【小説】ジウ



誉田 哲也
ジウ―警視庁特殊犯捜査係 | ジウ〈2〉警視庁特殊急襲部隊 | ジウ〈3〉新世界秩序
暫く忙しくて仕事に没頭してたら、いつのまにか中国とは仲良くなりかけてるし、北朝鮮は核実験とか言ってるし、いやびっくりしてます。
警察モノ小説の紹介。かなり面白かったですよ。
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出版社 / 著者からの内容紹介
都内で人質籠城事件が発生、警視庁の籠城・誘拐事件専門の捜査一課特殊犯捜査係も出動するが……それは巨大な事件へ序章に過ぎなかった! 警察小説に新たなる二人のヒロイン、誕生!!
内容(「BOOK」データベースより)
ある夏の午後、都内の住宅街で人質篭城事件が発生した。所轄署や機動捜査隊が現場を固める中、本庁からは、門倉美咲巡査が所属する捜査一課特殊犯捜査第二係も出動。篭城事件や誘拐事件の現場作戦活動を担当するSITは、すぐに犯人との交渉を始める。だが、長引く篭城に、本庁警備部が特殊急襲部隊を待機させ、SITに無言の圧力をかける…。夜を迎え、差入れ役を命じられた美咲は犯人のもとへ向かった―。この瞬間、すべての歯車が回りだし、新たな巨大事件の姿が現れ始める。
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警察モノっていっても、濃厚な男の世界っていうのじゃなくて、主人公は女性です。しかも、正反対のタイプが二人。
一人は、草薙素子みたいなやつ。卓越した身体能力と戦闘本能で、ついには女性初のSAT隊員にまでなってしまう、伊崎基子。
もう一人は、もうどうしようもないくらいフツーで、心の優しい泣き虫オンナ、門倉美咲。
物語は、この二人が反発しあいながらも、数奇なタイミングで事件のたびに絡みまくる。
そして、謎の犯罪者、ジウ。
アクションの描写がスゴイです。切れ味抜群の描写で、たまに結構グロい感じもありますが、持ち前のスピード感故、勢いで圧倒されつつも一気読み。
また、主人公それぞれ、らしい恋愛描写もあったり、ちゃんと警察小説らしく陰謀と権力争い、縦社会の葛藤なども描かれつつ、バラエティ豊かなエピソード満載です。
でも、一番スゴイのは、徐々に明らかになっていくジウとその背後の巨悪、陰謀の深さなのです。
一見別々の事柄が絡み合っていき、徐々に明らかになる巨悪の存在。ラストに向かってどんどんカタルシスが増していきます。ぶっちゃけ、新世界秩序ってのは荒唐無稽なフィクションが炸裂するものの、美咲と基子、ジウが織り成す、悲しい心の痛み、叫びと、それを包み込む愛が、ちょい涙することうけあい。
長編3巻という長大な物語なのに、1冊づつちゃんと区切りをつけながらも次に期待を持たせつつ、張った伏線をどうにかしつつ、アクションも恋愛も効果的に挿入しつつ、盛り上げて涙でシメる。
この著者、あなどれん。