猿飛佐助の変遷 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
$.-ブレックスの川村卓也
ブレックスの川村卓也

イラストの(マーカによるデッサン風)タッチ習得のためにいろいろ描いています。動きのあるスポーツ関係、女性よりは特徴がはっきりしている男性をモチーフに、とりあえずなんでも描いて身体に覚えさせます。

$.-ハーマイヨニー
Hermione Jean Granger

知人が妻のTシャツに(アイロン)転写するからと、リメイクさせられた。背と袖、または胸に。

$.-猿飛佐助
富田常雄:猿飛佐助(1948)太虚堂
$.-風魔
柴田錬三郎:柴錬立川文庫 風魔鬼太郎

猿飛佐助&真田十勇士は「西遊記」孫悟空を参考に、創作講談「立川文庫」叢書の一編(1913年,大正2年)として雪花山人(講談師玉秀斎とその家族)によって生み出されたが、膾炙するとともにさまざまな作家の手が入る。織田作之助「猿飛佐助」はラジオ放送用であったためか滑稽味が強いが、富田常雄版猿飛は明朗朴訥な性格で、女性に好かれるが植物系童貞ストイックでかえって相手を不幸にするようなところがある。戦後作品らしく、殺人を嫌い冷酷残忍な相手忍者も許してしまう。

この富田版によって人間味のある戦後の猿飛が提供されたことになる。また、真田幸村を中心に組立てられた「柴錬立川文庫/装幀画:東啓三郎」での佐助は、血湧き肉躍る「水滸伝」風の仕上りだが、(柴錬と富田はゴルフ仲間だったせいか)寡黙でやはり殺人は好まぬものの、夏の陣では32人を斬ってしまっている。池波正太郎「真田太平記」での向井佐助は歳若い下人として登場、戦闘には参加せず印象的なラストの重要人物として描かれ涙を誘う。

母を失い父子家庭の白土三平「サスケ」は、ついには新しくできた家族を含めすべて失う話で、少年マンガにしては暗く重い作品になっているが、多くは少年講談本の性格を踏襲しているようだ。こうして忍者佐助はさまざまな作家(映像も)よって育てられ、時代によって変態もするようで興味深い。なお、富田常雄「猿飛佐助」装幀画は叶内重朗(中尾進)で、猿飛との恋が叶わずついには狂を発する石田三成の娘多胡弥姫が表紙に描かれる。