1954年(昭和29年)公開の怪獣映画『ゴジラ』でスーツアクターだった中島春雄さんが8月7日に88歳でお亡くなりになりました。

中島さんは世界で初めて怪獣のスーツアクター(着ぐるみ)を演じた俳優さんです。

 

 

今はハリウッド映画を始めとして、海外でのモンスターはCGで描かれますが、映画初期の頃はストップモーション・アニメという人形を1コマづつ動かして撮影した映像を連続再生する技法を使っていました。

有名なのが1933年に公開された『キングコング』。

その後、レイ・ハリーハウゼンがその技法を駆使して、特撮映画をたくさん製作しました。

1953年、彼は『原子怪獣現わる』を製作しますが、その影響を受けたのが日本の円谷英二監督です。

円谷監督は翌年、『ゴジラ』を製作するのですが、最初はストップモーション・アニメでゴジラを創造しようと考えました。しかし、製作費がかかるため、人間が着ぐるみを着て演じるという日本独特のスタイルとなりました。

中島さんは日本、いや世界第一号の着ぐるみ俳優としてゴジラを演じることになりました。

当時のゴジラの着ぐるみは約150キロもあったそうで、かなり大変だったようです。

その後、中島さんは数々の怪獣を演じることになります。

 

<中島春雄さんが演じた怪獣たち>

ゴジラ(1954年)
ゴジラの逆襲(1955年)
空の大怪獣ラドン(1956年):ラドン、メガヌロン
地球防衛軍(1957年):モゲラ
大怪獣バラン(1958年):バラン
モスラ(1961年):モスラ幼虫
妖星ゴラス(1962年):マグマ
キングコング対ゴジラ(1962年):ゴジラ)
マタンゴ(1963年):マタンゴ
モスラ対ゴジラ(1964年):ゴジ
三大怪獣 地球最大の決戦(1964年):ゴジラ
フランケンシュタイン対地底怪獣(1965年):バラゴン
怪獣大戦争(1965年):ゴジラ
フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ(1966年):ガイラ
ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘(1966年):ゴジラ
キングコングの逆襲(1967年):キングコング
怪獣島の決戦 ゴジラの息子(1967年):ゴジラ
怪獣総進撃(1968年):ゴジラ
緯度0大作戦(1969年):ライオン、グリホン、大ネズミ、コウモリ人間
ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃(1969年):ゴジラ
ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣(1970年):ゲゾラ、ガニメ
ゴジラ対ヘドラ(1971年):ゴジラ
地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン(1972年):ゴジラ

ウルトラQ
第1話「ゴメスを倒せ!」(1966年):古代怪獣ゴメス
第18話「虹の卵」(1966年):地底怪獣パゴス

ウルトラマン
第3話「科特隊出撃せよ」(1966年):透明怪獣ネロンガ
第9話「電光石火作戦」(1966年):ウラン怪獣ガボラ
第10話「謎の恐竜基地」(1966年):襟巻恐竜ジラース
第33話「禁じられた言葉」(1967年):ケムール人
第38話「宇宙船救助命令」(1967年):光熱怪獣キーラ

ウルトラセブン 
第17話「地底GO!GO!GO!」(1968年):地底ロボット ユートム
 

『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』を演じたのを最後に、中島春雄さんはスーツアクターを引退しています。


2011年(平成23年)アメリカ合衆国ロサンゼルス市民栄誉賞を受賞。
2012年(平成24年)11月、出身地である酒田市より「第1回酒田ふるさと栄誉賞」を受賞。

 

昭和の日本怪獣映画を支えた名優でした。

 

動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=78YbGktcHe0