若桑みどり「薔薇のイコノロジー」パルミジャニーノ | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
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 parmigianino:首の長い聖母(16世紀)

若桑みどり「薔薇のイコノロジー」に紹介されているパルミジャニーノは「ペトラルカ、ボッカチオに始まるトスカーナ文芸の中で造り上げられた女性美の理想的な表現」だそうで、エル・グレコやモディリアーニを思わせる首の長いくねった姿態(いわゆる蛇状:セルペソティナータ)を思わせる。薔薇はもともと天国に咲いていたが、人類が原罪を犯した時にトゲを持つにいたった。よって、トゲのない薔薇だけが原罪を免れた女(聖母マリア)に捧げられる純潔の象徴となった。

絵画に描かれた薔薇を含めた植物などには隠喩が込められており、それを完成(集大成)させたのはダヴィンチで、いわゆる中世以降ルネッサンス絵画は読み解かれる意味合いをもつ。若桑は絵画に描かれた植物樹木名を同定し、時代文献からたんねんに読み解こうとしている。受胎告知に渡されるユリのシベがないのは、マリアの純潔を意味しといった具合に細かい図像学を展開している。集中が途切れると一行も理解が進まない本で難物ですね。

恥ずかしながらパルミジャニーノなる画家を初めて知りました。