プロローグ 宇宙の果て
地球のはるか遠く、そのまた遠くにある星があった。その中にある一つ、『かえるの国』はどこの国よりも大きく発展していた。
なぜそんなに発展したのか―その秘密はかえるの国の王宮にある秘密の書、『かえるのトップシークレット』という本にあると言われている。その本は千万もするといわれている。その本は、厳重に保管され、王様しか場所は知らないと言われていた。しかし、場所がある国民にばれてしまった。その国民―ミルは、とある小さな町に住んでいた。
1 ミルの事情
「はぁ、もうイヤだな。はやくお金持ちなところと結婚して、豪華な暮らしができればいいのに。」
ミルは貧乏な家に生まれてきた子だった。しかし、ミルの実家ももう貯金が底をついてしまう。
「お母さん、どうしよう。もうすぐでこのうち終わっちゃうよ。」
「そんなこと言ってないで、早く手伝いをしなさい!ミル、あなたも少しぐらい働いたら?」
「イヤだ。ぼくが働いたって全然変わんないよ。」
「『このうち終わっちゃうよ。』って言ったのは誰だったっけ?」
「・・・。」
ミルとその母シルは言い争っていた。ミルが働くか働かないかで―。
ミルは働く気なんてなかった。
ミルは町を歩いていると、噂を聞いた。
「ねぇねぇ。知ってる?『かえるの国トップシークレット』っていう本。聞いた話によると、千万円もするんだって。」
(えっ、千万円!?もしその本を売ったら・・・)
ミルは心を決めた。あの本を盗んで売るってことを。
2 作戦決行の日
そして、いよいよミルが本を盗むのだ。厳重に保管されていると言われているあの本を。
ミルは「兵士に雇ってほしい」と言って、お城の中に入り、王様の家来になる。そして、王様のお出かけ時間に本を盗んでお出かけをするフリをするのだ。
「よーし。」
ミルの心臓は揺れ動く。
「すいません・・・ちょっといいですか?」
「何だ?用が無いならさっさと帰れ。ここは王様の王宮だぞ。あるのか?じゃあ、早く申せ。」
「ぼくを、ここの家来にしてほしいんです。ぼく、力も強いし、王様を守るのにはぴったりだと思って・・・。」
「なら、王様に許可をとってやるぜ。」
(ここまで作戦どおりだ。これからが勝負だ。)
「聞いたぜ。お前の様子をみて家来にするらしいぜ。」
「ありがとうございます!」
ミルは見たことも無い王宮の様子を見た。―そこには、シャンデリア、沢山の人が着てるドレス、そして、王様の玉座―
王様はミルに話しかけた。
「そこの君。早くしなさい。私の家来になりたいんだろう?」
王様は、さっきの兵士よりも口が優しく、とてもミルのことを気遣っているように思えた。
「君、見た感じ、貧乏人に見えるから、早くタキシードに着替えなさい。」
「はいっ!」
そして、素敵なドレスを着たお嬢様らしき人が
「こっちへおいでくださいませ。」
と、ミルをクローゼット部屋に連れて行ってくれた。
ミルは体じゅうが固まった。そこには、綺麗なドレス―かっこいいタキシード―王妃のティアラ―王様の王冠などがいっぱい入っている。
「どれになさいますか?」
ミルは喋りたくても喋れなかった。
(これって・・・僕が着ていいのかな・・・)
「あ、あの・・・これって、ぼくのじゃないですけど・・・」
「大丈夫ですよ。ここのドレスなどはみんな共用なんで。」
3 考えていなかった
「君の名前は、なんというんだ?」
「ミルです。」
「ミルだな。ではミル、今日から君に働いてもらって、様子を見るぞ。」
☆
ミルは、レストランの料理人の仕事をすることになった。
(今日上手くいったら本を盗めるぞ。ん?本・・・本ってどこにあるの?)
ミルは本の場所のことを考えていなかった。
「おい!ミル!ステーキを焼け!」
「はいっ!」
(お金のことしか考えてなかった・・・本の場所が分からなかったら盗めない・・・)
ミルは王宮に入ったことを後悔した。
(でも、お金は稼げるかな・・・)
「おい!ミル!焦げてるぞ!!」
「えっ?あ!す、すいません・・・」
「このステーキはお前のだ。自分でやったんだからな。」
☆
「ミル。君は今日は仕事上手くいったかい?」
「い、いいえ・・・ステーキを焦がしてしまいました・・・」
「正直でよろしい。では君の仕事を変えよう。ミル。明日から図書室の警備をやっておくれ。」
「はいっ!」
☆
(図書室の警備かぁ・・・もしかしてそこにあるのかな。『かえるの国トップシークレット』って。)
ミルの心は踊りだしました。
「よーし。明日作戦決行だ。もう寝ようかな。」
4 図書室の本棚
そしてミルは昨日のお嬢様に連れられ、図書室に来ました。
「ここが図書室ですか?」
「はい。ここには王宮全ての本が集まっています。」
(え?全ての本・・・ってことは、あの本も・・・)
「頑張ってくださいね。」
ミルはドアを開けて中を覗いた。
(わぁ。沢山ある。1000万冊ぐらいかな・・・1000万冊の中の一つを探すのって、大変かも。)
ミルはばれないように図書室に忍び込んだ。
(どこだ・・・どこだ・・・)
ミルは一生懸命探した。ミルは地下室に入ってみた。すると・・・
『かえるの国トップシークレット』はすぐに見つかった。
ミルは本を持って部屋に入った。そして、自分のリュックに入れて、こっそり王宮を出て行った。
(やった!成功だ!)
ミルはスキップしながら家への道を進んだ。しかし、すぐにばれてしまった。
「国王陛下!!ミルがいません!!」
「何だと!?」
「しかも、地下室が開いています!!」
「ミル・・・まさかあの本を奪ったのか・・・」
王様は本のある場所を調べた。やっぱり本は無かった。
「早くミルを探さないと!!」
そして、ミルはスキップをしていたから、気づかなかった。兵士に肩をつかまれた。
「ミル、あのトップシークレットの本を盗んだろ。」
「ご、ごめんなさい!!返します。返します。」
「ならいいのだ。これからも君に働いてもらいたい。」
「え・・・?」
「給料も上げてやる。そのかわりがんばれ。」
「ありがとうございます!!」
5 新しい仕事
「ミル、君には王子育成係になってほしい。私に子どもが生まれたら、王子になるための特訓をさせる係りさ。」
「はい!」
「そのために、『王子育成術』という本を貸してやる。しっかりと読んで生まれたときに備えてくれ。」
「ありがとうございます。しっかり勉強します。」
「頑張れ。」
☆
『王子には二つの要素が必要である。わが国の発展と自然のバランスを保つ事と、国民を第一に考える事である。そのために王子候補には発展と自然のバランスの保ち方を学ばせることと、国民の思いやりの心を持たせる。』
「結構難しい本だな・・・」
ミルは何回も音読して覚えた。未来の王子様のために・・・