外国が見た日本のイジメ | グローバルに波乱万丈




「どうして日本人が日本人を虐めるの?」 外国人には日本のイジメが不思議みたいです。 



今の日本の事情がよくわからない私なので、そう言われてみればそうだな、と思い、

日本のイジメ問題を取り上げたアメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスのニュース記事や、

海外の大学生や学者が分析した日本のイジメについての研究発表など、いろいろ読んでみたんです。



イジメはどこの国でも深刻な問題ですが、日本のイジメは特殊なようです。

欧米のイジメとはあまりにも違うので、英語の “BULLYING” とは分けて、“IJIME” と書かれたものもありました。




まず、日本のイジメの特徴としてあげられていたのは、


欧米は暴力的な攻撃が主な反面、日本では仲間外れ、無視、意地悪な呼び名など、精神的に追い詰める攻撃。

どちらかと言えば、欧米の女の子に多めのイジメ。



体が大きいとか、力が強い生徒、または上級生がする、いわゆる弱い者イジメではなく、

友達や同じグループだった生徒が、仲間にイジメを始めるケースが多い。

そのため、欧米では廊下などの教室外やスクールバスでイジメの場所であるが、日本では教室となっている。 



苛める生徒が、問題がある子だとは限らない。

欧米だと普通、家庭に問題があったり、虐待を受けていたり、精神的に不安定な生徒がイジメをするが、

日本ではまったく普通の生徒なので、一人の生徒が加害者にも被害者にもなる可能性がある。


ということでした。 




そういうタイプのイジメが起こる原因としては、


まず、日本の競争の厳しい教育システムから起こるストレスがあげられてます。


確かに、

うちの次男は日本で言う高校三年生ですが、アメリカには入学試験というものがないので、のん気なものです。

週末になれば、うちのデッキに友達が大勢集まり、水タバコなんかふかしてワイワイやってます。 

毎日、その友達らとスカイプしながら、何時間もオンラインのビデオゲームやってます。


皆、かなりの優等生で、きっと将来、医者や学者になるような子達ですが、そんな調子でも大丈夫なんです。

塾などありませんから、代わりに音楽を習ってプロ並みに演奏したり、スポーツも出来て、のびのびしています。




あと、日本の生徒は、対人関係、他の生徒との交流にストレスを感じているのだそうです。


アメリカでは公立だと、中学生からホームルームも担任もなしで、それぞれがそれぞれの時間割でクラスを移動します。 

毎回、クラスメートが違うんです。 

短時間しか同じ生徒と過ごさないので、友情関係は深め難いですが、特定の生徒に定着せず楽な面もあるでしょう。 

また、毎日、数百人の生徒とクラスを一緒にするので、気が合う友達も見つけ易いというのもあるかも知れません。



対人関係が苦手なのは、勉強に忙しく、他の子供達と過ごす時間がないためではないかと書かれています。

親が過保護過ぎるため、対人関係が下手ということもあげれていました。



そう言えば、以前読んだアメリカの心理学者が書いた論文によると、

一般的に、アメリカの母親は、自立できる子供を育てることが良き母親のイメージとして抱いている反面、

日本の母親は、子供を甘えさせてあげる優しさが良き母という考え方なんだそうです。


そういう意識の違いも関係しているのかも知れません。




人類学的、心理学的な分析によると、

単一民族の日本では “協調” を重視するので、他とは違うということを悪いことと見なし、

子供達に “普通”、“皆と同じ” であることが大事だという観念を与える育て方をし、 

だから、少しでも違った容姿、行動、意見だと、仲間から追い出そうとする意識が生まれるのだそうです。


アメリカは様々な人種、文化、宗教の集まりですし、

皆が同じ考え、意見だとクリエイティビティーも生まれないと、“個性” をとても大切にします。


そして、授業は生徒のレベルに合わせ、二、三段階あるので、同じクラスの生徒にはそれほど差がないですから、

成績の差から摩擦が起こることはあまりありません。




日本では、グループ、学校、会社内で、他の者を正し、協調を保つ責任が個々にあるという思考から、

違うものを罰する権利が自分にはあると信じる者もいる、


また、我慢、忍耐が美とする文化なので、懲らしめを耐えることで根性がつき、人間性が高まるいう考えがあり、

弟子、後輩を過酷な扱いをすることが受け入れられている、


とも書かれていました。


そういう文化が、日本特有のイジメの根源にあると説明する学者もいます。

だから、他の生徒も先生も学校も見て見ぬをする観があるのでは、ともあります。



“先輩”、“後輩” という言葉もなく、年上への敬語もない、実力社会のアメリカからすると、

新部員は床拭きだけ、とか、弟子入りして数年間はお寿司は握らせてもらえないとか、いうのは、

単なるイジメに近い意地悪と思えるかも知れません。




アメリカの公立高校は入試はなく、住む学区内の高校に行くのですが、


長男は、グラフィック関係のプログラムを取るために、学区外の荒れた地区が学区に含まれる高校に行きました。

イジメというよりも、麻薬の売買や恐喝が行われているので、校内のトイレには行ったことがないと言います。


お金持ちの白人か貧乏な黒人、みたいなところだったので、衝突がよくあり、

取っ組み合いの喧嘩は、女の子ですら、しょっちゅうのことだったそうです。 

そういう時は、校内に配置されている警察官が止めにきます。



次男の高校は学区内で、どこかの国の二世が多く、いろんな人種の集まりの地域で、

また経済的に安定し、家庭内に問題もない家庭の子供達がほとんどのようです。


自慢になりますが、息子は優等生のプログラムで、同じようなレベルの百人余りのプログラムの生徒は気が合い、

イジメは全くないそうです。


中学の時も、イジメは見たことも聞いたこともないと言っていました。  



報道されるアメリカでのイジメは甚大ですが、

普通の家族の子供達が行く普通の学校では、一般には日本ほどイジメは起きてはいないようです。




日本のイジメは、文化や特有の価値観が背景にあるので、完全になくすことは難しいけれど、

日本の学校、先生のイジメへの対応を変え、もっと子供を守ることが可能ではないかと書かれています。




傍から見ると、人種差別や宗教の違いが大問題の今の世の中で、

日本人が日本人を苛めているなんて、本当に不思議で、馬鹿らしく映るようです。 


外国人の中で暮らす日本人の私にも、不思議で馬鹿らしく、そして悲しく映ります。