自閉症社員自殺で和解 会社慰謝料、従業員教育も /東京高裁


 宅配便大手「ヤマト運輸」の関連会社「ヤマトロジスティクス」で働いていた自閉症の長男=当時(46)=が自殺したのは、会社での厳しい指導が原因として、母親が六千五百万円の損害賠償を求めた訴訟は三日、東京高裁で和解が成立した。

 

 和解条項には、ヤマトロジスティクス側が慰謝料五百万円を支払うことに加え、障害に関する社員教育を実施することや、障害の程度に応じた職場環境づくりに取り組むことが盛り込まれた。男性は同社で宅配物の仕分け作業などの業務に就いていたが、二〇〇五年三月、自宅で自殺。〇八年九月の一審東京地裁は「会社側が自殺を予見することは困難だった」として、母親の請求を棄却した。

 

 母親の長谷川美智子さん(76)は「このまま引き下がっては息子が浮かばれないと思い控訴した。和解で肩の荷が下りた思いだが、これからも障害者が社会に出て行けるよう取り組んでいきたい」と話していた。


< 東京新聞 2009/09/04 >



従業員自殺巡る賠償請求で和解 ヤマト運輸系が見舞金


 ヤマト運輸の関連会社(東京)に勤めていた知的障害を伴う自閉症の男性(当時46)が自殺したのは、上司の厳しい言葉など職場の配慮不足が原因として、母親がこの会社に6500万円の損害賠償を求めた訴訟は3日、東京高裁(大橋寛明裁判長)で和解が成立した。

 

 和解条項には、会社側が見舞金として500万円を支払うほか、障害者を支援する人材を職場に配置したり、障害に関する社員教育を実施したりすることが盛り込まれた。和解後に記者会見した母親は「和解ができて肩の荷が下りた。今後の障害者の職場のあり方につなげてほしい」と話していた。

 

 一審・東京地裁判決は「自殺することは予見できなかった」として、母親の請求を棄却したため、母親側が控訴。一審判決によると、男性は2002年に入社し、埼玉県内の倉庫で勤務していたが、05年に自宅で自殺した。


< 日本経済新聞 2009/09/03 >



障害者の自殺で遺族と会社が和解 ヤマト運輸関連会社


 知的障害を伴う自閉症の男性=当時(46)=が自殺したのは、勤務先だったヤマト運輸(東京)の関連会社が配慮を怠ったためとして、埼玉県越谷市に住む母親が、この会社に6500万円の損害賠償を求めた訴訟は3日、関連会社側が500万円の見舞金を支払うことなどを条件に東京高裁(大橋寛明裁判長)で和解が成立した。

 

 和解条項には、会社側が障害についての知識や配慮事項を周知する社員教育を行うことや、障害のある社員の家族との連絡を積極的に行うことなども盛り込まれた。

 

 原告側代理人によると、請求を棄却した昨年9月の一審東京地裁判決について、高裁が見直す方向で審理を進め、和解を打診していたという。

 

 原告側は「実質的勝訴といえる和解内容だ」と評価。母親は「やっと肩の荷が下りた。譲歩していただいたヤマト側にも感謝したい」と話した。

 

 一審判決によると、男性は02年に入社。時給減額や勤務時間の変更があった後、05年3月に埼玉県内の自宅で自殺した。会社側は自閉症と告げられていなかった。


< 共同通信 2009/09/03 >


ヤマトロジスティクスホームページ