メキシコは10月31日から昨日11月2日まで、死者の日dia de muertosというお祭りでした。
まだグアテマラの織物の展示の記事を書き終えていませんが、タイムリーな記事から先にお届けしようと思います。
死者の日はちょうど日本のお盆のようなもので、この日に死者の霊が地上に戻ってきて家族と共に過ごすと考えられています。
1年に1度しかないこの日に、家族は最大限のおもてなしをして霊を迎えます。
メキシコの大都市では伝統的な死者の日の習慣はもう見られなくなっていますが、ここオアハカ州やミチョアカン州などは、祭壇作りやお墓参りなど昔ながらの習慣が残っていることから、死者の日には国内外からたくさんの人が観光にやってきます
昨日、おとといと日本人の方々もたくさんお見かけしましたよ
この死者の日の習慣はスペインに征服される前からメキシコにあったもので、死者の霊は11月のこの時期、冷たい北風と共にやってくると考えられています。
確かに毎年この死者の日の時期はとても寒くなり、冷たい風が吹くのです。
この風は「死者の風」と呼ばれています。
そしてスペイン征服後に宣教師たちがこのメキシコの死者の日の習慣を利用して、この日を亡くなったキリスト教信者の昇天を祝う日としたのです。
死者の日の習慣として、まず祭壇作りがあります。
これは日本の仏壇のようなものでしょうか。
ただ死者の日の祭壇は毎年この時期に作られ、死者の日が終わると同時に片付けます。
祭壇は一般的に、アシの幹でアーチを作り、その下にひな壇のように階段状になった台を置きます。
台はテーブルクロスや白いシーツで覆います。またパペル・ピカドと呼ばれる切り絵で飾りつけすることもあります。
本来の祭壇は床も数えて4段で、一番下(床)にはそれぞれ塩、灰、ろうそくの3種類で作った十字架、2段目には4つのろうそく(これはそれぞれ幼少期、青年期、熟年期、老齢期を表します)と12個のお香(これは12ヶ月(1年)を表します)、そして3段目には故人が好きだったもの(モーレ、タマレス、アトレなど)を飾り、4段目に故人の写真を飾ってその周りに4つのろうそくを置きます。このろうそくは死者が黄泉の国へ帰るための道を表しているそうです。
しかし実際には祭壇はその家庭によって1段だったり6段以上の大きなものだったり、本当にバラエティ豊かで個性があります。
家族がいいと思った飾りつけでお迎えするのが霊にとってもうれしいのかもしれません
祭壇にお供えされるものにはその他、その季節の果物(りんごなど)や、モーレ・ネグロやパン、チョコレート、かぼちゃの黒砂糖煮、お菓子などがあります。
また死者の日にお供えされる花としてマリーゴールドとケイトウは欠かせません。
死者の日が近くなると市場にはたくさんのマリーゴールドとケイトウが売られ、黄色と赤の色合いとその香りであぁ死者の日が来たんだと実感します。
うちの旦那さんは「自分の祭壇にはラーメンとかおにぎりをお供えしてね」なんて真顔で言っていたので大笑いしてしまいましたが・・・
日本でもラーメンお供えしているのは見たことがありません
祭壇ができあがると、死者の日が終わるまでお供え物には一切手を付けてはいけません。
これは死者のためのごちそうで、死者がまずごちそうを食べて満足してからでないと家族は食べてはいけないのです。
これは日本の仏壇のお供えものも同じですね。
11月1日はアンヘリートス(天使)と呼ばれる、子供のときに亡くなった霊を、2日は成人してからなくなった人の霊を迎える日とされています。
11月1日には親戚や友人の家を1軒1軒訪ねてお供えものの一部を贈る習慣があります。
しかし最近ではハロウィンの影響もあり、子供たちが近所の家を1軒1軒訪ねて回り、お供えものなどをおねだりする習慣もあります。
お墓参りは10月31日の夜から始まります。
ここにもハロウィンの影響があり、最近では仮装をしてお墓参りする子供や若者がいます。
日本でもお墓にお花や食べ物をお供えしますが、メキシコはお墓自体に飾りつけをします。
それも各家庭個性豊かで、キャンドルをたくさん並べて十字架の形にしたり、風船を飾ったり、人形を飾ったり、花や砂で絵を描く人もいます。
この日はそれぞれのお墓がまるで飾りつけコンテストをしているかのように華やかです。
そして日本と違うところは家族がお墓を囲んで歌を歌ったり、楽器を演奏したり、とにかくにぎやか。
1年に1度の再会なのだから一緒に楽しく祝おうという気持ちなのでしょうね。
それではオアハカの死者の日を写真でご紹介。
市場にあった祭壇
↑の写真の右前にある人形
フキーラの刺繍ブラウスを着て、モーレ・ネグロを作っているところです。
メキシコのガイコツはおどろおどろしいものではなく、こんな愛嬌に満ちたものなのですが・・・
やっぱり私にはコワイです(笑)
同じく一番上の写真の左下にある人形。
パンとチョコレートを前にうれしそう
右のガイコツがかぶっている帽子には「彼女がほしい」と書かれています。
仮装をした子供たち。
こちらはオアハカ市郊外、トラコルーラという村にあったオブジェ?
↑の写真の下に写っている砂絵部分
ここからはオアハカの中心広場に展示されていた、オアハカ各地の祭壇。
こちらはサポテコ族のもの。
ここからはチャティーノなど別の民族の祭壇です。
祭壇の下にどこのものか書かれたパネルがあったのですが、バッテリー不足でパネルまで撮影する余裕がありませんでした
こちらはあるホテルのテラスにあった祭壇
今年はお墓には行かなかったので、去年撮影したお墓参りの写真をUPします。
メキシコの死者の日の雰囲気が少しでも伝わりましたでしょうか。
皆さんのお気に召した祭壇などはありましたか?
さぁ死者の日が終わるとメキシコは一気にクリスマスモードに入ります