平成二十八年弥生 |  鉄屑詩集 -Junk Poems-

 鉄屑詩集 -Junk Poems-

   俳句とは、人間の真のブルーソングである。(by ジャック・ケルアック)

歩み出す一歩に鶯
眠る児にお雛様微笑んでいる
春の陽の眩い寒さ
祖父と同じ煙草に春の陽
花咲く気狂いじみた春の陽気だ
子らの蹴る菜の花の香る
音のない青空を飛行機
子の手からヘロヘロの土筆
子のポッケに大切な石ころ
静かな人眠っている
蚊を打てば松の芽の膨らみ
重い柔道着に春風
夜が冷える幼子の咳
寒の戻りの菜の花の黄色
蜜蜂青空にのぼる
工事の音のどこか長閑に春
春雨にメダカ驚く
滲む月見て一服
荒ぶる風の暖かい
うたた寝の妻に花束をおくる
春の倉庫に蝶が来た
蝶追いかけて桜の道