また一つ新しい夢が増えた。
今回は,やり投げの選手。
3年生の途中から彼は長距離から短距離・投擲に転向。
その年は陸上部再編で3人を長距離から短距離に転向した年でもあった。
才能で、
適性で、
訳ありで、
消去法で。
色々理由はあれど3人のうち2人は冬の練習を,元々いた短距離の選手よりこなし、今年別人のような走りになった。
劇的に変わり、まさにミラクルだった。
「来年のマイルは優勝する!」
それが一つの夢であり、このチームの唯一掴めていない悲願。
もう1人のやり投げの彼は少しずつ、ほんの少しずつ前に進んでいるようだ。
遅れはとったものの、最終学年に向けて変わりつつあるようだ。
1歩進んで2歩下がる。
3歩進んで2歩下がる。
10伝えて1分かることもあれば、10伝えてマイナスに後退することもあった。
不器用だけど、他の選手にはない考えるということだけはもっている。
あとは、それをプラスに向かわせられれば。
コーチも先輩も同級生も、摩擦はあっても最後はなんとかしてあげたいと願う。
何かが伝えられない。
何かが伝わらない。
何かが変わらない。
何をすればいいのか。
でも、そんな空気が少し彼を前向きに変えつつあるのかもしれない。
そんな気配が,瞳と行動から見えはじめた。
本気で求める者に、本当の出会いが来る。
彼と、周りの人間の願いや思いが、外部から新しいコーチを手繰り寄せたのかもしれない。
人は変わる。
コイツも変わる。
確信できる。
彼と年齢が近い、最も学べるお手本。競技への態度、人間性、生き方、情熱。
世代と親近感が、自分達に足りない説得力を持って、何かを変えてくれる予感がした。
金、土、日の3日間、一緒に過ごして、彼が来年の大会で感謝のビッグアーチ(55)を描くイメージができた。
自分だけの夢ではない。
そんな夢が選手の数だけある。
それが、この仕事への誇りなんだなと,最近ふと感じる。
サマーウォーズ