5代目スカイライン C210系(1977~1981) | 決して彼等のようではなく

5代目スカイライン C210系(1977~1981)

ドラマ西部警察で大門部長刑事が、特捜車マシンXとして乗っていたモデル。熱狂して見ていたな。








5代目・日産スカイライン 4ドアセダン2000GT-E・L C211



C211エンブレム




歴代2位の販売台数を誇る5代目、通称ジャパン。
キャッチコピー、スカイライン・ジャパンからそう呼ばれるように。
先代のファストバックのイメージを残しつつも、
直線基調のデザインで大胆なモデルチェンジとなった。
より豪華になったインテリア、まるでジェット機のコクピットを思わせるモダンなインパネデザイン、
そして、スカイラインとしては初めてのサンルーフや、後には本皮シートのオプション設定など、
それまでの、恋人達のデートカーからは一転、
大人のGTカー的な、雰囲気を重視したコンセプトと感じる。
当時の排ガス規制で、動力性能的に訴求出来ないとなれば、
こうした、車から醸し出す雰囲気でイメージ作りをはかろうとした意図はわかるが、
それまでの走りのイメージの強かった事を考えると、
5代目デビュー当時は、それまでのスカイラインファンには物足りなく映った。
今では当たり前となったこうしたコンセプトは、当時としては先進的すぎたように感じる。
しかし、モデル後半となった、80年5月に、
スカイラインとしては初のターボチャージャー付きモデルが登場し、
一気に走りのイメージを復活させるあたりは、スカイラインの面目躍如と言ったところか。
また、この走りのイメージ復活に一役買ったのが、
当時大人気を誇った刑事ドラマ「西部警察」での大々的な採用の影響が大きい。
特捜仕様の改造覆面パトカー、その名も「マシンX]として、
番組上で重要な役割を果たし、俺を含む車好きを熱狂させた。
この車については、後述する。


ボディーバリエーションは、ロングノーズボディーの6気筒GT系、
ショートノーズの4気筒エンジンシリーズを、新たにTIシリーズと名付ける。
このネーミングは、6台目R30型まで継承する。
GT系、TI系それぞれに、2ドアハードトップと4ドアセダン、
その他にバン(後にワゴン追加)がある。


エンジンは、当初4代目からの横滑りだったが、
TI系は途中から、当時の日産の新世代主力エンジン、
2プラグ点火のZ型を搭載する。
このZ型、1600のZ16S,1800はZ18Sとインジェクション仕様のZ18E、
そして、マイナーチェンジ後に2000ccのZ20Eも設定。
GT系も当初は先代の横滑りだったが、マイナーチェンジ後の途中で、
インジェクション仕様のL20E型が、
EGIシステムを新世代の集中制御型(ECCS)に変更し、
ヘッドカバーの意匠を変更している。
この変更で、トルク重視の設定となり最高出力は125PS(グロス値)と5馬力ダウンしている。
スカイライン初となるターボチャージャー付エンジン、L20ET型は、
最高出力145PS(グロス値)と、GT-Rには及ばないものの、
最大トルクは21.0kg・m(グロス値)と、過給器の恩恵は大きくスカイライン史上最大となる。
エンジン音は、L20そのままなのだが、
ひとたび加速すれば、甲高いタービン音がまわりに響き渡った。
その他に、やはりスカイラインとしては初のディーゼルエンジン、LD28型もラインナップ。
6気筒L型をベースに開発された乗用車用としては日本初の6気筒ディーゼルエンジンで、
91馬力・18.0kg・m(グロス値)と、
当時のディーゼルエンジンとしては、圧倒的な性能を誇った。
当時、低燃費と燃料となる軽油の低廉性から、
いすゞ・ジェミニディーゼルが爆発的に売れていて、にわかにディーゼル車が脚光を浴び、
各社続々ディーゼル車を登場させた時代であったが、音がうるさいことと、
動力性能的にガソリン車には遠く及ばないという現実があり、その最適解として日産の一つの解答が、
6気筒大排気量ディーゼルエンジンだったのだと思う。
(ディーゼルエンジンは排気量による小型車枠が存在せず、
当時は税制も上限2000ccであったため、
2800ccのこのエンジンを開発・搭載できた。)
このエンジン、見た目はL型6気筒と見まごうばかりにそっくりで、
エンジン音も、ディーゼル特有の音はするものの、非常に乾いた軽やかな音で、
6気筒ならではの静かさがあった。
そして、もともとセドリック・グロリア用のこのエンジンを、
ファミリーカー的な要素のあるスカイラインに載せるというのは自然な流れでだったといえる。
GTを名乗るにふさわしい動力性能のディーゼルエンジンということで、日産の自信の表れか、
カタログには、このエンジンの紹介文の中に、最高速度162km/hと書かれている。
(当時のディーゼル車の最高速度は、平均120km/h程度)
その他、これと同時期、バンにLD20型4気筒2000ccディーゼルもバリエーションに加わる。


グレードはTIシリーズが、
1600はTI(4ドアのみ)、1600TI・L、1800がTI・L、TI-E・L、TI-E・
後に登場した2000が、TI-E、TI-E・S。
GTシリーズは、GT(4ドアのみ)、GT・L、
GT-E、GT-E・L、GT-E・X、GT-E・S。
後に登場したターボは、GT-E系すべてにラインナップされている。
ターボとノンターボの外観上の違いは、
トランクリッド右側に小さく貼られたTURBOエンブレムのみ。
5台目で一気に、スカイライン史上最多を誇るラインナップに膨れあがった。

グレードの違いは、装備のみと言ってもいい。
GT系TI系での違いは、前期モデルはメーター形状が違っていて、
GT系は8連メーター(後期は7連)、TI系は6連メーターだった。
タコメーターは、バンとTIを除く全車に装備されていて、
これは他の車ではあり得ないことで、メーターでスポーツ性をアピールしていた。
TI系、GT系それぞれベースグレードは、ビニールレザーのシートに、AMラジオのみ。
(ターボGT-Eには、リアワイパーが付いていた。)
L、E・Lタイプには、加えてシートが形状こそ同じものの布張りになり、
オーディオがFMラジオ+カセットステレオ(4スピーカー)、時計はデジタルに。
上記モデルは、GTバッジは青。
E・Xタイプが、見た目にも豪華なヘッドレストシートバック内装型形状になり、
パワーウィンドー、外観ではホイールアーチモールを装備、GTバッジは金。
E・Sタイプは、GT-Eタイプに、セミバケットシート、本皮巻きのステアリングにシフトノブ、
L、E・Lタイプと同じオーディオ、ヘッドランプウォッシャー、
足回りの大きな違いはハードサスに(確か)LSDが装備されていた。
外観では、後期モデルでバンパーとウィンドーモールがブラックメッキになり精悍さをアピール。
GTバッジはGT-Ri以来の栄光の「赤」が復活している。
E・Sタイプは、街中でめったに見かけることもなく、
他のGT系とは一線を画した特別な存在だった。
その他、バンはデラックスとGL,後に登場したワゴンは、
グレード名はそのまま、「WAGON]とされていたが、
装備はTI・Lに準じていた。(ただしオーディオはAMラジオのみ



この5代目は、マイナーチェンジがかなり大がかりだったのも特徴だ。
外観では、GT系では角形2灯のヘッドライトになり、ハニカム形状のグリルから、
横基調のラインで構成されたシンプルなものになり、
リアガーニッシュも凹凸の少ないシンプルな形状に変更。
インテリアでの最大のトピックは、新設計のインパネだろう。
インパネ(インストルメント・パネル)は、設計にコストがかかり、
通常、マイナーチェンジ程度では変更することはなく、
なぜここまで大がかりな変更をしたのか、ちょっと俺には解らない。
ただ、この変更はインパクトがあったのは事実で、
前記モデルと後期モデルで、大きく印象を変えることに成功している。
また、後期モデルでは、それまでグリーンが当たり前だったメーター照明が、
オレンジ色になった(恐らく国産車初)のも新鮮に映った。


さて、ターボ登場を期に、走りのイメージを復活したスカイライン。
この5代目のイメージを作る上で欠かせないのが、先に書いた、刑事ドラマ「西部警察」だろう。
ここで使用された、特捜車マシン・Xについて紹介したい。
俺は、実際にこの車を某ロケ先の駐車場でじっくり拝見させてもらっている。
また、その時あった石原軍団パレードで、走っている姿も見ているので、
その時の記憶を辿ってお伝えしたい。
まず、このマシンX,ネット上では諸説あるが、俺の見たマシンXに関して書かせてもらうと、
ベースグレードは、2000ターボGT-E。これは間違いない。
根拠は、リアワイパーが装備されていること、時計がアナログなこと、
そして極めつけは、フェンダーミラーが、電動リモコン式ではないことだ。
内装色はベージュ。
エンブレムに関しては、GT-E・Xで、
黒バンパーやヘッドランプクリーナーが装備されているため、
E・XやE・Sタイプとする人がいるが、間違いである。
また、エンジンはほぼノーマル状態とみて間違いない。
(ただし、ボンネット上にキルスイッチがあり、オイルクーラーらしきものもあるのは確認している。
この点から全くのノーマルとは言わないが。)
マフラーこそ違えど、エンジンサウンドは通常のL20ETそのもの。
テレビで見るあの独特なエンジン音は、後から付けたもの。
放送の中でも、マシンX走行中のシーンで、エンジン音のアテレコがはずれていたことがあり、
その時にはっきりとL20ETのエンジン音(タービン音付き)を聞いているので、
これも間違いないと思う。
それから余談だが、劇中では品川ナンバーの偽のナンバープレートを貼られていたが、
実際は足立ナンバーで、番号は同じだった。




振り返ればスカイライン好きにとって5代目は当初、歴代モデルの中では微妙な位置付けであるが、
ターボ登場以降、車好きを熱くさせるものがあったと思う。
特にGT-E・Sタイプは、10代目までつながる、
「スカイラインらしさ」を初めて具現化したモデルだと言えよう。




我が家では、前期モデル、後期モデル両方とも乗りました。
この頃、親父は2年置きに車を買い換えていて、
しかも、発売日と同時に納車というすさまじさ。
ずいぶん羽振りが良かったな。
ちなみに、お隣さんはなぜかコロナに乗り換え。
その代わり、筋向かいに引っ越してきた人が、
しばらくして白の4ドアGT-E・Lを買いました。
その人が夕方会社から帰ってくるのが待ち遠しかったのを覚えています。

俺が物心ついて、一番最初にモデルチェンジを記憶しているのが、この5代目・C210でした。
それまでのスカイラインのイメージといえば、
やはり箱スカであり、ケンメリしかなかったのですが、
突然見慣れぬ車がスカイラインといわれて、複雑だったことを覚えています。
でも、すぐに気に入りましたけどね。
俺が一番最初に親に買ってもらって手にした自動車雑誌、
モーターファン77年10月号に、C210スカイライン特集記事が組んであって、
ボロボロになるまで読んでいたのを覚えています。(ちなみにこの雑誌、まだ手元にあります。)
そこには、ブルーとシルバーの2ドアハードトップGT-E・Sのテストカーがあり、
サーキットでの走行テスト、一般道での試乗記、
その他、夜の東京の高層ビル街をバックにしたイメージフォトなど、
内容は現在とあまり代わり映えがしないです。
で、このブルーの方にあこがれました。
そしてこの当時、ちょうど初恋の頃で、
その好きな女の子とブルーのスカイラインでドライブしたいな、
なんて思いながら、よく妄想していたものです。今思えば変なガキです。
その初恋の子には、見事に振られました。
でもその15年後、そして20年後に再会して・・・、
「私のこと、覚えてる?」なんて声をかけられた日には、心臓バクバクで・・・、
話が逸れました。
とにかく、5代目C210は、俺にとっては甘酸っぱい思い出と、
西部警察による、スカイラインの格好良さにしびれた、忘れがたい車なのです。



C211リア






前期モデルCM総集編 song by 愛はたぶん RAJIE




後期モデルCM総集編 song by スカイラインのテーマ 財津和夫











C210 スカイライン・ジャパンCM (すべては網羅していません)






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