太陽系の外縁部にこれまで観測されていない惑星とみられる天体が存在する可能性があるとする研究成果を、米カリフォルニア工科大の研究チームが20日にまとめ、米天文学会誌に発表した。

 この天体はまだ見つかっていないが、ほかの小天体の軌道などから、計算で推定したという。地球の10倍の質量を持ち、1万~2万年かけて太陽を周回しているとみられる。研究チームは、この天体を「第9惑星」と呼んでいる。

 研究チームは、太陽系外縁部で見つかった六つの小天体の軌道が、いずれも1方向に大きく変形していることに着目した。別の大きな天体が、反対の方向に変形した軌道を持っていれば説明がつくことを、計算で確かめたという。

 この天体と太陽の距離は、平均すると太陽―海王星間の20倍になるとみられる。この天体の存在を観測で確かめるには、ハワイにある日本のすばる望遠鏡など最高性能の望遠鏡が必要で、研究チームは米メディアの取材に「今後5年はかかる」と話した。
 今年誕生30周年を迎える人気ゲームシリーズ『ドラゴンクエスト』が今夏、ゲームの枠を飛び越えた全国5大アリーナを巡る超大型エンターテインメントショー『ドラゴンクエスト ライブスペクタクルツアー』を開催することが20日、都内で行われた会見で発表された。“日本初のオリジナルアリーナショー”として、全国5都市で40万人を動員予定。主人公である勇者、盛り上げ役のトルネコは後日オーディションで選ぶ。


 ショーのベースは、社会現象を巻き起こした『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(1988年発売)。魔王討伐に挑む伝説の勇者を中心に、他のナンバリングタイトルの人気キャラクターからおてんば王女の武闘家アリーナ(IV)、孤高の剣士テリー(VI)、元山賊ヤンガス(VIII)、放浪の芸人パノン(IV)が参戦決定。各々が“ワケあって”『III』の世界に迷い込んだという設定だ。関係者によると、他にもおなじみのキャラがシリーズの垣根を超えて多数登場するという。

 巨大なアリーナ会場をキャンパスに、最新映像テクノロジーや、世界トップパフォーマーの身体芸術、すぎやまこういち氏の音楽を全国の高校から選抜された強豪マーチングバンドが演奏するなど、さまざまなパフォーマンスが融合。ゲームの世界に飛び込んだかのような空間に加え「観客自身が主人公だと感じられる演出を駆使した日本では新感覚となる観客参加型ライブエンターテイメント」となる。

 企画・制作は日本テレビ。演出は、B’zのコンサートなども手掛け、大規模空間でのエンターテインメントショー演出を得意とする金谷かほり氏、ステージデザインは、マドンナ、レディー・ガガ、ワン・ダイレクションなどを手掛けるレイ・ウィンクラー氏率いるStufish Entertainment Architects社。金谷氏は「自分が持っている力、情熱を全て捧げて成功させます。メラです(燃えています)」と“呪文”を交えて気合十分。レイ氏も「私は後ろから全力で支えたい」と尽力を誓った。

 ひと足早くプロモーション映像も公開され、シリーズの生みの親でもあるゲームデザイナー・堀井雄二氏は「僕自身も早く観てみたい。打ち合わせの時よりもよくなっているみたいだし、楽しみにしています」と満面の笑み。主人公の勇者、会場を盛り上げるトルネコ役は、今後のオーディションで決定するといい「みんなが感情移入できるような好人物がいい。そういう人に期待しています」と願った。

 この日の会見は日本テレビのほか読売テレビ、中京テレビ、福岡放送の社長4名も出席し、司会の桝太一アナウンサーがスライムの帽子を被る力の入れよう。同局の依田謙一プロデューサーは「この日の会見に至るまで、構想だけで3年かかった」と感慨深げに切り出すと「趣味趣向が細分化し、王道がなくなっている時代に、あえて王道中の王道を作って、本当に今年『これが一番よかった』というものを作る。是非、そのお祭りに参加してほしい」と言葉に力を込め、プロジェクト成功への自信をにじませた。

 同公演は、7月22日~31日のさいたまスーパーアリーナを皮切りに、8月5日~7日にマリンメッセ福岡、12日~14日に名古屋・日本ガイシホール、18日~22日に大阪城ホール、26日~31日に横浜アリーナと、全国5都市39公演で約40万人を動員予定。同日午後8時より、チケットの先行予約が開始された。
 ◇大相撲初場所11日目(2016年1月20日 東京・両国国技館)

 大関・琴奨菊が横綱・白鵬との全勝対決を制した。左差し右を抱えてから得意のがぶり寄りで、棒立ちの最強力士を圧倒。優勝争いで単独トップに立つのは自身12年夏場所6日目以来、日本出身力士では同場所12日目の稀勢の里以来だ。06年初場所の栃東以来10年ぶりとなる日本出身力士の優勝へ、21日は1敗をキープする日馬富士との一番に臨む。

 どよめきが地鳴りのような大歓声に変わり、座布団が乱れ飛んだ。花道を引き揚げる琴奨菊の表情は硬い。自己ベスト更新の無傷11連勝で、優勝争い単独トップ。東支度部屋に戻っても「優勝」の2文字がちらついてしまうのか、いつものような笑顔になれない。荒く息をつきながら「自分を信じていた。(土俵で相手と)相撲を取るのは20秒から30秒。それ以外の時間は自分との闘い。そこで負けなかった」と独特の言い回しで“集中力”を勝因に挙げた。

 立ち合いの差し手争いで勝負を決めた。左を固めて白鵬が右をねじ込もうとしたところをブロック、がら空きになった相手の右脇に左を差し、右で抱える得意の形に。あとはひたすら圧力をかけるだけ。一度は体を入れ替えられたものの、上体を揺すりながら前へ、前へ。最後は右で胸を突いて押し出した。

 朝稽古で、その日の取組を予行演習するのが今場所の日課だった。相手役に仕切る際の癖まで細かく指示して本番をイメージ。だが、稽古を休んだ10日目に続き、白鵬に挑むこの日は稽古場に下りてもシミュレートしなかった。「もちろんイメージはできてます」。過去4勝46敗。大関獲りの過程で11年名古屋場所、秋場所と連勝したこともあるが、それ以前に19連敗の屈辱も味わった。脳裏に刻まれた苦い記憶もたどり勝機を探った。

 ドン、ドン、ドーン。出身地の福岡県柳川市で恒例の花火が打ち上げられた。勝てば1発。大関相手なら2発。この日の3発は地元大関の横綱撃破を知らせる“祝砲”だ。初優勝への期待がいよいよ高まり、後援会も準備に動き始めた。13日目からパブリックビューイング、優勝決定の際は花火増発などのプランが出ている。牟田口清事務局長は「これから話し合います」と後援会メンバーの柳川市、みやま市など近隣首長と連携しムードを盛り上げる構え。

 故郷からの温かい応援を背に、12日目は横綱・日馬富士と対戦する。「しっかり対策、準備をしたい。結果は全て自分に返ってくる」。優勝35回の現役最強力士を倒した余韻に浸る余裕はない。目前の一番に集中する先に賜杯が待っている。

 ▼八角理事長(元横綱・北勝海) 予想外だ。左を差し勝ち、止まらなかったのが勝因。優勝争いはまだこれから。これで決定戦の権利を得た感じだろう。まだ日馬富士との対戦もあるし、ここからが厳しい。気持ちで守りに入らないことだ。白鵬はここからというところだったが、いつもとは違った。
 開幕したばかりの全豪オープンの会場に激震が走った。

 米ニュースサイトのバズフィードと英BBCは17日、テニスの全英(ウィンブルドン)や全仏オープンなどで八百長が行われた可能性があると報じた。ビックリしたのは、疑惑の対象者の中に4大大会のシングルスやダブルスの優勝者も含まれているということだ。07年にATPツアーが実施した八百長に関する調査報告書を入手し、4大大会優勝者を含む16人に全英オープンなどで敗退行為があった可能性を指摘している。

 全豪1回戦に勝った錦織は直後の会見で質問に答え、「僕自身は全く関与していないし、八百長をやろうと思うことが全く理解できない」と語った。

 テニス界では昨年もイタリアとフランスの選手が八百長に関与したとして6カ月の出場停止処分を受け、イタリアのテニス協会も八百長をした国内の2選手を永久追放にしている。

「公認、非公認を含めてプロスポーツが賭けの対象になっている以上、八百長を仕組む組織はなくならない」といわれている。今回はテニス界で浮上した疑惑だが、世界を見渡せば、八百長や、まったく不正が行われないプロスポーツなど皆無と思えてくる。

 例えば、世界のサッカーリーグは八百長天国。八百長事件が報じられない年はないといっても過言ではない。昨年はFIFA(国際サッカー連盟)の腐敗も公になった。

 07年に不正賭博で逮捕された全米プロバスケット(NBA)の元審判は、過去に不正なジャッジがあったことを認めたし、アメフトのNFLでは、規定以下の空気圧の球を使用したとされた昨季スーパーボウル覇者のペイトリオッツが処分された。薬物汚染がひどいメジャーリーグでは、投手がボールを傷つけたり、松ヤニを付着させる不正投球の事例を挙げたらきりがない。打者では、ナ・リーグ本塁打王2回のサミー・ソーサによる、禁止されているコルク入りバットの使用が発覚したこともある。

 味噌もクソも一緒にするつもりはないが、薄汚いプロスポーツ界には、八百長に加担したり、禁止薬物を使っても大金を稼ぐ選手がいるのも事実。試合を見て熱くなっていることが、何ともバカバカしくなってくるというものだ。
 第154回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が19日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞に滝口悠生(ゆうしょう)さん(33)の「死んでいない者」(文学界12月号)と本谷(もとや)有希子さん(36)の「異類婚姻譚(いるいこんいんたん)」(群像11月号)、直木賞に青山文平(ぶんぺい)さん(67)の「つまをめとらば」(文芸春秋)が選ばれた。副賞は各100万円。贈呈式は2月下旬、東京都内で開かれる。


 滝口さんは1982年生まれ、埼玉県育ち。高校卒業後アルバイトを経て、早大入学。中退後、2011年に「楽器」で新潮新人賞を受け、デビューした。15年には「愛と人生」で野間文芸新人賞を受賞。芥川賞は2回目の候補だった。

 受賞作は、子が5人、孫が10人いた故人の通夜に集まる人たちの群衆劇。ばらばらに生きる人々が「死者」ともつながっている可能性を描いた。滝口さんは「小説はどんなことでも、どういう風にも語れるもの。この作品は融通無碍(むげ)な語りの力を信じて書こうと思いました」と話した。

 本谷さんは1979年石川県生まれ。2000年に「劇団、本谷有希子」を旗揚げ。鶴屋南北戯曲賞、岸田国士戯曲賞を受賞している。小説では野間文芸新人賞、大江健三郎賞、三島由紀夫賞を受賞。4回目の候補で芥川賞をつかんだ。

 受賞作は、専業主婦の主人公が、夫の顔とそっくりになっていることに気づく物語。他人から身内になる「夫婦」という関係の奇妙さを軽やかに描いた。13年の結婚がきっかけになった作品という。本谷さんは昨年、第1子の女児を出産。「おなかにいたときに、この作品を仕上げた。3回ダメだった賞を受賞でき、娘と作品がすごく関連している気がする」と喜びを語った。

 選考委員の奥泉光さんは、滝口作品を「語りの巧みさがあり、空間、時間の広がりを作り出した。たくさんの人物が出てくるが、一人一人の人物像がくっきりと描かれている」と評した。また本谷作品については「説話の構造を現代小説に生かすことに成功している。夫婦間の不気味な関係を巧みに描いた」と述べた。

 一方、直木賞の青山さんは1948年生まれ、横浜市出身。早大政経学部卒業後、経済関係の出版社を経て、フリーライターに。92年、別名での小説「俺たちの水晶宮」で中央公論新人賞を受賞。時代小説に転身し、2011年に「白樫の樹の下で」で松本清張賞を受けた。今回が2回目の候補で、過去2番目の高齢受賞となる。

 受賞作は江戸の女たちの姿を、男の視点から点描した時代小説。女のしたたかさと男心のか細さを描き出した6編からなる短編集だ。青山さんは「アジは青魚だが、泳いでいるときは銀色。銀色のアジのように、人間を、生きていた時代の色のまま描きたいと思ってきた」と話した。

 選考委員の宮城谷昌光さんは「作者が持つ小説的明度の上にユーモアがのっている。筆力のレベルが高かった」と評した。
  ★SMAPは、ジャニーズ最後の砦。謝罪すべきはナッツ姫だろう


 SMAPの5人が今回の解散騒動について行った謝罪は、アイドルとしては異様なものだったと違和感を訴える声がネット上で相次いでいる。ジャニーズ事務所が謝罪させた形だが、本当は逆ではないかとの声が多いのだ。

 「反逆」「公開処刑」...。5人の謝罪を受けて、2016年1月19日の夕刊紙各紙は、こんな大見出しを立てて、その模様を報じた。全員、黒づくめのスーツ姿で、残留にこだわった木村拓哉さん(43)以外は、こわばった表情を浮かべていたからだ。

■メリー喜多川副社長が謝罪すべきだ

 リーダーの中居正広さん(43)が右端にされたことについて、「降格」と報じる向きもあった。最も独立に熱心だったともされており、処分に近いのではないかということだ。

 しかし、そもそも騒動の発端は、事務所のメリー喜多川副社長(89)の「パワハラ」まがいの発言にあったとされる。

 週刊文春の15年1月29日号によると、メリー副社長は、自分の娘と事務所内で対立しているとされる女性マネージャーを取材現場に呼びつけ、「対立するならSMAPを連れていっても今日から出て行ってもらう。あなたは辞めなさい」と恫喝した。「だったら、どうぞ自分のところで別に(会社を)作ってください」とも言い切っている。

 報道によると、これでこじれていた関係が悪化し、女性マネージャーはこの年秋ごろからSMAPを連れて独立しようと動いた。木村さん以外の4人も事務所に退社の意思を伝え、それが報道で発覚して騒動になっていった。

 こうしたことが事実だとすると、女性マネージャーや4人は、メリー副社長に言われたように単に移籍しようとしたに過ぎないことになる。

 それだけに、ネット上では、「なぜSMAPが謝らなければならないの?」「事務所が会見すべきでは」「メリー喜多川氏がむしろ謝罪しろ」といった声が相次いでいる。


「芸能人の事務所縛りは、日本に、はびこる巨悪の一つ」

 著名なブロガーからも、SMAPの謝罪放送について疑問視する指摘が出た。

 ITコンサルタントの永江一石さんは、自らのブログで、「今回のことは、だれがなんといおうがジャニーズという会社の中の社内問題に過ぎない」としたうえで、こう言う。

  「社内会議だからまだいいわけで、あれをマスコミ呼んでテレビの前でやったら間違いなく『この会社馬鹿だろ』って言われて炎上です」
  「一般の常識では皆さまにご迷惑、ご心配おかけしましたってテレビの前で謝罪するのは経営者の仕事です。管理責任、経営責任だからです」

 つまり、今回の場合は、謝罪するのは「社員」のような立場のSMAPではなく、経営者のメリー副社長らであるべきだというわけだ。

 芸能プロ事情にも詳しい紀藤正樹弁護士はブログで、タレントの独立を事実上許さない「事務所縛りの問題性」を指摘した。「労働基準法上も、独占禁止法上も、不正競争防止法上も、多くの法的問題をはらんでいる」として、事務所縛りは止めて、「プロデュース料やアイデア料、著作権料などの金銭解決で行うべき」だと言う。

 芸能人の労働組合があるハリウッドでは、すでにそうなっているそうだ。紀藤弁護士は、「芸能人の事務所縛りは、日本に、はびこる巨悪の一つ」だとして、「SMAP問題は、芸能事務所縛りの問題が、世に明らかにされ、その問題性を皆で議論する絶好の『機会』でもありますし、世論の力で、日本の芸能界を、近代化する『機会』でもあります」と提言している。
 自宅のトイレで女児を出産し、へその緒を引きちぎって窓から「捨てた」-。そんな信じられない行為に及んだのは、茨城県鉾田市に住む無職の女(24)。県警に保護責任者遺棄致傷容疑で逮捕、起訴され、8日に水戸地裁(長島銀哉裁判官)で初公判が開かれた。検察側の冒頭陳述などで明らかになった犯行の一部始終は、想像を絶するものだった。

 事件の発覚は昨年11月3日に遡(さかのぼ)る。同日午前7時25分ごろ、鉾田市当間の路上で、生まれて間もない女児が全裸で泣いているのを近隣住民の男性が発見し、110番通報した。駆けつけた救急隊員が同7時47分に体温を測定したところ、何と24度。極度の低体温状態で、公判に提出された医師の調書に「あと少し発見が遅れていれば命の危険があった」と書かれたほどだった。

 女児は搬送先の病院で保育器に入れられ、入浴させるなど懸命な治療を受けて同9時半には体温が32度まで上昇。診察した医師は全治2週間の低体温症と診断した。「全治2週間」とはいえ、低体温状態が続いたことによる後遺症の有無については「1~2年の経過観察が必要」という。

 事件から3日後の11月6日、県警鉾田署は保護責任者遺棄致傷の容疑で、女児が捨てられていた現場近くに住む女を逮捕した。DNA鑑定などから女児の母親と特定した。女は県警の調べに対し「自宅で一人で産んだ。産むことを誰にも相談できなかったので、仕方なかった」などと供述した。

 迎えた今月8日の初公判。検察側の冒頭陳述や被告人質問などで明らかになった犯行の一部始終は以下の通りだ。

 女は高校卒業後、職を転々としており、犯行時は市内のスーパーでパート従業員として勤務。祖母と実母との3人暮らしだった。犯行前、出会い系サイトを使い5人の男性と肉体関係を持っており、昨年の春ごろには生理が来ないことから妊娠に気付いたという。

 しかし、「結婚を前提としない妊娠を家族に怒られると思った」といい、妊娠の事実を家族に打ち明けないどころか、産婦人科を受診することもなかった。女児の父親とみられる男性にも「(妊娠の事実を)言ったら逃げられる」と思い、切り出せなかったという。

 そして、ついにその日が訪れる。11月3日午前6時ごろ、寝室で祖母と母親と川の字になって寝ていた女は、激しい腹痛から出産が間近であることを認識。「とにかく家族に知られたくない」と、トイレで出産することを決意して、1階のトイレにこもった。

 便器内に女児を産み落とすと、へその緒を両手でちぎって、女児を胎盤もろとも下水に流そうと水洗レバーを引いた。しかし、女児の「生きたい」という願いが通じたのか、流れなかった。

 女は女児の左足をつかんで便器から拾い上げ、トイレの高窓から外に落とすと、今度は外に出て、自宅境界にある高さ約1・5メートルの塀の外に投げ捨てた。

 外は小雨が降り、冷え込んでいた。そんな中で女児は約1時間、母親の保護を求めて生まれたままの姿で泣き続けていたのだ。「どうしてよいか分からず、頭が真っ白になっていた」というその女は、泣き声を自宅内で聞きながら放置した。

 被告人質問で女は女児について「私には収入がないので子供を育てられない」「赤ちゃんはかわいそうだと思う」などと発言。まるで人ごとのような態度に、長島裁判官から「育てられないなら、どうしますか?」と問われ、「子供がいない家庭に預ける」と小さな声で答えた。

 長島裁判官は女を「子供にとって血を分けた母親は未来永劫(えいごう)、あなたしかいない。これだけは覚えておいてください」と諭した。

 公判は即日結審となり、検察側は論告で、「女児の生命を極めて危険な状態においた残忍な犯行で、女児が受けた肉体的、精神的な苦痛は大きい」などと指摘。懲役3年の実刑判決を求刑した。

 弁護側は「被告には前科前歴がなく真摯(しんし)に反省している。今後は祖母や親族が監督を約束している」などと主張。起訴状に記載されている「塀越しに路上にほうり投げて遺棄」という文言について、「ほうり投げたのではなく、落としただけだ」と述べた上で、執行猶予付きの判決が相当だと訴えた。

 女への判決は22日に言い渡される。
 野球殿堂博物館は18日、平成28年度の野球殿堂入りを発表。プレーヤー表彰で斎藤雅樹氏、工藤公康氏の2名と、エキスパート表彰で榎本喜八氏の計3名が選出され、特別表彰の松本瀧蔵氏、山中正竹氏の2名を加えた合計5名が殿堂入りを果たした。

 今年のプレーヤー表彰は3名。斎藤雅樹氏は巨人のエースとして活躍した投手で、1989年と1990年には2年連続で20勝を挙げるなど、通算180勝をマーク。89年には未だに破られていない大記録「11試合連続完投勝利」を記録した。

 工藤公康氏は現在の福岡ソフトバンクホークス監督。現役時代は“優勝請負人”の異名でも知られ、西武やダイエー、巨人で優勝に貢献。実働29年で通算224勝を記録した。

 エキスパート表彰で選出された榎本喜八氏(故人)は、1950年代半ばから1970年代にかけて活躍した名選手。通算安打は2314本で、「安打製造機」の元祖としても知られる天才打者であった。

 また、特別表彰として松本瀧蔵氏(故人)と山中正竹氏の2名が選出された。松本氏は日米野球の初開催に携わるなど戦後の野球振興に貢献し、山中氏は東京六大学野球でリーグ最多記録となる通算48勝を挙げ、バルセロナオリンピックでは日本代表の監督として銅メダル獲得に貢献するなどの功績を残した。


◆ 野球殿堂とは…
日本の野球の発展に大きな貢献した人物の功績を永久に讃え、顕彰することを目的に、1959年に創設。

<プレーヤー表彰>
対象:現役を引退したプロ野球選手で、引退後5年以上経過した人。期間は15年間。
選出:15年以上、野球報道に携わった経験を持つ委員約300人の投票により決定。全体の75%以上得票すれば殿堂入り。

<エキスパート表彰>
対象:現役を引退したプロ野球のコーチ、監督で、引退後6ヶ月以上経過している人。または、現役を引退したプロ野球選手で、引退後21年以上経過した人。
選出:殿堂入りしている約30名と、競技者表彰委員会の幹事、野球報道年数30年以上の経験を持つ委員約70名の投票により決定。全体の75%以上得票すれば殿堂入り。
 ニンテンドーDS用「マジコン」の販売をめぐり、任天堂らソフトメーカー49社が販売業者を提訴していた件で、最高裁判所が上告人(被告・控訴人)であるマジコン販売業者の上告を棄却する決定が下されました。これにより、ソフトメーカー側の勝訴が確定したことになります。


 通常、ニンテンドーDSなどのゲーム機では、コピーソフトが動かないようにするためのプロテクトをかけています。しかし、「マジコン」を使うことでプロテクトを回避することができてしまい、「違法ダウンロードや不正コピーの温床になっている」として問題視されていました。

 そこで、任天堂らソフトメーカー49社は「マジコン」の輸入販売業者を提訴。この裁判では、2013年に東京地方裁判所が「マジコンの輸入販売差止」と「損害賠償の支払い」を販売業者に命じる第一審判決を下し、ソフトメーカーの勝訴となりました。

 その後、マジコンの販売業者は高等裁判所に控訴をしましたが、2014年に棄却されソフトメーカーが勝訴。さらに販売業者は最高裁判所に上告しましたが、2016年1月12日にまたしても棄却。ソフトメーカーの勝訴が確定しました。販売業者の損害賠償の支払い額は、総額9562万5000円となります。
 14人が死亡した長野県軽井沢町のスキーツアーバス転落事故で、犠牲になった乗客12人の座席が車内の広い範囲に及ぶことが捜査関係者への取材で分かった。バスは横転した際、右側面を中心に大破したが、死者のうち7人は通路を挟んで左側の座席だったとみられ、立ち木への衝突などによる強い衝撃で飛ばされ致命傷を負った可能性が高い。県警軽井沢署捜査本部は、生存者の証言から全乗客の座席の特定を急いでいる。


 ◇衝撃の激しさ裏付け

 捜査関係者によると、客席は通路の両側に2席ずつ並び、最後列は5席。犠牲になった乗客のうち5人が右側に、7人が左側に座っていたとみられる。また、前方から後方にかけた広範囲で犠牲者が出ていた。

 立ち木が食い込んでくの字に曲がった屋根付近では、横一列の4席中3人が死亡したケースがあった。

 乗務していた運転手2人のうち、事故当時は休息していた勝原恵造運転手(57)=東京都青梅市=は、運転席のすぐ後ろの座席に座っていたとみられ、死亡した運転手2人を加えると、犠牲者は左右ともに7人となる。

 生存者の証言では、シートベルトを着用していた乗客は少なかったとみられる。

 捜査本部は、就寝時間帯に強い衝撃に襲われ、防御姿勢をとれないまま致命傷を負った人が多いとみている。

 最後部の右から2番目の席に座っていた20代の男子大学生は、1人おいて左隣に座っていた友人を亡くした。「わずかな違いで自分も死んでいたかもしれない」と話した。

 ある捜査関係者は「車内に満遍なく死者が分布していることは、衝撃の激しさを裏付けている」と分析している。