【「日本人は滅びる」発言で波紋】   福田 涼太郎

ユニクロ柳井氏「日本人は滅びる」発言で波紋 ネット上で賛否、著名実業家も参戦

このままでは日本人は滅びる-。衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長の"予言"が波紋を広げている。移民受け入れによる生産性向上などを訴える柳井氏に対し、衣料品通販大手ZOZO創業者の前沢友作氏は「逆のように感じる」と反論。著名実業家たちも参戦し、賛否が巻き起こっている。

「少人数でも成果を」
発端は8月下旬の日本テレビによるインタビューで、柳井氏が「少数精鋭で仕事するということを覚えないと日本人は滅びるんじゃないですか」と指摘したことだ。

労働力の減少が進む中で、生産性アップに向けた取り組みは不可避との認識を示し、海外のように管理職や研究職など知的労働に携わる移民を受け入れ、少人数でも成果を出すべくレベルアップを図るべきだと訴えた。

その上で、人口減が進めば「公共や民間でサービスを受けられるものが受けられなくなる可能性がある」と懸念した。

これに異を唱えたのが前沢氏だ。X(旧ツイッター)に「僕は逆のように感じます」と投稿。さらに「日本人らしさが今後の国力の鍵になる気がしていて、それを薄めてしまうような、グローバリズムに迎合し、自らその渦にのみ込まれてしまうような考え方には違和感がある」とし、連帯を強める必要性を訴えた。

三木谷氏「日本に元気ない」
一方、実業家の堀江貴文氏は自身のユーチューブチャンネルで、グローバル化は既に進んでいると説明。「それを阻止するなら『鎖国するのか』となってしまう。(前沢氏の主張は)甘っちょろいと言わざるを得ない」と断じた。

また、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は週刊誌のインタビューに「柳井さんの発言の真意は存じ上げません」としつつ、「日本に元気がないというのは事実」と指摘。働き方改革で一律的に労働時間の上限が設けられたことに触れ、「日本以外の国のベンチャーやIT企業など知的社会型対応企業の従業員は猛烈に働いている。日本だけ『早く帰れ』では勝負にならない」とした。

ユニクロもデフレ進めた?
インターネット上では「世界を見ている人の意見は説得力がある」などと柳井氏に同調する意見があった一方、「ユニクロも薄利多売でデフレを進めた一員ではなかったのか」と現状を招いた一因とみる声も多くみられた

元財務官僚で嘉悦大の高橋洋一教授は「日本が滅びる滅びないは金融政策や財政政策といったマクロ経済の話。柳井氏も前沢氏も企業経営、すなわちミクロ経済の話をしており、経営のやり方は山ほどあるため、どちらが正しいかなんて分かるはずない」と語った。(福田涼太郎) 

以上「頂門の一針 6994号」より

続いて「頂門の一針 6994号」より転載します。

【日本は本当にダメな国なのか】
<正論> 麗澤大学客員教授・江崎道朗 

 安全保障に関して日本はダメだと思い込んでいる人が多いが、果たしてそうか。

 「戦争の放棄」を掲げた現行憲法のもとで我が国の国防方針は長らく「対米依存」だった。昭和32(1957)年に閣議決定された「国防の基本方針」は《外部からの侵略に対しては(中略)米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する》というものであった。いざとなれば米国に守ってもらおうと考えてきたわけだ。

 だが、そうやって国防を米国に依存してきたことが対米譲歩と日本の衰退を生んできたのではないのか。そうした観点から宮川眞喜雄氏(元駐マレーシア特命全権大使)が月刊『正論』9月号で生々しい証言をしている(「『日本改造計画』は何だったのか<第4回>『普通の国』になり損ねたまま」)。

 《安全保障で一国にあまりにも偏った形で依存しているところにも大きな原因があったと思いますが、貿易摩擦の交渉では日本は多くの場合、アメリカに譲歩させられていました。政府内ではアメリカとの貿易問題では日本側がある程度我慢しなければならないんだ、と言われていました》

 米国に対する《一方的な防衛依存》への負い目から貿易交渉での譲歩はやむなしと考えるようになったし、実際に譲歩を強いられたとして宮川氏はこう証言する。

 《半導体、人工衛星、スーパーコンピューター、工作機械といった、要するに先端的・戦略的な分野で相当に譲らされました》

 かくして対米依存が技術立国日本を衰退させたのではないかとしてこう指摘している。

 《半導体など、今の惨状は目を覆いたくなります。私は外務省でその交渉の現場にいたので目撃していましたが、譲歩の結果、今まさに戦略的な分野での日本の力、国力が異常に萎えてしまっています。原因は日本の産業界にもあるという人はいますが、あのときの合意も問題があったと思います。日本が開発し所有していた技術の強さがどんどん摩耗していく。私たちが大丈夫なのかと案じた通りに崩壊していきました》

 この証言の当否は検証されるべきだが、国防を外国に依存した国が発展できるはずがない。
[自分の国は自分で守る]

 ある意味、技術立国日本の衰退を招いた「対米依存の国防方針」を変えたのが第2次安倍晋三政権だった。

 中国、ロシア、北朝鮮の軍事的脅威を見据えて第2次安倍政権は2013年、戦後初めて国家安全保障戦略を策定した。それまで日本は自前の国家戦略も策定しておらず、国防だけでなく、対外戦略も米国に依存していた。だが安倍政権は、日本は日本のやり方でやっていくとして自前の国家戦略を定めた。そして対米依存の国防方針を改め、「我が国の能力・役割の強化・拡大」を掲げて自衛隊の強化に着手した。

 15年に制定した平和安全法制では、集団的自衛権に関する憲法解釈を変更し、自衛隊の新たな任務として「武器等防護」を規定した。外国軍の艦艇や戦闘機が平時の活動として訓練などに従事する際、自衛隊が警護できるようにしたのだ。以後、自衛隊は米軍の艦艇を警護することができるようになった。米国に守ってもらうだけではなくなったわけだ。

 岸田文雄政権はこの安倍路線をさらに拡大・強化した。22年、全面改定した国家安全保障戦略に《我が国を守る一義的な責任は我が国にある》と明記し、「自分の国は自分で守る」国防方針をより明確に打ち出した。
[自国の歩み正確に理解を]

 しかもその方針を具体化すべく5年間で43兆円の防衛予算をつぎ込んで《我が国自体への侵攻を我が国が主たる責任をもって阻止・排除し得る能力》だけでなく、《反撃能力》の保有にも踏み切った(国家防衛戦略)。戦後の日本は専守防衛の立場から相手国への攻撃能力は保有せず、いざというときは米国に反撃してもらうことにしてきた。岸田政権は、この「日本は盾、米国は矛」という対米依存を変えることを決断したのだ。

 しかも反撃能力の保有に向けた動きは急ピッチで進んでいる。8月30日、防衛省は来年度の概算要求を発表し、敵基地反撃能力の保有、つまり長射程ミサイルを来年度中に配備する方針を明らかにした。反撃能力の保有を決断したのが22年12月なので、僅か3年余りでミサイル配備まで漕(こ)ぎつけることになる。

 ただし有効な反撃を行うために、画像情報だけでなく、敵の作戦計画などを入手するインテリジェンス能力の保有、具体的には国家シギント機関の創設を決断すべきだ(茂田忠良元内閣衛星情報センター次長と筆者の対談本『シギント』参照)。

対米依存から自分の国は自分で守る国へ、我が国は懸命に自己改革を進めている。いまだに「日本は米国の言いなりだ」みたいな認識を引きずっている人がいるが自国の歩みを正確に理解したいものだ(えざき みちお)

☆☆☆☆☆☆  松本市 久保田 康文  産経新聞令和6年9月12日号採録

【「天下分け目」の自民党総裁選】

<高橋洋一「日本の解き方」> 1回目投票は人気と政策が”鍵”決選投票は政治権力闘争の様相、土壇場で寝返りの可能性

 自民党総裁選は過去最多の候補者数となった。1回目の投票が地方票と国会議員票が同じ比重、決選投票では、国会議員367票プラス各都道府県47票(上位2人のうち各都道府県で1回目の投票の獲得票が多かった方に1票が入る)という仕組みだ。

 推薦人20人の確保ができたとして立候補を表明した議員は11日時点で9人となった。

 これだけ立候補すると、票は分散するので、1回目の投票で過半数を取るのは至難の業だ。1回目では、国会議員票と同じウエートの地方票の差がものを言いそうだ。地方票は党員投票367がいわゆるドント方式で各候補者に割り振られるので、党員の世論調査が正しく行われれば、その投票比率に近い形になるはずだ。

 各種の世論調査では、上位は、石破茂元幹事長、小泉進次郎元環境相、高市早苗経済安保相となっている。これに、分散化された国会議員票が加わり、1位と2位が決まる。

 上位2人による決選投票は国会議員票のウエートが高いので、国会議員がどのように流れるかがで決まるだろう。要するに、決選投票と1回目投票とはまったく異なる結果が出ても不思議ではない。

 実際、2012年の自民党総裁選では、安倍晋三、石破茂、町村信孝、石原伸晃、林芳正の各氏が立候補した。第1回投票では、安倍氏が141票(議員54、党員87)、石破氏が199票(議員34、党員165)、町村氏が34票(議員27、党員7)、石原氏が96票(議員58、党員38)、林氏が27票(議員24、党員3)で、安倍氏は石破氏に大きく差を付けられて2位だった。

 しかし、決選投票では、安倍氏が108票(議員108)、石破氏が89票(議員89)で、安倍氏が競り勝った。国会議員票と地方票のウエートが今回の総裁選とは異なるが、1回目は地方票、決選投票は国会議員票がポイントという特徴は出ている。

 1回目の投票は地方票なので、人気と政策がカギになるだろう。今のところ、石破氏、小泉氏、高市氏が3強だが、今後の討論会などの状況によってはこの順位も大きく変わりうる。石破氏はこれまで4回も総裁選に挑戦したのでコアな支持があるはずで、今回は”5度目の正直”で総裁をやらせてやりたいという思う党員もいるだろう。その半面、解散総選挙が迫っているので、若さが武器の小泉氏や女性である高市氏に食われるかもしれない。

 小泉氏は経験不足もチームで乗り切る。高市氏は圧倒的な政策力で、新鮮味と実力を兼ね備えている。

 決選投票は、国会議員票のウエートが大きいので、政治権力闘争の様相となる。見た目や討論力だけでなく水面下の動きも含めて全ての能力が問われる。いわば政界における「天下分け目の関ケ原」であり、土壇場の寝返りもあるだろう。

 1対1の戦いなので多数派工作を制した者が勝者となる。ここは各陣営の総力戦になる。 (元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)

☆☆☆☆☆☆☆  松本市 久保田 康文  夕刊フジ令和6年9月13日号採録

以上「頂門の一針 6993号」より

続いて「頂門の一針 6993号」より転載します。

【変見自在】【韓国的正義】 高山正之


 ソ連が侵攻してきたとき、支那人も朝鮮人も日本の敗北を確信した。
 朝鮮の北の端、羅南に住んでいた11歳の擁子の家に朝鮮人警官が4人、土足で上がり込んできて母の銀縁の眼鏡や擁子の文鎮まで取り上げていった。

 留まれば殺される。母は擁子と姉を連れて日本に戻るために羅南を出た。しかし想像もしないトラブルが続いた。羅南駅の朝鮮人駅長は日本人を逃がさないのが仕事かのように難癖をつけて乗車を拒む。

 やっと貨物車に乗れたが、まどろむ間もなく米軍機が列車を爆撃した。三人は夜を徹して70キロ先の京城(ソウル)を目指した。朝鮮人が行く手を遮った。所持品を奪い、三人を犯そうとしたとき、米軍機が飛来した。母と姉はとっさに身を伏せた。

 爆弾は炸裂し、朝鮮人は死に、擁子は軽い怪我だけで済んだ。
同じように引き揚げる日本人がいた。擁子の兄、淑世(ひでよ)が追いすがろうとしたとき、銃撃音が聞こえた。危険を感じ、斜面を駆け上がって身を伏せた。目の届く先で数人の朝鮮人が日本人を撃ち殺していた。死人の服を剥ぎ、荷物を広げて貴重品を漁った。死者の口をこじ開けて金歯を引き抜く者もいた。

 たどりついた京城も安全ではなかった。昼日中から日本女性が攫われ、犯されてぼろぼろになって打ち捨てられた。母子三人は京城から釜山へとさらに逃げ、その年のうちに何とか博多に戻ることができた。苦労はまだ続くが、擁子はやがて米国人と結婚して米国に渡り、この体験を綴った『竹林はるか遠く』を発表した。

 それがボストン市図書館の目にとまり、1998年、学校推薦図書に入った。教材として授業で使われるようになったのだ。しかし2007年、市内の私立高に通う韓国人生徒ホ・ボウンが「朝鮮の人がそんな残酷なはずはない」と授業をボイコットした。

 擁子は真実を書いた。彼女らが故国の土を踏んだ博多港近くの二日市保養所では朝鮮半島で強姦され、妊娠した女性の堕胎手術が連日のように行われていた。保養所で昭和21年6月に手術を受けた47人の聞き取り調査結果が残る。

 強姦したのは28人が朝鮮人で、以下ロシア人8人、支那人6人、米人3人と続く。野卑な国ばかりだ。ホは「朝鮮人は残忍ではない」という。ならばアーソン・グレブストの『悲劇の朝鮮』を読むがいい。殺す前に体中の骨を折る残酷刑チュリとそれを喜ぶ民衆の姿を紹介している。

 セオドア・ルーズベルトは「国家とも呼べない」無責任と腐敗の李氏朝鮮を見限り、米公館を全て閉鎖。「あとは親切な隣国に面倒見てもらえ」と日本に押し付けてもいる。しかし韓国メディアはそうした歴史は見ないで、大騒ぎを始め、ついには在米韓国人が「著者に聞く」とかの名目でヨーコ・カワシマを呼び出し、公開の場で吊し上げ集会を開いた。

会場には怒れる在米韓国人と韓国紙特派員から韓国領事も詰めかけた。
タイトルについて「朝鮮に竹はない」から始まって些細な食い違いを衝く。肝心の半島での邦人虐殺や強姦の事実は調査もしないまま。集会はヨーコに謝罪させて終わった。

 勝ち誇った韓国人はボストン市教育委員会に押しかけ、ヨーコの作品を推薦図書から外せと要求した。騒ぎの間、掃いて捨てるほどいる日本人特派員は一人も姿を見せず。ボストン総領事館員も同じだ。

「擁子さんの個人的な問題」と見たのか。日ごろ「歴史を直視しろ」とか偉そうに言う朝日新聞も韓国人には同じ台詞を吐こうともしない。

日本人は国際社会で言葉が少ない。『中国の戦争宣伝の内幕』のフレデリック・ウイリアムズは「日本人は宣伝下手だ。逆襲する場で黙ってしまう」と指摘する。

大声で言おう。「黙れ。この嘘つきども」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆  松本市 久保田 康文 『週刊新潮』令和6年9月19日号採録

 

【強制労働教養所の虐待】
2013年以前シナには労働教養所(通称・労教)があった。思想上の過ち、軽微な罪、陳情など社会秩序を乱したとして、司法手続きなしで3年以内の拘留、強制労働を科す制度である。

全国300カ所以上ある労教の中で、ひと際悪名を轟かせたのが「馬三家女子労働教養所」である。そこでは、法輪功学習者が多く収容され酷い拷問が為されたとされる。

取材は2013年2月。馬三家を出所した女性が同房の劉玉玲から預かった手紙を、陰部に隠して持ち出して判明した。この二年前には王桂蘭が、同房の劉華の手紙を陰部に隠して持ち出し、一年前には陸秀娟が穴をくりぬいた石鹸に隠して持ち出している。

これ等の内容は衝撃的である。収容時の検査で、髪を刈り、全裸にして凶器の保持を徹底的に調べる。子宮筋腫で大量出血し、腰から下は血まみれの女性も居た。所内の食費は月額約2500円。ビタミンや塩分の不足で爪などが変色した。

強制労働は時に一日20時間に及ぶ。馬三家最盛期には5千人の入所者が無償で強制労働させられ、年間約16億円の売り上げがあった。公営の奴隷工場と言えるだろう。

ノルマが達成できないと、何日も顔を殴るなどのイジメが行われる。徹夜仕事で疲れた入所者が居眠りすると、曲尺で背中を殴る。体調不良で仕事を休もうとすれば、ミシンで手指を縫われたり、太い針で肩や背中をめった刺しにされる。

反攻すると、「小号」「電気棒」「大掛」「老虎(虎椅子)」「死人床」などの拷問がある。「小号」は懲罰室で真っ暗な4平方米の部屋に何か月も閉じ込められる。5ヶ月も入れられた超敏は、出て来た時には両足の静脈が腫れ上がってゐた。

「電気棒」はスタンガンの事である。顔や首、頭などに20分近く当てる時もある。皮膚が破れてただれた。女性器や肛門に突っ込まれる事もあった。

「大掛」はベッドや壁、鴨居に手錠して身体を磔のように吊り下げる懲罰だ。2時間近くこれを受けると、首が歪み顔中に脂汗が浮かぶ。超敏はこの拷問を28時間も受けた。排泄はズボンの中にするしかない。

「虎椅子」とは、手足を固定する鉄の椅子で、強制的に背中を弓なりに反らせる拷問。もがけば粗い鉄板が尾骶骨から背中の皮膚をこすり、手足がより締まる。

「死人ベッド」は、手足や首に固定具が付き、排泄用の穴が開いた鉄のベッドだ。口に拡張器を付けて強制的に流動食を流し込む拷問である。強い力でこじ開けるので歯が抜ける事もあった。
 
彼女たちは是ほどの拷問を受ける罪を犯したのか?女性たちの罪状は陳情、売春、軽微な窃盗、ローンの不払い等である。それだけで人間の尊厳を剥奪されるのだ。メディアの司法もシナでは人を救う力を持たない。

以上「孔子を捨てた国現代中国残酷物語」福島香織著より

続いて「頂門の一針 6992号」より転載します。

【「南北平和統一」という空理空論】

【室谷克己実「深層韓国」】「思想戦の自覚なき被害者」の日韓、戦後の左翼教育の結果と見るべき

 南北朝鮮の「平和的統一」とは、あり得ない虚構だ。ところが、日本にも韓国にも、南北統一を”実現すべき課題””実現できる理想”と思い込んでいる人々がたくさんいる。これは日韓とも「戦後の左翼教育」の結果と見るべきだ。

 南(大統領制国家)と、北(王朝国家)が合併するとなったら、どんな政体になるのか。

 それを国民投票で決めるとしたら…「投票の公正」は担保されるのか。南からは「大統領への権力集中制」「象徴元首の下での議院内閣制」など幾つかの案が出るだろう。結果として、王朝国家で行くことが比較多数を占めたら、南の住民は従うのか。

 南の財閥は国営化するのか。それとも、北の国営企業を民間に払い下げるのか。

 仮に、「大統領制で自由経済体制」と決まったとしたら、朝鮮労働党という大利権集団は従うのか─。

 北の体制崩壊(=その前提は、中国の共産党独裁体制の破滅)か、南の完全従北化(=その前提は米国の対韓離縁)でもなければ、「吸収型統一」もあり得ない。

 潘基文(パン・ギムン)元国連事務総長が最近の講演で「南北統一は中国と日本にも利益」(聯合ニュース9月3日)と語ったのは、まさに”空理の上の空論”だ。

 韓国の小中高校での「統一教育」は、統一の困難さの説明には時間を割かないようだ。教育省と統一省の合同アンケート(小中高校生7万3000人対象)によると、統一教育で学んだ内容(複数回答)として挙がったのは「南北平和の重要性」(52%)、「北の人たちの生活と社会」(46%)、「統一がもたらす利益」(46%)などだった。

 結果として「統一が必要」(61%)が、「必要ない」(25%)を上回るわけだ(聯合ニュース2022年2月18日を参照)。
[北が明確にした「統一」志向しない路線]

 日本の戦後教育は、「平和=絶対善」を説いた。それは概念や状況としての「平和」だけでなく、「平和」という2文字が付くものは全て正しいかのような錯覚を醸成した。だから 日教組全盛時代に育った日本人は「平和統一」に疑義を差し挟まない。

 一方、北朝鮮は23年夏あたりから、「南北統一」を志向しない路線を明確にした。背後に、どんな思惑があるのかは、分からない。

 そんな動きがあるのに、いまだに「南北統一で世界平和を」と空念仏を唱える人々が日韓双方にいる。「思想戦の自覚なき被害者」と言えるだろう。(ジャーナリスト・室谷克美)

☆☆☆☆☆☆☆☆  松本市 久保田 康文  夕刊フジ令和6年9月13日号採録

【戦前教科書をノスタルジアで読むだけでは心許ない】
  行間に戦略的思考がたくみに配列されているのだ

文部省『復刻版 初等科理科』(佐波優子解説、ハート出版)

 戦前の理科の教科書をノスタルジアで読む世代は、おそらく85歳以上だから、それほどの数ではない。郷愁より、歴史の副読本的にあの時代の感覚を知ろうとする動機で本書を手に取る人のほうが多いかも知れない。

 たとえば日本人のノーベル賞受賞者を一覧すると、夥しい天才達は、このたぐいの理科教科書を読んで育ったのだ。

 本書は戦前教科書の復刻シリーズの第11弾である。竹内久美子、三浦小太郎、葛城奈海、矢作直樹、小名木善行氏らがそれぞれの解説を受け持ってきた。こんかいは佐波優子さんが解説を担当している。評者(宮崎)も、このシリーズでは初等科地理教科書の復刻版の解説を書いた。

「国家戦略の下、教科書でも隋所の記述は産業と港湾の分布を重視した“地政学が基礎にある”」と書いたことを思い出しつつ、本書を通読し、おなじ思いにとらわれた。


理科教科書は実験や科学的方法もさりながら初等科では数式は出てこない。強調されているのは、疑問をもったらすぐに実験や実測を試みて、理科的知識を身につけることである。

 当時、日本が置かれた国際環境はといえば、列強に囲まれ、いかに生存してゆくのかという国家的命題があり、国民のこころがまえが教科書の行間に滲んでいる。挿入されているデッサンや写真の日本人はみなが凜々しいのである。

 冒頭は、いきなりサツマイモ、ジャガイモの育て方である。はたと思い当たるだろう。
糧食の確保を解いているのである。ついで稲作、土壌改良、田植え、刈り入れも当然の記述だが、トンボやカマキリは虫をたべるので大切に扱えとかいてあって、そうだった、評者がこどものとき周囲は山、川、田圃と畑、農家は馬を飼っていた。畦道には蛙がないていたし、コオロギがいた。「田園の香水」というのは人糞のことだった。

 当該教科書はつぎにアルコールに言及している。
麹はカビからできる。アルコールで甘酒を造る方法が説かれ、そのつぎが養蚕と大麻、現代日本人は完全に忘れてしまったことだが戦略物資の確保をさりげなく日常生活の知恵として活かせとしていることだ。

 初等科も高学年になると「金物」の編ではこういう書き出しになる

 「戦争をするには、軍艦、鉄砲、大砲、戦車、飛行機、弾などがいる。これらを造るにはいろいろな種類の金物が必要ある。(だからこそ)私たちは、いつも気をつけていて、金物をむだなく使い、少しでも捨てないでおいて役にたてよう」(287p)。 

 この項ではメッキやはんだの実験が奨励され、「電池」の項目につづくのが「電信機と電鈴」、そして「電動機」である。
 軍事通信の基礎を教えている。

 凧揚げの項目は風向きなどが説かれ、つぎはグライダーのつくりかたへ飛躍し、飛行機へと学習対象は発展し、戦争準備の基礎知識が網羅されている。まさに「戦争は発明の母」である。

 こう書かれている。
 「我が国が大東亜を守り、太平洋を制して行くには、飛行機を使わなければならない。これからは長く飛びつづけることができる、早い飛行機が必要である。私たちはもっと勉強して、よい飛行機を工夫しようではないか」

 解説の佐波優子さんは次の言葉で締めくくっている。
 「『自然との調和』を重視し、児童が実体験を通じて学び、問題解決力をやしなうことを目的としてこの教科書は、現代においてこそ、その意義が必要で、改めてその価値が再評価されるべきものです』(346p)。

以上「宮崎正弘の国際情勢解題」より

続いて「頂門の一針 6992号」より転載します。

【自民党総裁選の最大争点】

<高橋洋一「日本の解き方」>高橋洋一氏が直言、自民党総裁選の最大争点 任期中に「台湾有事」も予想”核抑止”についての考えも問うべきだ 

小泉氏は「改革」路線を前面に出している

 自民党総裁選(12日告示、27日投開票)をめぐり、立候補を予定する議員が相次いで政策を発表している。石破茂元幹事長(67)は「防災省設置」や「アジア版NATO創設」を表明した。小泉進次郎元環境相(43)は「解雇規制の緩和」「選択的夫婦別姓の導入」など改革路線を強調する。高市早苗経済安保相(63)は「『危機管理投資』と『成長投資』で強い経済を目指す」と表明している。選挙戦の争点はどこになるのか。元内閣参事官で嘉悦大教授の高橋洋一氏が「改革路線」「財務省との距離」「有事対応」などの観点から読み解く。
          ◇
 各種世論調査では、小泉氏の人気が高い。小泉氏は6日の記者会見で、1)政治改革2)規制改革3)選択肢の拡大-を1年以内に実施すると表明した。

 政治改革では、党から議員に支給される政策活動費を廃止するほか、国会議員に支給される「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)の使い道を公開し、残った金額の国庫への返納を義務付けるとした。

 規制改革では、解雇規制の見直しやライドシェアの完全解禁を掲げた。
[「全パート厚生年金加入」が議論の的に]

 選択肢の拡大では、選択的夫婦別姓制度の導入のほか、「年収の壁」を破るために、全てのパートの厚生年金加入などをぶち上げた。

 小泉氏の人気が高いこともあり、これらについては他の候補者も意識するので、主要な争点になるだろう。特に、解雇規制の見直しと選択的夫婦別姓全パートの厚生年金加入については異論も多く、議論を呼びそうだ。

 なお、全パートの厚生年金加入は、財務省と厚労省がこれまで温めてきた”大玉”であるが、労働者と企業の双方に負担を強いるものだ。

 内政では、「財務省との距離感」も争点になるだろう。つまり、「積極財政」か「緊縮財政」かだ。

高市氏は積極財政を以前から表明しているが、他の候補はどうだろうか。「積極財政」を打ち出している高市氏


 小林鷹之前経済安保相(49)と加藤勝信元官房長官(68)はともに財務省出身だが、緊縮財政を主張するのは選挙では分が悪い。積極財政まではいかないが、緊縮財政でもない「消極財政」のスタンスかもしれない。

 なお、筆者は財政に関する立ち位置について、財政再建を主張する「令和臨調(令和国民会議)」のメンバーかどうかを一つの参考にしている。小林氏はメンバーであるが、加藤氏はメンバーに入っていない。

 財務省との距離は、今の財政状況について聞いてみれば分かる。グロス(全体)の債務残高をみて「先進7カ国(G7)中最悪」と答えれば財務省とベッタリだが、ネット(実質)の債務残高で「G7中2位で良好」と答えれば、一線を画している。

 そうした意味では、茂木敏充幹事長(68)が「増税ゼロ」を掲げ、古い財務省の発想を転換するというのは興味深い。

 外政では、中国が日本の排他的経済水域(EEZ)に勝手に設置したブイについて、高市氏は「撤去する」と明言した。「親中派」といわれた林芳正官房長官(63)は「撤去を含めて検討する」とした。

 8月26日には、中国軍の情報収集機が、長崎県五島市の男女群島沖の日本の領空を侵犯した。次の自民党総裁の任期の3年間で、「台湾有事」が起こることは相応の確率で予想される。

 「台湾有事は日本有事」だが、総裁は首相となるため、自衛隊の最高指揮官になる。対外的に毅然(きぜん)とした行動がとれるかどうか、国を守れるかどうかは総裁選において当然争点となってしかるべきだ。

その関連で、日米のみならず「核抑止」についてどう考えるか、なども憲法改正とともにぜひ聞きたい争点だ。(高橋洋一 元内閣参事官・嘉悦大学教授)

☆☆☆☆☆☆  松本市 久保田 康文  夕刊フジ令和6年9月12日号採録

【オレンジ色の北京の空】
シナの知人が日本に移住したいと言い出した。理由を聞けば「二歳になる我が子をシナの汚染の毒から守るためだ」と言う。2015年12月上旬、北京で初の「赤色警報」が出た。空全体が毒々しいオレンジ色の光に包まれてゐた。

深刻な大気汚染が三日間起きると気象当局が予想すると「オレンジ警報」が発令される。これが出ると「四停」(工場・建設解体現場・露店屋台・爆竹花火)の活動の制限や停止される。

これよりもっと酷い汚染だと「赤色警報」になる。すると、「四停」の他に小中学生・幼稚園の授業停止、自動車の運行制限・停止となる「六停措置」が発動される。

但し、2015年パリでのCOP21で習近平が演説したように、シナの大気汚染のピークは2030年である。今後15年間に渡り汚染は悪化の一途を辿るのである。この段階で「赤色警報」が出たとなれば、今後何時までも警報ばかりを出すようになるだろう。

北京の小児科は朝6時から長蛇の列となる。PM2・5が肺がんだけでなく、発育や生殖機能にも影響があると報道された。妊娠中の女性には胎児への深刻な影響があると警告される。

大気汚染はPM2・5だけでない。建造物や家具などに含まれる有害物質による汚染や、「毒トラック問題」と言う学校・保育園・競技場・体育館に敷いてあるポリウレタンマットによる空気汚染。この毒ウレタンマットからトルエン・ベンゼンなどの有害物質が基準の数倍から数十倍も検出された。亦、鉛塩を含むマットでは鉛中毒の症状が出ると言う。

2005年当時、全国で年間210万人の子供が室内空気汚染で死亡してゐるが、その内100万人は5歳以下だった。その後状況が劇的に改善したとの報告はない。

「今のシナで君は子供を産み育てたいと思ふかい?毒粉ミルク(2008年の事件)のように食品も、大気も汚染されている。青空が見える事もあるが、それは国家の大事業の時に大金をかけて青空を取り戻すだけさ。青空を買えるほど豊かになったと言うが、豊かなのは国と共産とだけで、人民は豊かになっていない」

急激な経済発展を遂げ世界第二位のGDP規模になったシナだが、代償に様々な毒をまき散らした。一部のシナ人は豊かになったが、毒から身を守るために富を使う。挙句に国から逃げて異国で子供を育てたいと言う。発展した結果、国民が国を捨てるとは残酷な矛盾である。

以上「孔子を捨てた国現代中国残酷物語」福島香織著より

続いて「頂門の一針 6991号」より転載します。

【アクセサリーなら不要】  中村 翔樹

拉致問題の解決意思「ブルーリボン」自民総裁選出馬会見で6人着用

自民党総裁選(12日告示、27日投開票)は、10日に加藤勝信元官房長官が正式な出馬表明を行った。これまでに、出馬に必要な推薦人20人の目途をつけた8人が正式な記者会見を開いたが、安倍晋三、菅義偉、岸田文雄の直近3政権が「最重要課題」に掲げてきた北朝鮮による日本人拉致問題は、埋没感が否めない。各候補の出馬会見をチェックすると、8人中6人が拉致被害者救出の意思表示である「ブルーリボンバッジ」を胸元に付けていた。

問われる具体的な行動

10日までに正式な出馬会見を開いた8人のうち、ブルーリボンを付けていたのは、小林鷹之前経済安全保障担当相、林芳正官房長官、茂木敏充幹事長、小泉進次郎元環境相、高市早苗経済安保担当相、加藤氏の6人だった。

ブルーリボンは、北朝鮮に捕らわれた被害者と家族を結ぶ「青い空」と、日朝を隔てる「日本海の青」をイメージしている。平成14年に北朝鮮から5人の被害者が帰国し、残る被害者を救出する運動が本格化するのに合わせ、支援組織「救う会」の青年有志が発案。救出に向けた決意表明のシンボルとして官民問わず広がってきた。

北朝鮮はブルーリボンに対して厳しい感情を抱いているため、あえて着用せずに情報収集などをする関係者もいる。着用の有無よりも、具体的な行動をとっているかどうかが重要で、「アクセサリーではない」(関係者)。いわゆる免罪符のような取り扱いも、被害者家族らは望んでいない。

着用した6人の過去の拉致問題関連の言動では、拉致問題担当相を兼ねる林氏が国民大集会などの関連行事で、被害者家族の高齢化を念頭に「(拉致問題は)時間的制約がある人道問題」との認識を重ねて表明した。

茂木氏は外相時代、家族会などが求める被害者の「即時一括帰国」の実現に向け、米国など主要国に協力を呼びかけてきた。今月5日の政策発表会見では「拉致被害者の一日も早い帰国の実現に向け、米国をはじめ国際社会との連携をしつつ、早期のトップ会談を実現し、拉致問題の解決を図る」と訴えた。

安倍氏を「最も尊敬する政治家」と仰ぐ小林氏は今年8月の出馬表明の直前、拉致被害者の横田めぐみさん(59)=拉致当時(13)=の新潟市内の拉致現場周辺を視察した。出馬表明後に出演したインターネット番組では「国家としての最重要課題。総理、総裁になったら当然、あらゆる手段を排除することなく、解決に向けて全力を尽くしたい」などと述べた。

小泉氏は、過去に目立った言及はない。ただ、今月6日の出馬会見では、「これまでと同じアプローチでは何も変わらない」とした上で、現在40歳とみられる北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記と「同年代のトップ同士、胸襟を開いて直接向き合う適切な機会を模索したい」などと意気込みを示した。

また、高市氏は9日の出馬会見で、「(日朝)首脳会談の実現、同盟同志国との協力などあらゆる手段を通じ、一日も早い拉致被害者の帰国のため働いていく」と強調。税金が投入されているNHKの国際放送を通じ、拉致問題解決に向けて国際世論を喚起していくなどと具体案を提示した。

拉致問題担当相を長く務め、現在は党の拉致問題対策本部長を担う加藤氏は、かねて、事態の膠着が続き問題が風化しかねないとして、子供や若者への啓発活動にも力を注ぐよう訴えており、10日に発表した政権公約にも「日朝首脳会談の早期実現」などを盛り込んだ。

着けないからやらないではない

一方、未着用は石破茂元幹事長と河野太郎デジタル相の2人だった。

石破氏は訪朝経験があり、超党派の「拉致議連」の会長を務めたこともある。平成14年9月17日、日朝首脳会談で北朝鮮がめぐみさんらを「死亡」と説明してきたことを受けて東京で開催された会見で、涙に暮れるめぐみさんの父の滋さん=令和2年に87歳で死去=や母の早紀江さん(88)のすぐ隣で、険しい表情でたたずんでいた姿も印象的だ。

石破氏は問題解決への道筋として、従前から、東京と平壌に連絡事務所を開設して成果を逐次検証する仕組みの導入を主張している。まずは信頼関係構築が重要との立場だ。

ただ、連絡事務所の設置については、関係者の間で、「北朝鮮は『被害者はすでに死んでいる』などとするこれまでの主張を維持してくるのは必至で、日本がそれを追認する形に追い込まれかねない」と危惧する意見もある。

河野氏も北朝鮮との意思疎通や信頼関係構築の必要性を強調しており、今月5日の政策発表会見では「ご家族がさまざまな思いを抱かれているのはよく分かっているが、それを一方的に言ったからといって向こうが(対話に)出てくるわけではない。そうした気持ちを受け止めながら、一歩一歩議論を進めていくことが大事だろうと思う」などと述べた。

河野氏を巡っては、令和3年9月の前回総裁選への出馬会見の際はブルーリボンを付けていたが、1週間後に実施された各候補者による演説会では外した経緯がある。

河野氏は当時、自民党のインターネット番組で「アトピーがひどく、顔の皮などがポロポロ落ちる。それを手で払うとき、(胸元の)バッジ類が手にぶつかってしまう」と釈明した。ただし、「リボンバッジを着けているからやる、着けていないからやらないという問題でない」とも指摘。外相時代、北朝鮮の外相へ国際会議などの場で声をかけ続け、国連総会に合わせて対面の会談に持ち込んだことなどを紹介した。

今回の総裁選では、上川陽子外相が11日にも出馬会見する見通しで、上川氏は最近の記者会見などではブルーリボンを着用している。

家族会、11日に会見へ
早紀江さんら家族会メンバーや救う会は告示日前日の11日、東京都内で記者会見を予定。すでに告示された立憲民主党代表選(23日投開票)も併せ、拉致問題に関する活発な議論が行われるよう求める。一部高齢家族らは、論戦が低調のまま推移することに強い危機感を抱いているという。(中村翔樹)

最後の日朝首脳会談から20年         


 

【反日デモに明け暮れる若者たち】
骨の折れる鈍い音が聞こえた。白いTシャツの若者が鉄製のU字ロックを振り上げ四度続けて打ち下ろした。男の頭は陥没し鮮血が噴き出してゆっくりと倒れた。「日本車を買った私達が悪かった。もう買いませんから許して!」と傍らの妻が叫ぶ。

2012年、西安市で起こった反日デモの中、デモに参加した蔡洋(21)が日本のカローラに乗ってゐた李建利(51)を暴行した動画がネット上に拡散した。「愛国無罪」の元に行われた白昼の惨劇である。

焼き討ち、略奪、破壊行為が堂々となされた惨劇により被害は、日系企業に総額30億元(360億円)と推測される。事件の容疑者として指名手配された蔡洋は、90后(1990年生まれ)と総称される若者の典型である。

今回の反日デモで尤も暴力的とされたのは、90后、80号の「第二農民工世代」と言われる農業を知らない出稼ぎ農民である。蔡洋は事件後故郷に帰ったが、そこで地元警察に逮捕された。一人っ子世代に誕生したドラ息子である。

デモ当日、蔡洋はバスに乗っていたが立ち往生する。周りの群衆の熱気に感染しバスを降りて群衆と共に行動した。デモ隊に囲まれて動けないカローラを見つけると、フロントガラスを壊し、出て来た運転手の李建利の頭上にU字ロックを振り下ろした。その様は凶暴そのものだった。

逮捕されても自分の殺人を愛国無罪と主張し、「ネットユーザーの半分は自分を支持してゐる」と嘯く。90后世代の暴力性は社会問題として注目される。近年都会で起きる暴力事件には「90号」文字が躍る。

一人っ子世代の甘やかされて育った事による忍耐力の欠如や、高すぎるプライドが「キレやすい」と言われるが、これは残忍な階級社会の写し鏡と言えるだろう。2012年の反日デモは官製デモだったが、扇動に乗って日本車を破壊する若者たちもゐたのである。

この反日デモの背景に中央部の権力闘争が関与したとすれば、これは毛沢東が権力闘争のために全国の少年少女を動員し、「造反有理、愛国無罪」を建前にして暴力の限りを尽くした文化革命となんら変わらない。

若者の熱気は時として社会を変える力を持つ。しかし、現実は長年の思想・言論統制、愛国教育の結果、彼らは自分たちで考える事が出来ない。誰かに扇動され、目の前に居る豊かな人々を叩き潰す。無知な若者を利用し使い捨てる残酷な現実が待ってゐる。

以上「孔子を捨てた国現代中国残酷物語」福島香織著より

続いて「ダイレクト出版・ルネサンス編集部」より転載します。

【自分の国を堂々と応援できない】

■ 五輪で中国が仕掛けた台湾対策

3年前の東京オリンピックでは、バドミントン男子ダブルスで台湾が優勝しました。今回も同じ選手が出場していたのでバドミントンが放映されている時台湾人は皆テレビに釘付けでした。

しかし、その裏で現地の台湾応援に関する検査はとても厳しいものがありました。台湾人が出場する試合では、台湾とわかるものを試合で掲げたり、手に持って応援しているのを見つけるとすぐに中国の監視員が来て、関係者に連絡して没収したり、ひどいと直接取り上げて、ポスターを破られたりしていました。

そんな中、今年も男子ダブルスは台湾が優勝し、中国は敗れて準優勝となりました。しかし、中国では表彰式の様子は放映されませんでした。銀メダルでも名誉あるメダリストです。中国の国旗も掲揚されます。それでも、それ以上に台湾の優勝を国民に見せたくなかったのでしょう。

しかし、これは矛盾していると思いませんか?「台湾は中国の一部」と普段あれだけ強調しているのに、なぜ「金銀中国が独占!」と言わないのでしょうか?このあたりからも中国の器の小ささが見て取れます。

■ 台湾が「TAIWAN」でない理由

今回のオリンピックで台湾代表チームの表記は「CHINESE TAIPEI」となっています。我々は「中華台北」と呼びますが、“CHINESE”という単語には中華と中国の区別がありません。そのため、中国はこれを「中国台北」と呼んでいました。

これは元々オリンピック側から「この名前でないといけない」と言われた訳ではなく、蒋介石政権とも関係のある歴史的経緯があるのです。1964年の東京オリンピックは「TAIWAN」という名前で出場していました。

しかし、1981年のオリンピックの際に、「TAIWAN」で出るよう指示があったのに、当時の国民党政権が「中国的要素を残したい」ということで、「CHINESE TAIPEI」という名前で出場することになったのです。

また、表彰式での国旗掲揚も国旗ではない「中華五輪旗」が掲揚され、国歌ではなく、「中華五輪歌」という中華民国の国旗掲揚の時に流す国旗歌が流れました。

しかし、これが台湾ナショナリズムの今の頂点を表す瞬間だったとも言えるでしょう。ナショナリズムとは「国家の生存本能」であり、台湾には絶対に必要なものなのです。

■ 台湾人は中国人?

バトミントン男子ペア優勝で台湾全土が歓声を上げている中、中国国民党の立法委員である翁曉玲(おうようれい)が、Facebookに「台湾之光」と投稿した一方で中国人向けSNSであるWEIBOには「中国人の誇り」と投稿しました。

これに対し、台湾のネットでは多くの批判が集まりました。なぜこのような投稿がされたのでしょうか。おそらく翁曉玲自身が自分がどこの国の人間なのか、わかっていないのでしょう。

台湾の中には、1)台湾人 2)台湾人であり中国人でもある 3)中国人という3つのアイデンティティがあります。2024年の調査でも
いまだ国民党の中国教育の影響は大きく、「自分は台湾人でもあり中国人でもある」と答えた人が約3割存在していました。

台湾人がオリンピックに参加して感じたのは、誇りよりも、屈辱感でした。

本当の国旗が掲揚できない…
本当の国歌を流すことができない…
応援グッズはすべて没収される…

しかし、共通の屈辱感を味わったからこそ、台湾は国として更に強くなれるでしょう。台湾人の愛国心、ナショナリズムが高揚したことは台湾にとって、とても良いことなのです。

日米台関係研究所理事林 建良


 

【君は涙なしに、この本を読み切れるか】
  特攻から80年。初めて明かされる特攻作戦の全容!
   ♪
ロビン・リエリー著/小田部哲哉編訳
 『日米史料による特攻作戦全史(航空・水上・水中の特攻隊の記録』(並木書房)

 ことし令和六年10月は特攻作戦開始から80年の節目にあたる。

 特攻隊記念館は鹿児島県知覧、鹿屋、長崎県佐世保、そして一部展示は靖国神社の遊就館にもあり、とくに知覧を舞台にした映画も作られた。石原慎太郎原作の映画は岸惠子が主演したが、石原自身は草笛光子を臨んだというが、これは余談。

特攻隊記念館はその誕生地マニラ郊外にもあって地元の有志が手作りでたてた。それゆえに誠意が込められ、粗末な建物ではあっても霊魂と祈りがある。評者(宮崎)も十年ほど前に高山正之氏らと一緒に行ってその勇気と愛国精神に感謝し、平和を祈った。

戦後80年も経つと記憶は風化し、あたらしい世代は祖国のために命を捧げた若者のことを知らない。米軍を震え上がらせた特効の戦記をしらない。

 1944年10月25日、関行男大尉率いる「敷島隊」の零戦6機は初のカミカゼ攻撃を敢行した。フィリピンをとびたった神風特別攻撃隊は、米空母「セント・ロー」を撃沈し、数隻に損害を与えた。

フィリピン作戦中に650回の体当たり攻撃があり、成功が約27パーセントだった。恐るべき戦果だろう。成功要因は、零戦を使用したことと、初期の特攻隊員はベテランで操縦技術が高かった。
フィリピン作戦で戦果をあげた特別攻撃は、次第に台湾や奄美、石垣、徳之島から出撃して、やがて知覧、鹿屋が主力拠点となった。両基地ばかりか指宿、国分など日本中の飛行場から出撃した。

その後の沖縄戦で組織戦になり、両軍に多大な犠牲が生まれた。

本書は、米軍の戦闘詳報や兵士の証言と、新たに作成した日本側の特攻隊出撃リストを照合して、出撃後の日本軍機の行動とその最期を初めて明らかにする。
照合作業に三年をかけた労作、しかも航空機作戦だけではなく、震洋やマルレなどの水上特攻隊、爆弾を背負っての特攻泳者、回天および計画段階にあった水中特攻隊など陸海軍が実施した特攻作戦の全容に迫る。

著者と訳者のコンビは前作『米軍から見た沖縄特攻作戦』(2021年9月刊)がある。巻末には「陸軍・海軍特攻隊一覧」がまとめられ原文と細かく照合しながら、適宜「訳注」を追記した。
また基礎訓練しか受けずに沖縄戦に参加したパイロットたちはハンディを背負った。

高性能の機体はベテランパイロットとともに本土防衛用に回され、米艦艇の上空に飛来できた神風は、最新型だが整備不良の機体、旧式機、練習機などだった。ただし一部が木製骨組羽布張りの練習機だったので、敵レーダー探知が困難だったため体当たり攻撃に成功した事例が見られる。

作戦は、航空機だけでなくマルレ(陸軍特攻艇)や震洋(海軍特攻艇)などの水上特攻隊、爆弾を携行した特攻泳者、回天(有人魚雷)および計画段階だった水中特攻隊などもある。

 本書は、米軍の戦闘報告と、日本側の出撃リストをもとに、攻撃部隊を特定し、これまで明らかにされることのなかった出撃後の日本軍機の行動と、その最期を明らかにした戦史の第一級資料である。航空機にとどまらず、水上特攻隊、回天などの水中特攻隊についても詳述した決定版となった。近現代史に興味の向きは必読である。
https://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E7%B1%B3%E5%8F%B2%E6%96%99%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E7%89%B9%E6%94%BB%E4%BD%9C%E6%88%A6%E5%85%A8%E5%8F%B2-%E3%83%AD%E3%83%93%E3%83%B3%E3%83%BBL%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%83%BC/dp/4890634541
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●編訳者・小田部哲哉からメッセージがある。
 『日米史料による特攻作戦全史─航空・水上・水中の特攻隊記録』(ROBIN L.RIELLY Kamikaze Attacks of World War II)を並木書房から翻訳出版しました。

 この本は、1944年10月にフィリピンで始まった日本陸海軍の航空、水上、水中の特攻隊の最期と、攻撃を受けた米艦艇の状況・米艦艇乗員の体験を描いています。また、戦闘の記録だけでなく、特攻隊を生み出した精神的背景にも触れています。これらの点でほかの特攻隊関係の本と異なったものになっています。

 2021年に出版した『米軍から見た沖縄特攻作戦』の対象は沖縄周辺に配置されたーダー・ピケット・ステーションのピケット艦とその上空の米戦闘機と特攻機との闘いでしたが、本書は航空、水上、水中の特攻隊から攻撃を受けた米艦艇の様子を描いており、時期的、地理的により広範囲にわたった内容になっています。

 原書には米艦艇が攻撃を受けた海域、時刻が記載されています。今回の翻訳出版に際してはこれを活用して米艦艇を攻撃した特攻隊を特定することを試みました。まず、原書になかった陸海を統合した出撃時刻順の特攻隊のリストを作成しました(本書巻末「資料補記 陸軍・海軍特攻隊一覧」として添付。このように陸海軍を統合した特攻隊のリストは日本で初めてだと思います)。

 これを基に特攻隊の使用機種、出撃基地、攻撃を受けた米艦艇の位置、さらに一部の特攻隊については戦闘詳報なども参考にして、米艦艇を攻撃した可能性のある攻撃隊を特定することを試みました。この特攻隊の特定は困難を極めました。それでもいくつかの艦艇については攻撃を試みた可能性のある特攻隊、特攻隊員名を絞ることができました。特定できた結果については本文に「訳注」として記載しました。

 このような方法で特攻隊員の最期を明らかにすることは、国内外で初めてのことだと思います。以前から特攻隊員の最期を調べ、それを多くの人に知ってほしいと思っていました。これだけで本1冊を出版することは無理だと思っていましたが、本書の訳注として書き加えることで多くの人に知っていただくことができると思います。

 出撃を迎えた特攻隊員の懸念は「自分たちの最期を家族が知ることができるのだろうか」だったと思います。一方、残された家族は特攻隊員の最期を知りたいと思っていたはずです。また、最近は若い世代でも戦死した親類、特攻隊員のことを知りたいと思っているようです。
 この本が特攻隊の研究者、特攻隊に興味を持っている人だけでなく、特攻隊員の最期を知りたいと思っている人にも届けばよいと思う次第です。

以上「宮崎正弘の国際情勢解題」より

【残酷な神が民衆を導く】
2014年山東省のマクドナルド店内で女性が撲殺される。この戦慄の様子が動画サイトで流された。「この悪魔め!」の罵声と女性の断末魔の悲鳴が響く。店員や他の客は止めようともせず殺人は行われた。

惨劇の主犯は張立冬。この長女・次女・長男に妻ら女性二人が関与したとして逮捕される。シナで邪教と指定するキリスト教系宗教「全能神」に彼ら一家は入信してゐた。

事件は長女が被害女性に宗教の勧誘した事から始まる。被害者が「あっちに行け」と邪険に追い払うと、腹を立てた家族の女性が椅子を相手の頭に振り下ろす。そこへ殴る蹴るの暴行を続けて、最後に飛び上がって頭を踏みつけた。

張は後日の取材に対し、「あの女は悪魔である、邪霊である。殺すつもりで殴った」と語る。入信7年目の彼は、「私は法律を恐れない。神を信じてゐるからな」と言い、犯行については「いい氣分だ」と述べた。

この全能神とは、シナで50年以上の歴史がある新興宗教だ。創始者は趙維山。元は大人しいキリスト教信者だったが、次第に自分で信者を集めて集会を行う。1989年「永源教会」を設立し、自らを「能力主」と名乗る。

シナ政府から「邪教」容疑で指名手配を受け米国へ逃亡。ネットを通じて布教を続け、世界に支部を持ち、信者は華人300万人以上である。新規信者の獲得ノルマ、洗脳ノルマの達成で金が入る「ねずみ講」システムにより拡大する。

勧誘は、最初に若い女性が性的に引き込み、次に専門スタッフが洗脳する。途中で逃げたり洗脳が失敗すると「護法隊」なる男性集団が暴力で支配する。これは四肢切断や耳削ぎといったリンチ殺人の報告もある。自殺や不審死の疑いも多い。

シナでは「邪教」が多い。最大規模は「法輪功」で学習者7千万人とされる。最初は気功による健康増進であったが、激しい弾圧の末に今では世界最大の反中共組織となる。この他にも邪教は多いが、いずれもシナ共産党を否定する。

これは共産党に迫害されるせいもあるが、為政者・政治への不満、恨み、不公平感がカルトへの傾斜となるのだろう。シナでは王朝末期に神秘宗教が台頭してきた。歴史に学べば邪教の多さは共産党王朝の倒壊なのだろうか。

目の前で女性が殺される様子がネットに流れる社会に、この残酷な神は何を与えようとしているのだろうか。

以上「孔子を捨てた国現代中国残酷物語」福島香織著より

続いて「頂門の一針 6989号」より転載します。

【「日本の未来」を語れ】

【有本香の以読制毒】銀座「聴衆5000人」の違和感 小泉進次郎氏が街頭演説、空疎なフレーズの繰り返し「自民党を変える」ではなく「日本の未来」を語れ

 7日午後、夏のような日差しが照りつける東京・銀座の4丁目交差点。毎年、日本一地価の高い場所として紹介されるこの「日本一の繁華街」で、小泉進次郎元環境相(43)が街頭演説を行うというので、筆者も日本保守党のスタッフとともに「偵察」に出かけた。

 結論からいうと、拍子抜け、いや予想より格段にガッカリした。

 まず、聴衆が思ったほど多くない。メディアは「主催者によると、約5000人の聴衆が集まった」と報じていたが、これはトリッキーな話である。

 銀座4丁目交差点は常に人通りの多いところで、特に土、日曜日、祝日は銀座中央通りが歩行者天国になるため、人で埋まることも珍しくない(=ただし、最近ではその多くが外国人観光客であったりするのだが)。

 あえて人通りの多い場所で演説をすれば、「多くの聴衆に囲まれている」かのような「絵」を容易に撮れる。それをメディアやSNSでうまく拡散すれば、「勢いがある」かのような演出をすることも可能だ。

 先の東京都知事選でも、複数の陣営がこの手を使った。進次郎氏にも付いているとされる広告代理店やPR会社が、いかにも考えそうな作戦だ。

 しかし、そのありきたりなアイデアがSNS時代にはもろ刃の剣ともなる。実際、現場にいた筆者らの目で見て「5000人」は”盛った数字”に感じた。

 ただし、嘘だとは言えない。なぜなら、銀座4丁目交差点は人の流れが絶えないからである。当日も地下鉄駅の出口からも絶え間なく人が出てきて、それを多くの制服警官が誘導していた。

 つまり、あのとき交差点付近に5000人程度の人はいたかもしれないが、それをすべて「進次郎氏の聴衆」とくくることには違和感がある。

 ただ、「5000人」という見出しは、ヤフーなどのヘッドラインとなり、あたかも事実であるかのように拡散された。

 筆者は交差点に面したビルの2階から、聴衆を撮った写真を自分のSNSに揚げた。案の定、「聴衆あまり多くない」という反応が多くあった。メディアの言う「5000人」という煽りに乗らない層がSNSの中にはそれなりに存在する。

 もう一つのガッカリは、肝心の演説内容である。

 進次郎氏の前に話した地元の議員らも含め、「自民党を変えます」の繰り返し。自民党が変わろうが変わらなかろうが、多くの国民にとってどうでもいい。「日本がどうなるか」を語るべきなのだが、それは一切語られない。

 真打ちの進次郎氏の短い演説も、「日本を変えます」「聖域なき構造改革」「仲間を集う」という、空疎なフレーズの繰り返しだった。そのためか、進次郎氏の訴え一つ一つへの聴衆からの拍手歓声はなかった。

 交差点を通りかかった若い人らは一応、進次郎氏にスマホを向けて写真は撮るものの、「セクシーの人だよね(笑)」「大したこと言ってないね」など冷ややかな反応が少なくなかった。

 聴衆の「数」に関する話題をまいて「風」を起こそうという古典的な手法に頼る人たち。しかも、国民をうならせる演説の一つもしない人たちが、一体何をどう変えられるというのか。

 つまり、あのとき交差点付近に5000人程度の人はいたかもしれないが、それをすべて「進次郎氏の聴衆」とくくることには違和感がある。

 ただ、「5000人」という見出しは、ヤフーなどのヘッドラインとなり、あたかも事実であるかのように拡散された。

 筆者は交差点に面したビルの2階から、聴衆を撮った写真を自分のSNSに揚げた。案の定、「聴衆あまり多くない」という反応が多くあった。メディアの言う「5000人」という煽りに乗らない層がSNSの中にはそれなりに存在する。

 もう一つのガッカリは、肝心の演説内容である。

 進次郎氏の前に話した地元の議員らも含め、「自民党を変えます」の繰り返し。自民党が変わろうが変わらなかろうが、多くの国民にとってどうでもいい。「日本がどうなるか」を語るべきなのだが、それは一切語られない。

 真打ちの進次郎氏の短い演説も、「日本を変えます」「聖域なき構造改革」「仲間を集う」という、空疎なフレーズの繰り返しだった。そのためか、進次郎氏の訴え一つ一つへの聴衆からの拍手歓声はなかった。

 交差点を通りかかった若い人らは一応、進次郎氏にスマホを向けて写真は撮るものの、「セクシーの人だよね(笑)」「大したこと言ってないね」など冷ややかな反応が少なくなかった。

 聴衆の「数」に関する話題をまいて「風」を起こそうという古典的な手法に頼る人たち。しかも、国民をうならせる演説の一つもしない人たちが、一体何をどう変えられるというのか。

 わが日本保守党は他党の関係者らからよく、「演説でいくら良いことを言っても実行力がなければ意味なし」などとバカにされる。国会議員がいない今のわが党に実行力がないのは確かだが、演説の内容、聴衆の熱気では進次郎氏らに圧勝できると自信を得た。
[「再エネ賦課金」やめてみては?]

 思えば、進次郎氏の父、小泉純一郎元首相のキャッチフレーズは「聖域なき構造改革」だった。「痛みを伴う改革」とも言っていた。

 その結果、日本はどうなったのか。残ったのは「痛みと傷」ばかりではないのか。小泉父の頃から今般の総裁選まで、「改革」「改革」と言い続ける自民党の皆さんに一つ重大な提案をしたい。

 最大の改革は、あなた方、自民党がやっている「誤った政策」をやめることではないですか。小泉進次郎さん、例えば「再エネ賦課金」やめてみてはどうでしょう?

☆☆☆☆☆  松本市 久保田 康文  夕刊フジ令和6年9月10日号採録

【文化大革命の実態とは】
2016年5月16日、文革開始から50周年を迎える。しかし、シナではこの期間の非道行為については明らかにされない。それ処か文革への批判は更に統制されるようになったが、外国メディアによる文革悲劇の検証が行われている。

AFP通信は広西チワン族武宣県への大惨劇事件、通称「人肉宴席」を公開した。草案には「首切り、殴打、生き埋め、石打ち、水責め、釜ゆで、集団虐殺、内臓の抜き出し、心臓・肝臓、性器の切断、肉のそぎ落としなどあらゆる方法が使われた」とあった。

最初に文革中の食人事件を取り上げたのは、恐らく在米シナ人作家の鄭義の「紅色記念碑」だろう。彼は実際に食人した元民兵や犠牲者の遺族らへの取材を進め、文革の残忍性を告発しようとしたのである。

文革中にチワン族は約15万人が虐殺されたと言われる。各地でおぞましい集団リンチが行われたが、それは政治的に扇動された「階級への敵意」とする隣人への嫉妬からの殺戮であった。亦は「美女の心臓」を食べると病気が治ると言う迷信から、美人女子学生が殺された。

糾弾大会が行われる度に、人肉目当ての人々が集まり、殺されると死体に群がって肉を切り取る。ある女性副主任は男根だけを食べてゐたと言われる。ある学生は生きたまま腹を裂かれ、心臓と肝臓を掴み出して、豚肉と一緒に料理され皆に与えられた。

人民公社による街頭引き回しデモでは、小学校教師7人が吊し上げられ、6人がリンチで殺され細切れにして群衆に食われた。この人民公社販売部では大鍋で人肉を調理して、十数人に振る舞われた。

このような食人事件は、日時、場所、犠牲者、加害者の名前や、殺戮の方法や人を喰った記録が、党の資料と当事者の実名入り証言で裏づけられている。

文革時代の食人事件はシナ各地で発生してゐる。群衆が政治的狂乱の中で、人を次々と殺して食うというホラー映画の光景が、僅か半世紀前にシナの各地で起こったのである。

2015年シナが申請した「南京大虐殺文書」がユネスコ記憶遺産に登録された。アイリス・チャン「ザ・レイプ・オブ・南京」や本多勝一らの伝聞だけの都市伝説本と異なり、文革中に食人事件は実際に起きたのである。

ユネスコの「歴史の記憶」はこんな茶番な政治的プロパガンダではなく、文革の隠匿された資料や生存者の記憶のように、放置すれば抹殺される歴歴史の事実だろう。

以上「孔子を捨てた国現代中国残酷物語」福島香織著より

続いて「頂門の一針 6986号」より転載します。

【皇族確保遅れ】  <正論>、野田氏の責任大 百地章 

 安定的な皇位継承の確保のため6月以降、衆参両院の正副議長のもとで各党・会派からの意見聴取が行われてきたが、取りまとめは遅れている。
[自民など8会派は一致]

 個別聴取では1)秋篠宮殿下から悠仁親王殿下までの皇位継承の流れ2)女性皇族の婚姻後の皇族身分保持3)旧宮家からの男系男子の養子が主な議題となった。額賀福志郎衆院議長は8月7日の記者会見で1)はおおむね賛同2)では配偶者や子の身分には結論が出ず3)は積極的な意見も多かったが反対論もあった─と報告している。

 とはいえ、もしわずか30分の意見聴取結果をもとに取りまとめようとしているのであれば疑問だ。というのは、それ以前に額賀議長のもとには各党・各会派の見解をまとめ上げた意見書や所見が提出されているからである。それ故、取りまとめ作業はあくまでこれらの意見書を踏まえて行うべきだ。

 個別聴取の結果からみると、あたかも各党・各会派の間では見解に大きな隔たりがあり、一致点を見いだすのは困難な印象さえ受ける。また、自民党と立憲民主党が対立しているかのように見える。

 しかし各党の意見書を読んでみるとむしろ逆で、各党間ではすでに大きな合意が成立していることが分かる。自民、公明、維新、国民、有志の会、NHK党、参政党、教育無償化の8党・会派は1)2)3)を支持し、2)の配偶者と子についても「皇族としない」でほぼ一致しているからである。反対は共産、社民、沖縄の風だけだ。

 これに対して立民の意見書は「論点整理」にとどまり、党としての統一見解は示されていない(「特定の結論に誘導することのないよう留意」して論点整理を行ったとある)。それ故、どのような結論になれ、党としては賛成も反対もしないということであろう。となれば、「皇族数の確保」が急がれることから、この8党・会派による圧倒的な多数意見をもって「国会の総意」とみるのが自然ではなかろうか。
[「論点整理」を無視し持論主張]

 もし意見聴取の結果を重視して結論付けようとするならば、各党がせっかく時間をかけて意見書を取りまとめた意味さえなくなる。特に立民の野田佳彦元首相などは党の「論点整理」を無視し、付帯決議に無理やり盛り込ませた持論の「女性宮家」論を主張しているのだから、何のための「論点整理」だったのか分からなくなる。

 立民では当初、女性・女系天皇支持の方向で党見解を取りまとめようとしたが、男系派からの反論に遭い、最終的には統一見解なしの『論点整理』にとどまることになったようだ。にもかかわらず野田氏や馬淵澄夫氏らはこれを無視し、意見陳述の場で一方的に個人的見解を展開している。

 すなわち「女性宮家」にこだわり、2)については配偶者と子も皇族とすべきである、3)の旧宮家からの養子案に対しては憲法上の問題ありとして反対し、取りまとめを遅らせてきた。

 しかし「論点整理」では基本的視点の一つとして「歴史と伝統の尊重」が掲げられ、2)では配偶者と子に皇族の身分を付与する案(I─A案)と付与しない案(I─B案)の両案を示した上で、賛成理由と反対理由を述べている。

 例えばI─A案には「将来の女系天皇につながるおそれがあり、男系で126代継承してきた皇室の伝統を破壊するものである」と明確な反対理由を挙げている。ところが野田氏は配偶者や子にも皇族の身分を与えなければ、政治活動も自由となってしまうなどと本末転倒な議論を展開している。
[元首相としての見識示せ]

 野田氏は旧宮家からの養子は憲法14条の禁止する「門地による差別」にあたり、憲法違反の疑いありと繰り返している。しかし、内閣法制局は2度も憲法違反ではない、と答弁しているではないか(令和5年11月15日、同17日)。

 また、学説でも憲法14条は皇室には適用されないというのが通説であり、仮に「法の下の平等」が適用されるとしても、憲法2条と皇室典範1条によって定められた「皇統に属する男系男子」を確保するために旧宮家の男子を養子に迎えるのは「合理的区別」として許される、と考えるのが憲法学の常識であろう。

 にもかかわらず、元首相たる議員がいつまでも違憲論を振りかざすのは疑問である。首相当時、野田氏は憲法2条の「皇位の世襲」について、「男系重視」の答弁を繰り返してきたが(平成24年2月9日、13日、3月12日)、それをお忘れであろうか。それに『月刊文芸春秋』(本年4月号)では「男系派が支持する『旧皇族(旧宮家)男子の皇統復帰』案を残すことも必要だと考えるようになりました」と明言している。この発言とは矛盾しないか。

 「女性皇族の婚姻後の問題などを含めて、そんなに悠長に構えていられる話ではないことを我々承知しております」(6月14日の正副議長意見聴取)と言いながら、延々と議論を続けることが果たして元首相のすることであろうか。(ももち あきら)

☆☆☆☆☆☆☆  松本市 久保田 康文  産経新聞令和6年9月5日号採録

【腎臓一つ50万円】
十年ほど前北京駐在中に、知人からある相談を受けた。「日本人は臓器移植希望者が多いだろ?誰か腎臓を買いたい人を知らないか?」

彼が言うには、新疆ウイグル地区のキルギス族の少女が来ている。母親の治療費の前金として25万円を稼ぐために腎臓を売りに来たと言う。処が提供者が死亡しブローカーも居なくなり故郷に帰れないから、移植希望者を探していると言う。

2007年に臓器移植条例ができて、外国人がシナに来て臓器移植を受けるには制限が厳しくなった。しかし、抜け道は沢山あったのである。この時に、すぐ身近に臓器市場が確実に存在することを実感した。

2012年7月、河南省の22歳の女性が臓器を売りたいとネット広告を出した。貧しい農村の彼女は末期がんで余命幾ばくもなく、臓器を売って養父母に返したいと言う。彼女のガン治療費約187万円の幾らかを親に返したいと言うのだ。

他にも、河南省の22歳の大学生が母親の心臓バイパス手術費約200万円を得る為に「腎臓を売りたい」とメディアに訴え、7月7日に地元紙が取り上げた。

こういう話は美談としてメディアに取り上げられたが、実際に話題になる前に闇ブローカーが接触すれば、彼らは本当に臓器を売った事だろう。臓器移植については2012年に浙江省杭州で「売腎工場」の事件がある。

ネットユーザーが「売腎工場」つまり売腎希望者待機所に15日間潜入し、売腎希望者の実態を取材したものだ。その後SNSで発表されて既存メディアが取り上げた。この事件は最大規模の闇ブローカー摘発事件に発展し、主犯格は現在も逃走中である。

杭州の街外れのマンションにシナ全土から売腎希望者18人が適合者を待って集団生活を送ってゐた。売腎の目的は、カードローン返済、ヤマハのバイクが欲しい、賠償金返済等様々である。彼らが腎臓一つ提供して受け取る金は、僅かに約43万円である。

「売腎工場ルポ」でも指摘されたが、腎臓を売ってもその後健康が回復せず、更なる貧困や借金地獄に転落する事が少なくない。シナで闇臓器市場が拡大したのは、2007年から死刑判決権限を高裁に限定し、死刑が大幅に減少した為と言われる。主に死刑囚で賄われた臓器が急激に足らなくなった。

日本での臓器移植は「命のネットワーク」と善意を強調するが、シナの場合は当に命の売買、否、裕福層による貧困層、弱者からの命の搾取である。

以上「孔子を捨てた国現代中国残酷物語」福島香織著より

続いて「頂門の一針 6984号」より転載します。

【「過去史」からの解放を李相哲】

<正論>そろそろ「過去史」からの解放を 龍谷大学教授・李相哲 

 8月15日を韓国では「朝鮮半島に光が復した(戻った)日だ」として「光復節」と命名、大々的な記念行事を行う。日本や「過去史」(日本統治時代の出来事を指す言葉)に言及、日本を糾弾するのが伝統だが、尹錫悦大統領になってからその「伝統」が破られた。今年の「光復節」の演説で尹氏は「過去史」には触れず日本を批判しなかった。

 野党は「(演説は)これ以上、日本に謝罪しなくてよいという免罪符を与えたもの」と非難、メディアは「日本の反省と責任に言及しなかったのは日本の歴史挑発に勇気を与えるもの」(京郷新聞)などと批判した。日本のメディアも「異例」と報じたが、そろそろ日韓は「過去史」から解放されてもよいのではないか。

[薄れた日本統治時代の記憶]

 昨年の光復節でも尹氏は過去史言及や日本批判はせず、「日本はいま我々と普遍的な価値を共有し、共同利益を追求するパートナー」などと述べた。

 日本に気を使ったとの指摘もあったが、大統領府は「日韓関係に自信を持っているから」と説明した。過去史や日本のことは国内政治や支持率に影響しないという自信があったという意味だ。韓国でも「過去史」への記憶が薄れているうえ、今の日本をありのまま見つめようとしている人々が増えているからだろう。

 尹氏は大統領就任前から「日韓関係を政治に利用しない」(2021年11月)と言明した。今回の演説は支持率29%(韓国ギャラップ)と低迷している中で行ったことにも注目する必要がある。韓国の政治家、特に時の大統領は支持率挽回のために「反日」を利用するのが「慣習」とされるほどだったが、尹氏はこの慣習を引き継がなかった。

 就任後に行った3回の「光復節」演説を見ればわかる。「日本は力を合わせるべき隣国」(22年)、「日本は経済と安保協力パートナー」(23年)、今年は演説で2回、日本に触れたが、過去史でも批判でもなかった。尹氏は「昨年のわが国の1人当たりの国民所得は初めて日本を超え、日本と(韓国)の輸出格差は過去最低を記録した」と述べたのだ。

 野党や左派寄りのメディア、市民団体は「日本の植民地支配に言及しなかった、恥ずかしい、奇怪な演説」と非難し、野党・共に民主党(民主党)の李在明代表に至っては「(尹氏は)日本の歴史洗濯の共犯だ」と攻撃したが、いまのところ韓国で「反日」ムードが高まったという報道はない。

[反日で高い代償払った韓国]

 日本が東京電力福島第1原発の処理水を海に放出する決定をしたとき、韓国の左派団体や民主党は「放出は人類に対するテロだ」(民主党「海洋水産特別委員会」)と糾弾、李代表は「韓国の領土主権を侵害する悪行、わが国民の健康に深刻な脅威を与えるもの」だと主張し、ハンガーストライキまで起こした。

 韓国政府は世論に押されるかたちで昨夏から海水や水産物の4万4千回にわたる放射能検査などに1兆5千億ウォン(約1600億円)を投入した。ところが基準値に迫る検査結果は「ゼロ」で、装置で検出できないほど低い濃度だった。韓国メディアは「民主党の反日扇動で、国は1兆5千億ウォンの金を無駄にした」(24年8月「朝鮮日報」)と報じた。

 このような経験を重ねた結果だろうか。元統一部長官の康仁徳氏は筆者に「最近、韓国では、日本をありのまま見つめようとする人が多くなり、反日を煽(あお)っても簡単に乗らなくなった」と語った。

 背景にはソーシャルメディアの発達で必要な情報を検索できるようになり、日本を訪れ体験することも難しくなくなったことが挙げられる。「日本の水産物を食べるくらいなら青酸カリを飲む」と発言した芸能人すら、日本で寿司を堪能する写真をSNSにアップするなど韓国人の日本好きは秘密でなくなった。

 昨年8月末、民主党は「汚染水放流糾弾集会」終了後に李代表をはじめ党幹部らが、刺身料理店で夕食を楽しんだことが発覚して物議を醸した(23年9月、「中央日報」)。民主党が韓国では魚を食べられなくなると煽ったのは、国民の生命安全が心配だったわけではなく、尹氏攻撃の口実に過ぎないという下心(政治利用)がリアルタイムで暴露される時代になった。

[なお続く「親日」「反日」論争]

 だからといって韓国が「過去史」から解放され、日本との過去を気にしなくなったわけではない。今年8月15日も韓国では、「親日」と「反日」で様々なハプニングが演出された(「朝鮮日報」)。韓国プロ野球(KBO)でこの日の日本人投手の先発出場や日の丸掲揚に事前に反発が起き、回避される騒動があった。日本料理店の多くが自主的に休業したともいわれる。韓国メディアによれば「光復節に日本のビールを飲むのが適切なのか」という論争も起こった。韓国もいい加減、「過去史」から解放され自由になったらどうか。(り そうてつ)

☆☆☆☆☆☆  松本市 久保田 康文 産経新聞令和6年9月3日号採録