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＋＋ エピソード日本史 ～人物で繋ぐ日本の歴史～
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.033━2007.02.07━…‥*
◆◇ 橘三千代 《タチバナ（の）ミチヨ》…
はじめ縣犬養三千代と称し、後に橘宿禰を賜る。
元々は皇族の美努王の妻であったが、後に藤原不比等の妻となる。
天武朝から天皇に仕え、不比等と結婚後は内助の功を尽くしたとされるが…
《＊縣犬養三千代：アガタ・イヌカイ（の）ミチヨ》
《＊橘宿禰：タチバナ（の）スクネ》
《＊美努王：ミヌオウ》
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■ 時代の母となった裏宰相、橘三千代
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
藤原不比等の妻、橘三千代。
内助の功で偉大な夫を影で支える良妻。
これはあくまで三千代を語る上で一側面でしかありません。
彼女には具体的な政策結果などはないものの、
天武・持統両天皇から信任を得、珂瑠皇子の養育を任され、
前夫との子は大臣に、不比等との子は皇后に、そして孫は天皇になっています。
そして夫・不比等は当時の最高権力者。
これだけの人材に囲まれた三千代を単なる運の良い女性ではありません。
元々敏達天皇の曾孫にあたる皇族の美努王に嫁ぎます。
１０代半ばだったと思われますが、ニ男一女をもうけます。
この美努王、壬申の乱で天武方についていました。
そして、三千代の血縁者には天武の舎人として活躍した東人がいました。
これらの事が幸いし、天武朝になると、
三千代の決め細やかな気配りが天武の目に留まり、
後宮に出仕することになります。
《＊舎人：トネリ》
《＊東人：アズマビト》
この頃から持統との交流もあったと思われます。
草壁皇子の忘れ形見である珂瑠皇子の養育係を仰せつかい、
持統が天皇として即位すると三千代も重用され始め、
彼女の発言力は徐々に増していったと思われます。
その一方で、夫の美努王は九州の筑紫へ単身赴任していました。
この頃から夫よりも朝廷内での立場は高くなっていました。
丁度同じ頃、不比等が歴史の表舞台に出始めます。
いつ頃二人が出会ったかは定かではないのですが、
夫の美努王が筑紫に赴任した辺りから二人は急速に接近しています。
頭角を現し始めた不比等３８歳、後宮で信頼の厚い三千代２７歳。
二人は、珂瑠皇子が即位し、不比等の娘が嫁いだ年に結婚しました。
不比等の壮大な夢の第一歩、娘の天皇への入内。
これも三千代の助けがあった事でしょう。
この文武天皇（珂瑠皇子）と不比等の娘の間に子が生まれれば、
不比等の夢はさらに一歩近づくのです。
程なくして不比等の娘が懐妊します。
すると三千代のお腹にも子が宿ります。
この事実を知った不比等にもう一つの夢が広がりました。
もし文武天皇の子が男子で、三千代の子が女子ならば、
二人を結婚させる事は出来るのではないかか？
そうすれば、人臣といえど娘が皇后になれるのではないか？
こんな話を不比等は三千代に語っていたかもしれません。
かつて誰も成し遂げた事のない壮大な夢。
三千代は不比等の思いに応えるかのように女子（安宿媛）を産みます。
そして不比等の娘も文武の男子（首皇子）を産みます。
後の話ですが、二人が結婚し、時代を動かして行きます。
《＊安宿媛：アスカベ・ヒメ》
《＊首皇子：オビト（の）皇子》
不比等死後も、朝廷内での発言力は下がりませんでした。
事実上の決定権を持っていたともいえます。
そして三千代は良妻から賢母へと変貌します。
不比等の夢実現に助力し続けた三千代は、
不比等死後、前夫・美努王との子、葛城王を高官に引き上げます。
不比等存命中では、不比等との仲が悪くなる、
もしくは葛城王が左遷されてしまう可能性を考えていたのかも知れません。
慎重に葛城王を引き上げました。
不比等の夢の実現に助力しただけでなく、
天武～持統～文武を影で支えながら、
自分の息子を大臣にまでさせるのです。
次の時代を担う人物は皆、三千代の教育を受けました。
まさに時代の母となった女性でもあったのです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
不比等の夢が三千代のお蔭で現実のものとなり始めていました。
しかし、不比等はその夢の実現を見ないまま死んでしまいます。
三千代は不比等の夢を引き継ぎ、自分の娘を皇后にしようと考えます。
二人の夢に立ちはだかる人物がいました。
後に怨霊として恐れられた人物、長屋王がその人です。
┏━◇ 次回の予告 ◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
意外にオシャレ？怨霊となった長屋王
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
━━[編集後記]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
巨星・不比等の妻には三千代クラスの人物でなければ
勤まらなかったのではないかと、三千代の人生を見ていると思います。
その一方で聡明過ぎた三千代は不比等クラスの男でなければ、
自分の生きる道を歩めなかったのではないかとも思います。
二人はある意味、お似合いカップルだったのかも知れませね。
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◆ 発行者 ：yatarou
◆ 発行周期 ：平日日刊、土曜ダイジェスト版
◆ 購読・解除 ：http://www.mag2.com/m/0000220856.html
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.033━2007.02.07━…‥*
◆◇ 橘三千代 《タチバナ（の）ミチヨ》…
はじめ縣犬養三千代と称し、後に橘宿禰を賜る。
元々は皇族の美努王の妻であったが、後に藤原不比等の妻となる。
天武朝から天皇に仕え、不比等と結婚後は内助の功を尽くしたとされるが…
《＊縣犬養三千代：アガタ・イヌカイ（の）ミチヨ》
《＊橘宿禰：タチバナ（の）スクネ》
《＊美努王：ミヌオウ》
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■ 時代の母となった裏宰相、橘三千代
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藤原不比等の妻、橘三千代。
内助の功で偉大な夫を影で支える良妻。
これはあくまで三千代を語る上で一側面でしかありません。
彼女には具体的な政策結果などはないものの、
天武・持統両天皇から信任を得、珂瑠皇子の養育を任され、
前夫との子は大臣に、不比等との子は皇后に、そして孫は天皇になっています。
そして夫・不比等は当時の最高権力者。
これだけの人材に囲まれた三千代を単なる運の良い女性ではありません。
元々敏達天皇の曾孫にあたる皇族の美努王に嫁ぎます。
１０代半ばだったと思われますが、ニ男一女をもうけます。
この美努王、壬申の乱で天武方についていました。
そして、三千代の血縁者には天武の舎人として活躍した東人がいました。
これらの事が幸いし、天武朝になると、
三千代の決め細やかな気配りが天武の目に留まり、
後宮に出仕することになります。
《＊舎人：トネリ》
《＊東人：アズマビト》
この頃から持統との交流もあったと思われます。
草壁皇子の忘れ形見である珂瑠皇子の養育係を仰せつかい、
持統が天皇として即位すると三千代も重用され始め、
彼女の発言力は徐々に増していったと思われます。
その一方で、夫の美努王は九州の筑紫へ単身赴任していました。
この頃から夫よりも朝廷内での立場は高くなっていました。
丁度同じ頃、不比等が歴史の表舞台に出始めます。
いつ頃二人が出会ったかは定かではないのですが、
夫の美努王が筑紫に赴任した辺りから二人は急速に接近しています。
頭角を現し始めた不比等３８歳、後宮で信頼の厚い三千代２７歳。
二人は、珂瑠皇子が即位し、不比等の娘が嫁いだ年に結婚しました。
不比等の壮大な夢の第一歩、娘の天皇への入内。
これも三千代の助けがあった事でしょう。
この文武天皇（珂瑠皇子）と不比等の娘の間に子が生まれれば、
不比等の夢はさらに一歩近づくのです。
程なくして不比等の娘が懐妊します。
すると三千代のお腹にも子が宿ります。
この事実を知った不比等にもう一つの夢が広がりました。
もし文武天皇の子が男子で、三千代の子が女子ならば、
二人を結婚させる事は出来るのではないかか？
そうすれば、人臣といえど娘が皇后になれるのではないか？
こんな話を不比等は三千代に語っていたかもしれません。
かつて誰も成し遂げた事のない壮大な夢。
三千代は不比等の思いに応えるかのように女子（安宿媛）を産みます。
そして不比等の娘も文武の男子（首皇子）を産みます。
後の話ですが、二人が結婚し、時代を動かして行きます。
《＊安宿媛：アスカベ・ヒメ》
《＊首皇子：オビト（の）皇子》
不比等死後も、朝廷内での発言力は下がりませんでした。
事実上の決定権を持っていたともいえます。
そして三千代は良妻から賢母へと変貌します。
不比等の夢実現に助力し続けた三千代は、
不比等死後、前夫・美努王との子、葛城王を高官に引き上げます。
不比等存命中では、不比等との仲が悪くなる、
もしくは葛城王が左遷されてしまう可能性を考えていたのかも知れません。
慎重に葛城王を引き上げました。
不比等の夢の実現に助力しただけでなく、
天武～持統～文武を影で支えながら、
自分の息子を大臣にまでさせるのです。
次の時代を担う人物は皆、三千代の教育を受けました。
まさに時代の母となった女性でもあったのです。
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不比等の夢が三千代のお蔭で現実のものとなり始めていました。
しかし、不比等はその夢の実現を見ないまま死んでしまいます。
三千代は不比等の夢を引き継ぎ、自分の娘を皇后にしようと考えます。
二人の夢に立ちはだかる人物がいました。
後に怨霊として恐れられた人物、長屋王がその人です。
┏━◇ 次回の予告 ◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
意外にオシャレ？怨霊となった長屋王
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━━[編集後記]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
巨星・不比等の妻には三千代クラスの人物でなければ
勤まらなかったのではないかと、三千代の人生を見ていると思います。
その一方で聡明過ぎた三千代は不比等クラスの男でなければ、
自分の生きる道を歩めなかったのではないかとも思います。
二人はある意味、お似合いカップルだったのかも知れませね。
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