富永謙太郎と野口昴明 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

 講談の泉(1949.09)矢貴書店

 村上元三:風流編笠節 野口昴明 口絵

 

折れ目のないきれいな雑誌「講談の泉」を見つけたのでつい買ってしまった。500円。巻頭読切り長編に村上元三「松平長七郎旅日記:風流編笠節」野口昴明の挿絵は久しぶり。佐々木杜太郎の浅香主水捕物帖シリーズ(山崎百々雄挿絵)、山手樹一郎「遠山の金さん(中一弥挿絵)」、白井喬二「金色奉行」など割合い定番が並んでいてうれしい。

 

「大菩薩峠絵本」などで知られる野口昴明の師は小田富弥で中一弥・木俣清史とは兄弟弟子である。小田富弥門下での野口は画技に定評があり、この雑誌挿絵でも図抜けているのだが戦後はどちらかというと生彩がない。そのあたりの経緯は気になるところだが、挿絵画家の動向など砂浜に落とし物を探すがごとくである。一方「講談の泉」表紙は富永謙太郎で、人気画家として昭和40年代くらいまで大活躍する。