湯川沿いの森林地帯をしばらく進むと、カワマス(ブルックトラウト)の産卵場がありました。ここはかつてこの地に別荘を持った外人さんが釣りを楽しむために放流したマスの子孫たちが野生化したのもで、今もなおマス君たちは種を絶やさないよう奥日光の厳しい自然の中で精一杯生きているという事になります。湯川にはカモも住みついていて、このカモたちは渡りをしないらしいですね。それだけカモたちには居心地がいいという事なのでしょうね。木道を進むと湿原がちらほらと見え始めてきました。空が良く見えるようになった頃、広大な「戦場ヶ原」に踏み入れました。このコースには多くの案内用の看板や、戦場ヶ原の言われが書かれた看板や環境に関するクイズなど設置されていて、そういった点でも楽しく歩く事ができました。他のトレッキングコースとは少し異なり、ところどころにバス通りと交差する、或いはすぐ近くに道路があるため、自動車から降りて少し湿原散策や滝を見る事も出来るので、老若男女いろいろな楽しみ方ができそうだと感じました。戦場ヶ原は一面の草紅葉に覆われていましたが、雨降る中での紅葉狩りとなったのは残念でした。晴れていれば白根山や男体山など周囲に日光連山が見えたはずです。湿原が終わるころ、小学生の一団に遭遇しました。そこは分岐地点で進路を誤って進んでしまうことになったのですが結果的にはノープロブレムの結果オーライで、小屋のあるバス停と公衆トイレが併設されていて助かりましたわ。お腹も減り始めて、雨降りの中での食事をどうしようかと思っていたところの有り難い屋根付きバス停小屋だった(確か「赤沼」だったと思う)ので、バス待ちの人に目も気にせず、おにぎり弁当をパクパクしました。ここまで、スタートの湯ノ湖から約6.4kmを歩きました。

 しばしの休憩を終えて、間違えた分岐地点まで戻り、再度川沿いを川下に向かって歩きましたが、ここからは木道ではなく土の道と変わってしまいました。水溜りが続く道になり、水溜りを避けながらの歩みとなりました。でもこの辺りから、川の流れが急になり小さな滝が点在して私達を楽しませてくれました。適度に疲労も加わっていたので、それらの滝で休憩しながらのトレッキングとなりましたが、水の流れる方向、つまりは低い方向へ歩くことになるので苦にすることも無く進む事ができたのでした。

分岐から1.7kmでゴールとしている竜頭の滝に到達するのですが、途中の「竜頭の橋」には多くのカメラを抱えた観光客が紅葉を楽しんでいました。この頃には天気も回復し、青空が見え始めて日差しが強くなり雨に濡れた木々の紅葉は見事に輝き出していました。この橋からは遠くに中禅寺湖を望む事ができ、それを写真に納めようとする人たちでした。話し声を聞いていると中国語がほとんどだったように思います。この辺りから湯滝から流れ出た川の名前は「地獄川」と名前を変えるのですが、その名の通り多くの岩場を流れ落ちる滝となって中禅寺湖にいたるのでした。これが「竜頭の滝」で、滝を右手に見ながらの長い下り坂を降りていくと、なんとマイカーが駐車している駐車場に辿り着きました。何も解らない、何も見えない未明の到着だったのですが、結果的には最高の場所に駐車していたようでラッキー! スタート地点の湯ノ湖から、このゴールの竜頭の滝までルート地図の距離程を足し算すると8.1km、時間にして約3時間のトレッキングでした。