こちら、何か理不尽な少額訴訟に巻き込まれた方に参考になれば幸いです。
以前に、私は仕事上のことで裁判になったことがある。
顧客から取引のことで訴えられたのだ。
特に当方には非のない案件だったが、相手側にとっては騙された、ということで訴えられた。
説明などは十分にしたし、相手側も一部、自分の思い込みだと認めていたのだけど、どうにも引き下がれなかったらしい。
当初、
「出るところへ出るぞ」とすごまれたが、当方としては取引において何も負はないと考えていたので「どうぞどうぞ」としていた。
脅しのような電話もかかってくる。「おい、こら、なめんなよ」。いつの時代だよ。
こんな人たちいたんだ、と思ったが、確かに精神的には負担になる。
それから少しして、裁判所から書類が届く。
略式裁判だった。
私にとって、初めての裁判沙汰であり、興奮した。
やるならやってやるぞ、と。
弁護士とも相談した。
弁護士の見立てによると、少額裁判の場合、裁判官は、ほぼほぼ高い確率で和解を勧めるでしょう、と。
弁護士としても、時間と費用と労力から考えれば、理不尽でも和解がお勧めになってしまう、ということ。
もちろん、徹底抗戦するということであれば協力は惜しまないが、少額でもあるし、名誉等だけが問題であれば、名誉棄損はさせないなどと和解に入れてしまえばいい、ということ。
弁護士によれば、とにかく、裁判官の体質として、早く終わらせたいし面倒なので和解を勧めるのだ、と。
結果として、裁判所には4回ほど出向き終了。
和解で終了。
和解内容は、金額部分では、言わゆる間をとって、中をとって、という額。
流れは、以下のように進んだ。ちなみに約1か月ごとに裁判は開かれる。
1回目。
裁判室には、裁判官と書記官1名、立会人1名。そのメンバーで順番に裁判をどんどん進めている。
我々の番がやってくる。
お互いの言い分を言いあい、終了。15分ぐらい。
ちなみに、事前に言い分の根拠となる資料を郵送やFAXなどで裁判所へ提出済み。
当方は被告として、経緯を説明し、当方に非はなく原告主張に同意することはできないことを主張。
裁判官は物腰は柔らかかった。
裁判の前後に、列室の裁判室の掲示板を眺めてみる。
簡易裁判所は、小さな裁判室がずらりとフロアに何部屋も並んでいるのです。(東京日比谷の場合)
どの裁判の部屋も、消費者金融の利息返還訴訟と思われるものばかりなことに「やっぱりそうなんだ、へえー」となる。
自分の裁判が始まるまで、後方の傍聴席で待っていた。
自分の裁判は午前の一番最後。
それまでの裁判は、いずれも消費者金融のもの。
淡々と裁判官が「これでよろしいですね?」と金額を述べ、代理人の弁護士と思しき人物が「はい」と答えて進んでゆく。
事務処理と言った感じ。
2回目。
前回の主張補足。
当方は前回から変わらずなので、特に補足もなし。
相手は、主張があるにも関わらず、自分で資料などを用意できず。
裁判官もそれには苦笑。
なので、裁判官は「主張整理」をしましょう、と、途中で立会官さんとともに別室に移り、言い分を整理。当方の言い分は変わらない。原告は延々と主張。
それから裁判室へ戻り、立会官から裁判官へ報告。
裁判官から当方への確認は、「新たに主張や補足などありますか?」→「これまでと変わりません」で終了。
3回目。
前回のさらに補足。
ちなみに原告は1時間ほど遅刻。
原告失格だろう。
原告が主張補足をするべきだが、この回も十分な資料などはなく、口頭で延々と自分の言いたいことを言う。
裁判官は、「和解をお勧めします」という。
当方も、弁護士とも確認し、和解でいいやということにしていたので、「和解でお願いします」と。
するとここで原告、「和解ではなく、私は徹底的にやりたい」旨を裁判官に言う。
おい、それはこっちのセリフだよ、と思いつつ聞く。
裁判官は原告に対し、「いや、これは被告さんも和解でと言っているんだから、和解でいきましょう」と、ぴしゃっと。
裁判官「次回は、和解書を作成して、それで終わる予定です」と。
4回目。
和解書を作成し、終了。
日本の裁判はこうなっているのだな、と思いました。
自分の場合は、民事裁判で、刑事裁判とは事情が違うと思います。
刑事のことは、冲方丁氏の「こち留」で面白く書かれています。
正義や善悪、筋を通すとかという議論もありますが、裁判所としては、かなりの訴訟件数があり、事務的にどんどん進めないと処理できないということ。
これはAI裁判などが早く実現してほしいなと思うが、一方で、裁判所は民事の場合、あくまで立ち会って仲裁するということしかできないのだな、とも思う。
現実はそればかりではないことを勉強した良い機会でした。