
身法 腿法
跳躍 バランス 各種器械操作
2点(発力 協調)
発力の充足 力の使い方の順達度 軽微 0、1~ 0、5
力点の正確さ 手、眼、身、法、歩の協調一致さ 顕著 0、6~ 1、0
動作の鋭敏さ 運動の熟達度 沈着安穏さ 甚だしい 1、0~ 2、0
連貫円滑さ
2点(精神 リズム)
活力の充満 確立されたリズム 軽微 0、1~ 0、5
風格の突出度 内容の充実 構成の合理性 顕著 0、6~ 1、0
変化の多様性 配置の整合性 意識の集中 甚だしい 1、0~ 2、0
表情の自然さ 適度な速さ
失策による減点基準
審判員が執行
動作の忘却 0、1~0、2
剣穂・刀彩が身体に巻き付き動作に影響を与える 0、1~0、2
器械が床にぶつかる 0,1~0、2
器械」を落とした 0、4
ラインアウト 0、1~0、2
バランスを崩す 0、2~0、3
床へ倒れてしまった 0、4
審判長が執行
起勢と収勢が違反した 0、1
やり直し 1、0
(途中退場 評価なし)
時間不足と超過 2秒につき 0、1 太極拳は5秒につき0、1
減点事項について
服装や飾り物に演武に関する影響
0,1
時間不足2秒以内
刀彩や剣穂が身体に巻きつき動作に影響を与える 服装あるいは頭につけた飾りなどが落ちたり、地面に着く
器械が地面にぶつかる・触れる 器械から手が外れる
器械が身体に不用意にぶつかる 器械が曲がったりする変形
身体の一部がコートの外へ出てしまう
バランス:上体が定まらず揺れ動いてしまう 足の位置が崩れる あるいは定められずにバウンドをしてしまう
忘却:一動作を忘却してしまった場合
0,2
時間不足4秒以内
バランス:手、肘、膝、足、器械をバランスを崩したために地面に触れてしまった場合
0,3
時間不足10秒以上
器械が折れたりして壊れてしまう 器械を不用意に落としてしまう
転倒:両肩、あるいは両手、頭、体幹、尻もちを不用意にしてしまった場合
対練 集団
揃っていない 0,2減点
途中ケガをしてしまった 0,3減点
採点の全体的な配点基準について
套路競技での採点方法は以下の基準から裁定される。
1.動作規格
競技で行う套路内での全技術動作から各項目に求められる性質の完成度を見る。
技の整合性のために「型」と「方法」が適確かどうかを評する。
「手型」「歩型」「身法」「歩法」「器械操作方法」など。
一つ一つを全てを減点することはなく、多く出てきても0.3を越えることはない。
2.勁力 協調性
各武術項目の技術動作の実際の身体表現能力を評する。
勁力・功力がその用法に則り手の先、足の先まで到達しているかを見る。
上下左右のバランス、眼の動きと技術(器械操作)との合致、巧みに行われているかをここで採点する。
3.精神 リズム 内容 風格 技の結合 布局
精神:演じる者の内在意識表現を見る。
リズム:動作の中での時間的変化 動~静 快~慢 など。
風格:各武術項目の特徴と風貌の現れを見る。
技の結合:動作と動作のつながりが滑らかで巧妙かつ 起伏、自由自在な変転を見る。
布局:それぞれの武術項目における空間的変化
コート内の場所の使い方で、それは武術的行動範囲を評する。
空間の滞在部分を駆使し理に適い、バランスがとれ 変幻自在さを見る。
(逆にいえば、偏ってはならず、一部分のところだけに留まらないようにする)
4.失誤
動作を途中で頓挫し退場した場合、動作を忘れてしまった、器械の変形
衣服の乱れ、ふらつく・バランス等を崩す、起~収勢が合致しない、
コートから出てしまう、時間不足など。
参考基準
6点以下
動作は規格に合っておらず、用いる技がだらしなく感じる。
未熟さが目立ちひとりで完成させることができない。
6~6.9
動作に大きな誤りはないが、方法も基本的には沿っているが 何か不安を
抱いているように感じ、動作は時々合っていない。一応通すことはできる。
7~7.9
動作は比較的ルールに合っている。技もきれいに忘れることなく、套路を行っている。
8~8.9
動作はルールに正しく、方法もよく 力はよく届き手と眼と身法(器械)が整っていて完成度は高い。
9.0~
武術動作は規範に正しく、用いられる技の数々が清々しさをも感じる。
力は届くべき場所へ到達していて、リズムも滑らかで動きははっきりしている。
手や眼の動きと身体(器械)の使い方はピタリとまとまり よく練られた技が
その套路を完成させている。
2013年横浜武術院 中国武術・健身気功交流会 是非、ご来場をお待ちしております!
●2013年 横浜武術院 中国武術・健身気功交流会(入場無料)は
10月13日(日)港北公会堂で開催致します(東急東横線 大倉山駅下車 徒歩7分)
開場:13:00~ 開演:13:30~
そして現代版の武挙制度である、中国武術段位制では現在は中国各地で国際武術大会を開催し、中国国内だけでなく、世界各国での多くの武術項目、武術人士の持つ技能評価方法というのがあり、それをご紹介します。
人が人を評価する、というのはとても難しいことですが、納得がいくかたちが必ずできてこそ競技会という存在が成り立つものです。
(※中国ではよく大会期間中に武術指導者や担当した審判員による武術演武の示範が行われす。海外の多くの国々でもほとんとが行われているので日本も指導者や審判人員も演武示範を行うべきとよく思います)
二十四要について
「四撃 八法 十二型」と呼び、総称して’二十四要’といいます。
「四撃」は、蹴る、打つ、投げる、掴む の技術のことです。
当然のこととして攻撃技術を行えるだけでなく、 「四撃」 蹴る、打つ、投げる、掴む の防御技術を兼ね備えていることをいいます。
中国武術段位制ではこれらを武術元素として一段~六段まで「打つ」「蹴る」「掴む」「体当たり」「投げ技、受身」の5項目が規定動作として行えるように定められています。
「八法」は、「手」「眼」「身体操作」「歩法:フットワーク」
「精」「神」「気」「力」の配分法則のことです。 もっと、詳しく解説をすれば、
1、拳打流星 拳:パンチを打ち出す、勢いは「流れ星の如く」あらねばならない。
2、眼似電 眼は電光が光るように感じるほど、その意識の現れた「眼力」を相手に向けるのである。
3、腰如蛇行 身体操作:身法では、胸・背・腰・腹・臀部の五ヵ所が、 それぞれの運動特性を活かさなければならない、のである。
4、歩賽粘 歩法:フットワークでは、滑らかに素早く、時には重く「粘り」があるほど、し っかりと、 足運びができなければならない。
5、精要充沛 「精」を出す、と日本語でもいいますが、その通り、技を行う時の力の出る様子 は 「精:エッセンス」に満ちて、迷いなく大きく行うのである。
6、気宣沉 気を意識する、これは意識呼吸を使いこなす、ということです。 武術運動の呼吸法は、3方法あります。 ひとつは、「提」跳躍や、軽やかな技を行う「気」を上げる使い方。 二つめは、「托」停まる時や、繊細な技をする際の「やわらかな息使い」 三つめは、「集」極めて高い能力を発揮をする時に、大きく息を吸い、 深く息を吐き出し「気」を沈めて落ち着いた境地を創りだす為の呼吸方であり、 この3種類の中で、最も重要な呼吸である。
7、力要順達 これは、蹴る・打つ・投げる・掴むなどの「勁力:力の到達する道すじ」に、 三節:上下三つの関節(上半身:両肩・両手首・両肘 下半身:両股関節・両膝 ・両足首 の連続性を「六合」と呼び、「力」が大きい関節を通って「順」に「到達」させ よ、 ということである。
8、功宣純 「力」のことである。 力量・速度・耐久力が、より「純粋」な力のみで技を発し、 「力み」のない「技撃」を完成するのをめざす、のである。
そして最後が、「十二型」です。
これは、中国武術が持つ、最も大きな特性です。 その形態の活動の顕れは、十二種類あります。
それぞれが呼応しあうものであり、それは、 「動」「静」 「起」「落」 「粘」「立」 「転」「折」 「快」「緩」 「軽」「重」
「動」動くこと「怒涛」の波の如し、 「静」静かなること、山岳の如く佇み、 「起」立ち起こる姿は、猿のように反応し、 「落」下へ落ちて行く様は、鵲のように勢いよく降りる。 「粘」粘り強く存在する手本は「松」の樹木のように立ち、 「立」片足で立つのは、鶏のように安定し、 「転」走る足は、「車輪」の如く進め、 「快」技の連続性は、「快く流れる風」が吹き抜けるようである。 「折」身体のしなやかさは、折れない「弓」のような弾力を持ち、 「緩」緩やかで穏やかな様、空中で獲物を狙う「鷹」のようであれ。 「軽」空に浮いて動く様は、「葉」のように軽やかであり、 「重」重く安定する時は「鉄」のおもりのようになり、 というものです。
この二十四要を基に各自の持つ技能での演武と評価が行われます。
伝統武術競技ルール
採点基準
拳術 器械
配点 採点分類 減点の範囲
6点(動作規格)
手型 歩型 手法 歩法 軽微0,1 顕著0,2 甚だしい0,3
身法 腿法
跳躍 バランス 各種器械操作
2点(発力 協調)
発力の充足 力の使い方の順達度 軽微 0、1~ 0、5
力点の正確さ 手、眼、身、法、歩の協調一致さ 顕著 0、6~ 1、0
動作の鋭敏さ 運動の熟達度 沈着安穏さ 甚だしい 1、0~ 2、0
連貫円滑さ
2点(精神 リズム)
活力の充満 確立されたリズム 軽微 0、1~ 0、5
風格の突出度 内容の充実 構成の合理性 顕著 0、6~ 1、0
変化の多様性 配置の整合性 意識の集中 甚だしい 1、0~ 2、0
表情の自然さ 適度な速さ
失策による減点基準
審判員が執行
動作の忘却 0、1~0、2
剣穂・刀彩が身体に巻き付き動作に影響を与える 0、1~0、2
器械が床にぶつかる 0,1~0、2
器械」を落とした 0、4
ラインアウト 0、1~0、2
バランスを崩す 0、2~0、3
床へ倒れてしまった 0、4
審判長が執行
起勢と収勢が違反した 0、1
やり直し 1、0
(途中退場 評価なし)
時間不足と超過 2秒につき 0、1 太極拳は5秒につき0、1
減点事項について
服装や飾り物に演武に関する影響
0,1
時間不足2秒以内
刀彩や剣穂が身体に巻きつき動作に影響を与える 服装あるいは頭につけた飾りなどが落ちたり、地面に着く
器械が地面にぶつかる・触れる 器械から手が外れる
器械が身体に不用意にぶつかる 器械が曲がったりする変形
身体の一部がコートの外へ出てしまう
バランス:上体が定まらず揺れ動いてしまう 足の位置が崩れる あるいは定められずにバウンドをしてしまう
忘却:一動作を忘却してしまった場合
0,2
時間不足4秒以内
バランス:手、肘、膝、足、器械をバランスを崩したために地面に触れてしまった場合
0,3
時間不足10秒以上
器械が折れたりして壊れてしまう 器械を不用意に落としてしまう
転倒:両肩、あるいは両手、頭、体幹、尻もちを不用意にしてしまった場合
対練 集団
揃っていない 0,2減点
途中ケガをしてしまった 0,3減点
採点の全体的な配点基準について
套路競技での採点方法は以下の基準から裁定される。
1.動作規格
競技で行う套路内での全技術動作から各項目に求められる性質の完成度を見る。
技の整合性のために「型」と「方法」が適確かどうかを評する。
「手型」「歩型」「身法」「歩法」「器械操作方法」など。
一つ一つを全てを減点することはなく、多く出てきても0.3を越えることはない。
2.勁力 協調性
各武術項目の技術動作の実際の身体表現能力を評する。
勁力・功力がその用法に則り手の先、足の先まで到達しているかを見る。
上下左右のバランス、眼の動きと技術(器械操作)との合致、巧みに行われているかをここで採点する。
3.精神 リズム 内容 風格 技の結合 布局
精神:演じる者の内在意識表現を見る。
リズム:動作の中での時間的変化 動~静 快~慢 など。
風格:各武術項目の特徴と風貌の現れを見る。
技の結合:動作と動作のつながりが滑らかで巧妙かつ 起伏、自由自在な変転を見る。
布局:それぞれの武術項目における空間的変化
コート内の場所の使い方で、それは武術的行動範囲を評する。
空間の滞在部分を駆使し理に適い、バランスがとれ 変幻自在さを見る。
(逆にいえば、偏ってはならず、一部分のところだけに留まらないようにする)
4.失誤
動作を途中で頓挫し退場した場合、動作を忘れてしまった、器械の変形
衣服の乱れ、ふらつく・バランス等を崩す、起~収勢が合致しない、
コートから出てしまう、時間不足など。
参考基準
6点以下
動作は規格に合っておらず、用いる技がだらしなく感じる。
未熟さが目立ちひとりで完成させることができない。
6~6.9
動作に大きな誤りはないが、方法も基本的には沿っているが 何か不安を
抱いているように感じ、動作は時々合っていない。一応通すことはできる。
7~7.9
動作は比較的ルールに合っている。技もきれいに忘れることなく、套路を行っている。
8~8.9
動作はルールに正しく、方法もよく 力はよく届き手と眼と身法(器械)が整っていて完成度は高い。
9.0~
武術動作は規範に正しく、用いられる技の数々が清々しさをも感じる。
力は届くべき場所へ到達していて、リズムも滑らかで動きははっきりしている。
手や眼の動きと身体(器械)の使い方はピタリとまとまり よく練られた技が
その套路を完成させている。
2013年横浜武術院 中国武術・健身気功交流会 是非、ご来場をお待ちしております!
●2013年 横浜武術院 中国武術・健身気功交流会(入場無料)は
10月13日(日)港北公会堂で開催致します(東急東横線 大倉山駅下車 徒歩7分)
開場:13:00~ 開演:13:30~