都出資の新銀行東京の経営悪化問題で、同行設立を主導した石原慎太郎知事や旧経営陣らが、都に巨額の損害を被らせたとして、都内の大学非常勤講師ら三人が三十日、知事らに計千二百五十五億円を賠償させるよう、住民監査請求書を都監査委員に提出した。

 

 都庁で記者会見した請求人の須田春海さんらは、石原知事の責任について▽新銀行の仁司泰正・初代代表執行役を任命した▽知事自ら署名して発表した事業計画「新銀行マスタープラン」に則り、無担保・無保証融資を早急に進めさせた-などと指摘した。

 

 旧経営陣らについても「知事の意向に従い、経営を悪化させた」と言及。こうした経緯が民法上の共同不法行為に当たるとして、石原知事らは連帯して都に対する損害賠償責任を負うと指摘した。

 

 賠償額は、都が当初出資した一千億円のうち、累積赤字の穴埋めに取り崩された八百五十五億円と、都が追加出資した四百億円の合計。須田さんらは「監査請求が認められなければ、住民訴訟を起こす」と話している。


<東京新聞>