『1Q84』とマーケティング | ARTエンタ事業戦略Pブログ"Mille Plateaux"

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ミル=「1000」、プラトー=「高原」です。肉体的なトレーニングや創作活動を続ける過程で、一時的に成長曲線が平になる現象を「高原状態」といいます。このブログでは、PR通信社社長の事業戦略プロデューサーが仕事の合間でふと気になったことやアイディアをメモします。

今日は神谷町で2つ、浜松町で1つ、
合計3つの打ち合わせがありました。

最後の打合せが終わった後、
遠回りして小雨の路地裏を歩きました。
文化放送界隈をグルグルぐるぐる。

地下鉄に揺られながら駅を乗り過ごし
さらに電車を乗り間違え
ようやく家に辿り付いてからも、
最近読み終えたばかりの小説と
あるメーカーの
社会実験PRプロジェクトが頭の中で錯綜しています。

コーヒーを一杯飲んでから
村上春樹の『1Q84』と
イベントとパブリシティを中心とした
コミュニケーション戦略について考えました。




小説についてはネタばれしない程度に
尚且つ都合のいいようにバイアスをかけます。




『1Q84』は昨年5月にブック1とブック2が発売されて以来
空前のベストセラーとなっています。


その続編となるブック3が今月の16日に発売されると
2週間足らずで100万部を突破。
3巻合わせて336万部の売上げ記録を叩き出しました。


ブック1とブック2では、
物語は現実の世界として描かれる「1984」年と
2つの月が夜空に浮かぶ不思議な世界「1Q84」年が交錯します。
そして、スポーツインストラクターの連続殺人者の女性「青豆」と
作家志望の予備校数学講師の男性「天吾」の2人の主人公の生活が
交互に展開します。

それぞれに強烈な疎外感を味わった
子供時代の記憶の断片を抱えながら、
2人はある事件を引き起こすキーパーソンとして、
抜き差しならぬ状況に追い込まれていきます。
しかし、2人の日常生活は繋がりません。



このプロットを
マーケッターの方の立場になって俯瞰して
次のように置き換えてみました。


「1984」年を商品の開発現場
「1Q84」年を新たな市場
「青豆」をイベント
「天吾」をパブリシティ


商品開発のリアルな現場と
新たな市場が産まれる不思議な世界を
俯瞰するマーケッター。


一見なんの繋がりもなさそうなモノを並べたり繋げたりして
新しいコミュニケーション戦略を考えるマーケッター。

コミュニケーション戦略の触媒が
イベントとパブリシティ。

商品の開発現場と新たな市場に舞い降りて
イベントとパブリシティを仕込み
急いで空に舞い戻り
「大切な何か」を世に送り出す。

それがマーケッターであり
クライアント様をサポートする私。

「大切な何か」とは「新しい価値」。
たぶん奪い合うのではなく
与え合うことで産み出される「新しい価値」。

「新しい価値」は
新たな市場に産み出された瞬間に
既存市場の住人となり
次の開発を求める。





『1Q84』ブック3。


ブック3では、
弁護士崩れの探偵によって
2人の追跡が始まります。
そして、2人の赤い糸が手繰り寄せられていきます。


ところが、今回もまた物語は多くの謎を残して
消化不良のままに読者は置き去りにされます。

村上春樹はさらにその先のプロットを
準備しているのでしょうか?

もしそうなら、続編が発売される頃には
日本経済に新たな市場が産み出されるでしょう。

もし準備していないのなら
読者自らがその先を目指して
プロットを思い描くしかありません。