阿久根市役所各課の職員給与総額を記した張り紙をはがし、懲戒免職になった40代の元職員男性が、処分は竹原信一市長の裁量権の逸脱で違法だとして、市に処分取消しを求める訴えを26日、鹿児島地裁に起こした。処分の効力停止も申し立てたほか、市公平委員会への審査請求も行った。
 

 竹原市長は「首長の命令を否定してクビにならないとすれば、民主主義の破たんだ。とことんやるしかない」と全面的に争う姿勢を示し、男性を器物損壊の疑いで刑事告訴する意向を明らかにした。
 

 男性側は、処分は市の懲戒基準から明らかに外れており、公平性に欠けると主張。提訴後の記者会見で男性は「軽率な行為だったと反省しているが、懲戒免職には値しない。家族の精神的苦痛も大きい」と訴えた。
 

 張り紙の是非については訴状で「職員を税金泥棒のような存在として来庁者に告げるようなもの」と指摘。「職場環境への影響を考え、はがした」と話した。同席した増田秀雄弁護士は「こんな張り紙は世界のどの職場でもあり得ない。パワーハラスメントの象徴だ」と批判した。
 

 訴状によると、職員給与の削減を掲げる竹原市長は4月16日、各課の2007年度人件費総額と人数を記した張り紙を窓口に計16枚掲示した。翌日、市議会の2度目の不信任議決で失職。男性は18日、すべてはがして総務課長の机に置き、市長再選後に名乗り出た。
 

 市賞罰審査委員会は6月、男性の処分を「文書戒告が望ましい」としたが、竹原市長は7月31日、懲戒免職にした。


公務員の不祥事 ( 関東地方etc )、パワハラ、セクハラ、アカハラ etc-阿久根 張り紙外し
提訴後、会見する増田秀雄弁護士(左)と

自治労県本部の高橋誠書記次長=26日、鹿児島県庁


<南日本新聞>