行方署員が警察共済組合に偽造書類を提出して千百二十万円の融資を受けた事件で、行方署は二十七日、詐欺と有印私文書偽造・行使の疑いで水戸市小吹町、巡査長小川貴之容疑者(38)を送検した。「信頼関係」(県警厚生課)で成り立ち、書類の体裁を整えれば貸し付けを受けられる共済組合の制度が悪用された形だ。

 

 県警によると、小川容疑者は土地購入の名目で二〇〇七年六月ごろに借りた千百二十万円を「借金返済やパチスロなどに使った」と供述している。消費者金融に借金があったという。

 

 小川容疑者は貸し付けを受けるため、土地売買契約書の売り手に実在する人の名前を勝手に記入し、架空の取引をでっち上げた。その上で押印や印紙を張るなどして体裁を整え、審査を担当する署長に提出していた。

 

 署長や組合県支部は提出書類が形式上、整っているかチェックしているが、実際に土地の売買取引があるかなど踏み込んだ審査はしていないという。その理由として、厚生課は「共済組合は(組合員同士の)信頼関係、互助の精神が前提」としている。

 

 小川容疑者は逮捕容疑となった千百二十万円に加え、バイクや土地を購入する名目で二〇〇三年以降に計九百五十万円の貸付けを受けている。県警は九百五十万円の貸付金も他目的に流用されてないか調べている。


<東京新聞>