上野千鶴子,他の男流文学論 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
上野千鶴子0901
 男流文学論:上野千鶴子,他(1992)筑摩書房
 セクシィ・ギャルの大研究:上野千鶴子(1982)光文社

大好物の上野千鶴子本を2冊。近くの古書店で見つけた「セクシィ・ギャルの大研究」は、本作によって一気に売り出した上野の処女作で、この時は平安女学院短大助教授の34才。この本を読む限り、後に彼女が東京大学名誉教授にまで登り詰めるとは誰も思わなかっただろうなぁ。「男流文学論」は上野千鶴子、小倉千加子、富岡多恵子による恐るべき読書会で、吉行淳之介、島尾敏雄、谷崎潤一郎、小島信夫、村上春樹、三島由紀夫など、それなりに男くさい作家を俎上にあげています。

それぞれ、ダンボール一杯ほどの資料を読みこなしての鼎談で、メンツも恐ろしいが〝切捨て〟具合もハンパありません。これは一気読みでしたね。「小物作家を虐めてみたところで」と選ばれた大御所たちはさんざんに叩かれますが、島尾敏雄などこんなふうに読み解かれるのかと、ちょっと驚かされましたね。選ばれた作品だけでなく、その作品に対する主な評論まできちんと総括され、その出典も明らかにされてた至れり尽くせりの読書会でありました。花丸!