無縁坂。
無縁坂
本郷から池之端に抜ける坂
昇りも下りも ともに切なさがある
旧岩崎邸の長い塀が続く道の対面には瀟洒なメゾン
過去と今が同居する坂は
自分そのものだ
法曹への夢を叶えるために励んだ若き日々
図書館で一日を過ごした帰宅時
充実感で坂を下りた日は少なく
思い悩むことが多かった
でも
そんな時を数年過ごせた自分は恵まれた存在だった
漱石や鴎外が暮らした街から横山大観の屋敷街へ
そして
花の雲を挑む池之端周辺
同時に
無縁坂辺りは弥生文化の街
そして 若者が淡い想いを抱いた街
今は
坂を下りながら眺める先には
新たな息吹がある
それは
いつの世のでも 三四郎の旅の途中にある無縁坂
名とは裏腹の人情坂だ