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++  エピソード日本史 ~人物で繋ぐ日本の歴史~ 
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.028━2007.02.01━…‥*



 ◆◇ 大友皇子 《オオトモ(の)皇子》…

 第39代・弘文天皇。天智天皇の皇子。またの名を伊賀皇子。
 天智天皇が崩御した後起こる「壬申の乱」に敗れ、
 山前に逃げ、自ら首をくくって死んだとされるが…。

 《*伊賀皇子:イガ(の)皇子》
 《*壬申の乱:ジンシンのラン》
 《*山前:ヤマザキ(現在の滋賀県大津市)》



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■ 明治でやっと天皇宣下、大友皇子
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古代最大の内乱、壬申の乱。
天智の子・大友皇子vs.天智の弟・大海人皇子が
皇位継承を争って、ぶつかりました。

 《*大海人皇子:オオアマ(の)皇子》

この戦いで敗れた大友皇子は、
山前(滋賀県大津市)まで逃げ、自害したとされています。

しかし、中臣鎌足の故郷があったとも言われている久留里に
『久留里記』というの古書が残っているそうです。
その中では、大友皇子は身代わりを立て脱出し、
遠江に出て、小田原を経て乗船し、そして海路を上総にとり、
上陸後、遣水山に行宮を営んだという伝説が残っているようです。

 《*久留里:クルリ(現在の千葉県君津市)》
 《*遠江:トオトウミ(現在の静岡県の西部付近)》
 《*上総:カズサ(現在の千葉県中南部)》
 《*遣水山:ヤリミズ山》
 《*行宮:アングウ》

この遣水山の行宮の山頂に祭られている祠があり、
この祠が、現在の千葉県小櫃にある白山神社だといいます。

この白山神社には大友皇子が近年まで安置されていたとも言われています。


そんな大友皇子は、かなり優秀な人物だったようです。
彼の資質を、父の天智は愛し全面的にバックアップしたようです。

現在でこそ、天皇の後継者である皇太子は長男が継ぐことになっていますが、
古代の天皇家では長男が継ぐという法律や規定などもありませんでした。
むしろ、長男よりも、兄弟を優先する事は珍しい事ではなかったのです。

天智には、弟の大海人皇子がいました。
生前、天智は大海人を皇太子にしてしまっていました。
しかし、天智は自分の子・大友皇子に継がせる策を考えていました。

そこで、天智は弟の大海人を呼び、皇位を譲るお話をします。
もしここで、大海人が喜んで飛びつくようなら、
謀反の意思ありとみなし、大海人を殺すつもりでした。
それに対し、この大海人皇子はなかなかしたたかな男です。

殺される可能性がある天智の元へ行き、
自分は僧になり国政から離れると言ったとされています。

殺す目的を失った天智は、後に皇位を息子の大友皇子に譲りなくなりました。

確かに、天智は皇位を譲っていたと思われます。
しかし、長い間大友皇子は天皇としては系譜に残っていなかったのです。


彼が生きた時代から1000年ほど後の明治時代。
この明治時代に天皇として君臨した明治天皇が、
大友皇子は天皇として即位していたとし、弘文天皇の名が贈られたといいます。


なぜこんな事が起きたかというと、
実はこの時代より古い歴史は日本書紀や古事記を元に考えられています。
その中に、弘文天皇の名がないのです。
いや、大友皇子の名はありますが、即位した形跡がないとされています。
これは、この歴史書を編纂したのが、
大友皇子の敵方だった大海人皇子の政権だからだと言われています。

つまり勝者の歴史ですね。

その為、長い間皇子のままだったのですが、
武家政権だった江戸時代を天皇親政の明治時代に戻り、
改めて調査し、大友皇子も天皇だったとしたようです。



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さて、この大友皇子と皇位争いをした人物、大海人皇子。
彼が壬申の乱後、天皇として即位し、新時代を作ります。
この大海人皇子は後に天武天皇と呼ばれます。



┏━◇  次回の予告  ◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

 兄より年上の弟??天武

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━━[編集後記]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
最近、うまく時間がとれず、更新時間が乱雑になっているだけでなく、
文章の質が高い次元で保てなくなっている事が残念です。
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