【小説】アフターダーク | 本を片手に街に出よう

【小説】アフターダーク



村上 春樹
アフターダーク


インフィニシス
After Dark NEXT GENERATION

 昔、たまに出張などで大阪や福岡のような地元東京以外の都市にいくと、夜中に意味もなくファミレスに出かけたりして、見知らぬ街の人々の営み、息吹みたいなものを感じながら、さほど意味もなく物思いにふけったりしたことがありました。

 若いころって、なんか夜がやたら長くて、おきていようと思えばずっとおきていられて、それでいて何か面白そうなことがおきそうな、そんな感覚がありましたが、この本を読むとそんな昔のことを思い出します。

 深夜零時から朝まで、夜の街を舞台にまったく違う境遇と思想を持つ登場人物たちが、鉢合わせとすれ違いの微妙な狭間のような接点で絡み合う。
 時間軸に沿って幾つかの場所が多極的に描写され、意味深な伏線めいたものが控えめにちりばめられる。

 なんとなく春樹っぽい感じはします。

 でも、この登場人物たちはちょっとワザとらしいキャラ作りで感情移入はしにくい。
 謎めいた伏線だけ残して、物語も朝が来るとぶっつり終了するし。

 何とも言えないアンニュイで意味消失気味な会話で紡がれる物語の進行そのものが、まさにアフターダークですね。
 なんていうか、真夜中に熱帯魚の水槽を泳ぐいろんな種類の魚達をずっと眺めているような、そんな感じです。

 眠れない夜に、どうぞ。

 アタマも天気もどピーカンの真昼間に読むには、若干消化不良気味。


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