司法書士のヤマゾエです。

 

過去一度だけ公に利用された指揮権発動ですが、

その一度の事例ゆえに内閣の身内を守るために利用されるものという意味で一般に使われます。ニコニコ

 

その「逆」に指揮権を利用するという意味で「逆指揮権発動」という言葉があります。

すなわち、身内を締め出すという意味です。ガーン

 

 

「指揮権発動」「逆指揮権発動」

民主主義の根幹を揺るがすのはどちらかはてなマークはてなマーク

 

もちろん両方とも根幹を揺るがすのですが、、

個人的には「逆指揮権発動」のほうが恐ろしいのではと思います。

 

 

金脈問題で総理を退任した田中角栄が、アメリカのロッキード社から巨額の賄賂を受け取ったとされ逮捕された事件(ロッキード事件)があります。
 

このとき、総理大臣であった三木武夫は、事件の徹底究明を宣言します。

 

そして、法務大臣の稲葉修を通して、捜査を徹底すべく『逆指揮権』を発動したと言われます。

 

田中角栄が総理だった時代の金脈問題の影響で、政治不信が蔓延していたため世論は三木首相の方針を歓迎します。

 

これに反し、政権与党である自民党内では、議員が戦々恐々。

 

自民党内で、三木首相を辞めさせるべく、「三木おろし」が巻き起こりますが、「クリーン三木」を旗印に世論を味方につけ三木首相は対抗します。

 

結果として、1976年(昭和51年)7月27日、田中角栄は逮捕されます。

 

 

三木首相は、指揮権発動につき指示を否定していますので、真相は謎ですが、世論やマスコミが加熱し、検察は引くに引けず結果ありきの捜査を行って逮捕したという見方があるのは事実です。

 

また、三木首相が推し進めた、米国政府への捜査協力要請は、内政干渉を許す可能性のある危険なものであったし、やりすぎとの批判も免れないものでしょう。汗

 

田中角栄は、闇将軍として、後の時代まで派閥を動かし権力を掌握しますが、この逮捕をきっかけに政治の表舞台で活躍できなくなりました。

 

指揮権の利用がタブーであるという認識が日本にあることは、造船疑獄事件等の過去の教訓から積み重ねられたものです。

 

一方、隣国の韓国のように政権が変わるたびに逆指揮権の利用が恒常化している状態の国もあります。ショボーン

 

検察が悪事を是正する、これは非常に大事なことですが、これが政治的な意味を帯びてしまい、政敵を抹殺するために利用されること、これこそが民主主義の根幹を揺るがすのではないかと思うのです。クローバー

 

 

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(田中角栄と三木武夫)

 

 

 

ちなみに、田中角栄が逮捕された1976年(昭和51年)7月27日は、国会が閉会中でしたので、憲法50条の不逮捕特権の適用がなく逮捕されてしまいました。ひらめき電球

 

また、憲法75条の訴追を受けない権利は、元総理大臣とはいえ、田中角栄は現職の国務大臣ではなかったため、適用がありませんでした。

 

※「大臣の特権!」http://ameblo.jp/yamazoe-takeshi/entry-12182257630.html参照