医師監修を信じては行けない! | 【渋谷高野美容医院 Dr高野】食事指導やカウンセリングから脂肪吸引までボディの手術を多くてがけ、目の周りの手術などをやっています

【渋谷高野美容医院 Dr高野】食事指導やカウンセリングから脂肪吸引までボディの手術を多くてがけ、目の周りの手術などをやっています

【渋谷高野美容医院】院長のブログです。
外科専門医・小児外科専門医の資格を持ち、湘南美容外科で技術指導医をしていましたが、2014年12月に独立しました。
小さなクリニックですが、アットホームなやさしい雰囲気でお待ちしております。

このの記事で紹介するサイトは美容医療に関する情報を記事にして上げているサイトです。「ニコリー」と言うサイトですが、まぁ、素人ライターが書いているので、色々なクリニックのホームページの情報を集めてきたり、どことも知れないネット情報を集めてきているサイトです。 

どうしてこれらのサイトが存在するのか、こんなことをやって誰が得しているのか。。。ただで手に入る情報だからラッキー位に思っていませんか?

まず、どうしてこのようなサイトが存在するのかをお教えします。

テレビの取材は断ってはいけないのか?

テレビ局の方から引用・取材依頼の電話を頂きましたが、個人の発信ですのでと、お断りさせていただきましたところ「ネットと言う公の場に記事を公開しているのに取材を受けないのはいかがなものか」と言う主旨のお叱りを当院スタッフが受け、半ばガチャ切りされたそうです。
いまやネットに個人が投稿できる時代です。ネットに投稿した事にはテレビの取材を受けなければいけないと言うルールがあったのでしょうか?これはメディアの横暴ではないのでしょうか?

ガチャ切りって…それこそ電話の暗黙のルールをご存じないのでしょうか??

電話を受けたスタッフは、当件と関係なく、非常に嫌な思いをしたと私に伝えてきました。

1.SEOで上位表示させてアクセスを稼ぎ広告収入を得る 

SEOと言うのは聞いたことがあるかも知れません、グーグルやヤフーで検索した時に上位に表示させる技術です。

グーグルは色々な情報を使ってどのサイトを上位にするか決めているそうですが、書いてあることが正しいか正しくないかまでは判断できません。それを良い事に、素人ライターに大量の記事を書かせて、記事をアップするといくつかの記事は上位表示につながります。

このようにして自分のサイトに大量の人の流れを作ります。人の流れが出来たらあとは広告主を探して収益につなげると言う事です。特に美容医療業界の広告費率は高いですので、儲けも大きいと言う事になります。

さらに、新聞や雑誌と違い、手間暇かけて取材する訳でもないですし、医療知識のない人が書いてますので人件費も低く抑えられます。よってかなり儲かる仕組みが作れると言う事になるのです。

美容医療の主要キーワードによる SEO でユーザ流入を確保。美容クリニックへの送客により、予約に至った患者の施術費用の20% NICOLY が手数料として受け取る。NICOLY 経由で毎月3万人が美容クリニックにリーチしており、うち 1,000人が予約に至っている
引用:THEBRIDGE http://thebridge.jp/2016/07/incubate-camp-9th

もしあなたが、10万円の施術を受けるなら2万円がこの会社の儲けと言う事になります。別に広告なので悪い事ではないですが、こういう流れがある事は知っておいてもいいでしょう。

しかし、MERYが問題になったように、医療知識は一朝一夕で身に付くものではありませんし、間違った事を広めてしまってはいけませんので、なかなか手を出しにくい業界で、医師がやるか医療機関のサポートがしっかり得られていない場合は、手軽に参入すべき業界ではないのです

そこで、あまり分っていない医師に広告になるからとか持ち掛けて「医師監修」と言う大義名分を得ようとします。

私も行いましたが、素人が書いた記事をチェックするのはなかなか時間や手間のかかる作業です。ですので、適当に見て、もしくはチェックもせずにOKを出してしまう医師もいるでしょう。

「医師監修」と言っても決して、正しい情報が得られると思わないでください!

医学と言ってもすべてが分っている事だけではありませんし、意見の違い等が出てくるのは当たり前ですが、美容医療に携わる医師であれば一見して明らかにおかしいであろうと言うものが存在します。

2.ケース1

ボトックスの注意事項の嘘

リンク:https://nicoly.jp/article/1245

魚拓:https://megalodon.jp/2017-0606-0935-26/https://nicoly.jp:443/article/1245

 

このページには「ボトックス注射の後に抗生剤を服用しても問題ない」と書いていますが、ボトックスの添付文書(説明書)には、併用注意である抗生物質がいくつも書いてあります。

注意なので、気にしないと言う事でしょうか?これを一般的な情報として伝えるのはいかがなものでしょう。

(ボトックスの半減期を考えてOKとしているのでしょうか?少なくとも注釈等を交え解説すべきで、添付文書と違う事をメインにするのはどうかと思います。)

病気の情報ではなく美容医療の情報なので間違っていても健康被害などは起こらないし記事は適当でいいと思っているのでしょう。

ボトックスの作用機序が理解されていない

 

ボトックスの作用に関してもアセチルコリンの分泌を抑制する作用、筋肉を委縮させる作用、筋肉を委縮させる作用…色々あるそうです。なんだかすごそうですが、全部一緒なんですけど。。。

日本大学のページへのリンクが貼られていますが、どこを参照したんでしょうか??こんな多彩な事は書いていません。

そしてボトックスには、筋肉を萎縮させる作用があるので、咬筋にボトックスを注入すると、咬筋を使うことができなくなります

斬新すぎます。医師がちゃんと監修しているとはとても思えません。このレベルで正しい情報を広めたいとは、このレベルで広告収入得るっていいんですかねー。

間違っていてもSEOが上がれば問題なしと言う発想

ちなみにこのページは「ボトックス注射」と検索すると上位に表示されますが、いかにSEOを上げるかが彼らの至上命題ですから、上位に表示されれば内容の成否など関係ないのです。

過去にはこんな間違いも

このページ過去にはもっととんでもない間違いが書いてありました。

「ボツリヌス菌をアメリカのアラガン社という製薬会社が特別な方法で変性させ、毒素を無くし、薬として使用可能にしたもののことをいいます。」とありました。

ボトックス自体が毒素なんですが、、、

「ボトックスは筋肉を収縮させる」なども書いてありました。

私が指摘して直したようですが、修正した上でこのお粗末具合です。言われたとこしか修正する能力がなく記事全体を再度見直すなんてめんどくさい事は出来ないようです。

ちなみにボトックス注射は病気の方でも使用します。脳性まひでボトックス使ってる親御さんや、病気でボトックス使っている人もいるので正確な情報を伝えてもらいたいですが

ハッキリ言って、一回修正してこのレベルでは他のページにも多数誤りがあるでしょうし、Welqのようにサイト自体を閉めた方が良いのではないでしょうか。

3.ケース2

ちなみに、過去には他にもおかしい事が書かれていたので指摘しています。

脂肪注入は、自分のお腹や太ももなどから脂肪を少量摂取し、気になる部分に注入してふっくらさせます。注入した脂肪は毛細血管に取り込まれ、その部分の組織として生着。

 

脂肪は血管の中に取り込まれませんし、あたかも自然に書いていますが、間違いも甚だしいです。脂肪の塊が血管の中に入ったら、血管詰まってしまうリスクありますよ。

で、この記事の部分はちゃんと修正されているます。

リンク:https://nicoly.jp/article/6569

魚拓:https://megalodon.jp/2017-0606-1025-57/https://nicoly.jp:443/article/6569

脂肪注入は、自分のお腹や太ももなどから脂肪を少量採取し、気になる部分に注入してふっくらさせます。注入した脂肪は毛細血管から栄養を受けて、その部分の組織として生着。

 

それでもこのページ、眼輪筋がまぶたを開けたり閉じたりするって書いてあっておかしいですけど。(他の先生が指摘してたと思うんですがスルーだったんでしょうか)

しかし!でました。他のページでは修正されていないのです。 

リンク:https://nicoly.jp/article/6158

魚拓:https://megalodon.jp/2017-0606-1009-26/https://nicoly.jp:443/article/6158

 

注入された脂肪は毛細血管に取り込まれ、その部分の組織として生着。生着しなかった脂肪は体内に自然吸収されます。

 

彼らの「言われたら修正すればいいんでしょ」と言う姿勢が明確に伝わってきます。 

ちなみに、私が記事の間違いを指摘したのが2016/12/30、上の記事で同じ間違いをしているのが2017/01/05の記事なので新規の記事への対応がなされていない事もよく分ります。

これはもはや「間違えましたすいません」レベルではなく、このサイトの運営上の問題があるのでやはり一度Welqのように閉鎖した方が良いのではないでしょうか

加えて言えば、そもそも、2016.12.10に不適切考えた記事は非公開にしたとしています。(https://corp.nicoly.jp/archives/20)この時には引っかからなかったのでしょうか?

それぞれ別の先生が担当されているようですので、細かい字なので監修の先生は読み飛ばしてしまったのでしょう。

4.いい加減な情報はやめてほしい

さらっと読んでいると他にもいい加減な情報が出てきます。

魚拓:https://megalodon.jp/2017-0606-1139-52/https://nicoly.jp:443/article/6255

リンク:https://nicoly.jp/article/6255

笑気麻酔には痛みを抑える効果はないと…。確かに麻酔ってなんで効いているのかいまだに不明なものもありますが、笑気の添付文章にも麻酔の教科書(MGH麻酔の手引き)にも「鎮痛効果(痛みを取る効果)」と言うのが明記されています。

私の知識が古いのでしょうか?いつから笑気の鎮痛効果がなくなったのか教えて頂きたいです。

笑気麻酔には鎮痛効果もあると書いてあるページが嘘つきのように思われます。一般的な知見と異なる事を書くのであれば是非、その根拠を示すべきかと思います。

笑気添付文書一覧:http://www.info.pmda.go.jp/psearch/PackinsSearch?dragname=%B0%A1%BB%C0%B2%BD%C3%E2%C1%C7

確かに、これであれば「間違いましたすいません」程度と感じるでしょうが、薬の効果効能なんかは今やネットで簡単に添付文書と言うものを調べれます。難しい論文や教科書なんか調べなくても分ります。
明らかにネットで読みやすい何かの情報や伝聞をもとにして書かれた記事と言うのが分り、メディアとしての怠慢が明らかです。

5.とはいえ実は私も監修していました。

このニコリーと言うサイトが出来て初期の頃、運営者が訪ねて来て、今のネットは間違った情報や色々な情報が飛び交っていて、美容医療のきちんとした情報を発信できていないので、正しい情報を発信するために手伝ってほしいと。。。

私も、自分の記事やブログを書く際に感じていた事なので、OKの返事をし、いくつかの記事を監修しました。しかし、監修と言ってもちゃんと見ない医師や自分の都合のいいように記事を持って行く人もいるので中立的な立場でやるのであれば、その辺ちゃんとしてねと。私も、一緒に並べられたら嫌ですし、との約束をしました。

しかし、あれよあれよと言う間に参加医師の数がどんどん増えていき、これどうなの?と言う記事も増えました。

やはり営利目的でやっているので、記事を量産しないとペイしないのでしょう。質より量です。

ちなみに、私は1つの記事のチェックにはそれなりに時間がかかり、間違っている部分もありますので修正します。

そして、「二重整形後にあまり腫れないと評判の東京・大阪・福岡のクリニック」と言う記事も担当していますが、あくまで文章チェックのみです。

再三、ちゃんと監修してくれる医師でやってかないと正しい情報の載ったサイトにはならないよ、!と申し上げた結果がこれです。 

6.さいごに

キュレーションサイトと言う発想は悪くないと言う人がいますが、こういったサイトのやっている事はキュレーション(整理・まとめ)ではなく、ただwebにある情報を拾ってきて、SEOに引っかかるようにして大量のページを作っているだけで、散乱した情報を収集してSEOに有利な状態に構築して再度散乱しているだけではないでしょうか?

追記

この記事の内容を、サイトの間違い探しだと思われている方がいるようですが、上記サイトでの間違いがメインだとは書いていません。

この記事で対象としているメディア様におかれましては一度すべての記事を非公開とし、検証し直すとの事でした。非常に早く賢明な決断をされたと、私は思っています。そして、このメディア様のコメントにもあるように、

本件につきましては、「情報への指摘」を「記事への指摘」と限定して捉えていたことが主な原因と考えております。これにより、「記事内容へのご指摘」をいただいた際に、同様の内容が含まれている可能性がある他記事を、担当役員が確認しなかったことが本件につながったと考えられます。

上記より、運営体制の不備と言う事でご理解いただけていると考えております。

まずビジネスモデルの事を1章で書いておりますが、このアクセス数を稼ぎ広告収入を得るビジネスモデルを批判していません。グーグルと同じビジネスモデルですから批判するのも見当違いでしょう。
医学知識と言う専門性の高い記事を量産できる体制ではない事を批判しております。

この記事では、間違いを通して、この会社の体制を批判しております。本文にもありますが、この記事を公開する以前に何度かこの会社の方に分るように間違いを指摘しています。また、お薬の説明書である添付文書と言うのがあるよとも伝わっております。

細かい間違いをいちいち指摘するなと言う批判もあるようですが、間違いを起こすことは仕方ありません。勘違いもあるでしょう、私も勘違いや間違いを起こします。
しかし、間違いを違いを指摘されても間違いを修正しないで、数百万PVもあるような巨大なメディアが放置するのはいかがなものでしょうか?と言う指摘だという事です。