妊婦とお酒の話。 | あんなこと。こんなこと。

あんなこと。こんなこと。

こどものこと。 くらしのこと。 たのしいこと。

妊娠したら、お酒は控えなくちゃいけないと思ってた。
でも自他共に認めるワク(ザルですらない)な酒好き、
飲まないでいられることができるのか、心配でした。

夏の暑い日なんていつも昼間っからビールビールって言ってたし(笑)
すこし肌寒くなってきたら焼酎のお湯割り、日本酒ならぬる燗。
しこたま飲んだ後の梅酒は甘くとろけてこれまた至福…



妊娠してからというもの、「飲みたい」と思わなくなった。


キンキンに冷えたグラスやジョッキ。

ふわふわ、しゅわしゅわの泡。

アルコール濃度の高そうな、琥珀色の液体。


今までだったらうっとりしていたそれらのものに
突然、興味が失せてしまった。
自分でもびっくりするくらい、突然に。

グラスにつぐときの、とぷとぷいう音。ぱきぱきと氷が膨張する音。
たまらなく好きな音で、これをアテに酒が飲めたというのに。

愛は突然に冷めてしまった。

どんなお酒を見ても心は動かず、
飲む機会があっても口をつける程度。

妊娠前は、自分がいつか妊娠したらそんなお酒を見ては
うおおおおお飲みてえ!!
と、おたけびあげて我慢するんじゃないかと想像してたのに(笑)

なんでだろう?

思うに、いや単純に、
今まで飲みすぎだったんだろうなあ。

自分でも妊娠に気付いていない、つわり以前のはじめのころから、
ぴたりと、具合も悪くないのに飲みたいと思えなくなった。


ちなみに、産婦人科医の友達は、以前
「ぶっちゃけアル中でなければ胎児に問題ない」と言っていた。

アルコール摂取によって胎児に影響が出てしまった症例って
実は、母体がアルコール中毒のケースしか報告されていないの。
だけど、多少飲んだところで問題ない、なんて言ってしまうと
まずお酒に飛びつくのはアル中やそれに限りなく近い人たちなのね。
言ってしまえば、自制のできない一部の人のために、
一律で『悪影響を及ぼすおそれがあります』ってストップをかけてるわけ。
…だけど、今まで何ともなかったからって大丈夫というわけじゃない。
たとえば妊娠のストレスで飲み過ぎちゃってアル中になる可能性だってあるでしょ?

…と言って、彼女は妊娠中も普通にビールを飲んでいた。
産まれた子供はすこぶる健康で、もうすぐ小学生。明るくて賢い子に育ってる。


でも、彼女の言葉には続きがあって


「お酒を飲む飲まないにかかわらず、かならず、一定の割合で先天性の疾患を持ったこどもは生まれてくるの」

母親の状態に関係なく、
100人におよそ1人は先天性の心疾患
1000人におよそ1人はダウン症(←年齢によって割合は変わってくるけれど)
そのほか、先天性の疾患の種類はたくさんあって
遺伝性のものでなければ、原因不明のものがほとんどなのだそう。

誰にだってその可能性はある

もし、お酒を飲んでいた母親から何らかの疾患を持つこどもが産まれてきたら?

母親は、お酒を飲んだせいかもしれないと、自分を責めるかもしれない。
もしくは、父親や祖父母、家族たちが「酒を飲んだ母」を責めるかもしれない。

だから医者の立場として飲んでいいとは言えないの。
「飲んでも大丈夫って言ったのに病気の子が産まれた!」
なんて責められるかもしれないでしょ?

いくら関係ないって言っても「もしかして飲まなかったら病気じゃなかったかもしれない」とか思っちゃうかもしれないでしょ?

みんな必要以上に悲しい思いを抱えてしまう。
それに、お酒もかわいそうだ。

わたしはお酒のせいにしないもん。
産まれたこどもに何かあっても、そういう運命だったのだと受け入れる。
彼女はそう言って、おおきなお腹をなでながらビールを飲んでいました。



そうかあ。


そのとき、妊娠前のわたしは大いに納得して
お酒のせいにしないように飲もうと思ったものでした


でも実際、妊婦になったらてんで飲む気がおこらない。

あれれ?

このまま飲んでいたら、さすがにちょっとよろしくないですわよ
ってカラダが教えてくれたのかもしれないあ。

ははは。