イタリアの復活祭・・・宗教行事への理解(小説聖書) | フィレンツェで美味しい生活

イタリアの復活祭・・・宗教行事への理解(小説聖書)

山猫文庫を立ち上げて1度目村上春樹さんをご紹介してから、ちょっと時間が空いてしまいました。できるだけ日本の皆さんにイタリア人作家の小説をご紹介したくて、書こう書こうと思いつつ、ドンドンと時が経ってしまい・・・汗・・・


そこで今回はもう直ぐ迎える西洋最大の宗教行事の一つ、『復活祭』(英語だとイースターですが、イタリアではパスクア(LA PASQUA)と言います。)に引っ掛けて、山猫のお気に入りの本を紹介させて頂きながら、イタリアの復活祭の過ごし方について綴ってみたいと思います。


キリスト教徒でいらっしゃらない方もご存知の方多いのではないかと思いますが、一応復活祭について簡単にご説明しますね。


一言で申し上げますと、復活祭はイエス・キリストが十字架の磔刑によって天に召された3日後に、蘇ったことをお祝いする日です。この日は移動祝日でして、春分の日の後、最初の満月を迎える日の次の日曜日と定められています


今年は4月4日の日曜日がLA PASQUA(復活祭)に当たり、その前の1週間はキリスト教徒にとって大切な聖週間になります。


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キリストは復活祭の一週間前の日曜日、道すがら奇跡を起こしつつ、喜びに棕櫚(シュロ)の葉を振る群衆に讃えられながらエルサレムへ入城します。


パスクアの1週間前の日曜日が、DOMENICA DELLE PALME(椰子の日曜日)と呼ばれるのはこのためです。


イタリアではこの日曜日(今年は3月28日の日曜日)各地の教会で、神の祝福を受けた神聖なオリーブの枝が、キリスト受難の印として信者に配られます





山猫の家では、義父にあたるロンちゃんのお父さんが教会へ行く習慣があるので、少し前までは必ずこの神聖なオリーブの枝を、お父さんに私たちの分まで貰って頂いていました。


しかし2年前に引越しをしてから実家が少し遠くなったので、ドメニカ・デッレ・パルメに当たる日曜日に、自分たちでサント・スピリト教会にオリーブの枝を頂きに行くようになりました。(クリスマスとパスクアだけの一日信者も結構大変で~・・・汗・・・)


この週はいつもの教会の定例行事と異なり、日曜からパスクワ前日の土曜日まで、特別なミサなどの宗教行事が各地で行われます。



例えばGIOVEDI SANTOと呼ばれる木曜日には、その後一年間に渡って洗礼などの宗教儀式で使用されるオイルを、聖なるものにする聖香油の儀式が行われます。この日はキリストが最後の晩餐で弟子の足を一人づつ洗って清めたことから、LAVANDA DI PIEDI (洗足式)として聖書の中に記されています。


翌日の金曜日、受難の日にキリストはユダの裏切りによって捕らえられて十字架にかけられ、その命を天に召されてしまうのですが、3日後の日曜日に蘇ります。これが復活祭となるわけです。


カソリック・キリスト教の総本山がローマのバチカンにあるイタリアでは、日常のカレンダーは宗教行事を中心に回っているので、山猫は敬虔な信者には程遠いのですが、キリスト教についての基礎知識を少しは知っておくと、イタリアの生活に馴染みやすくなるような気がします。


たとえば美術館ひとつ回るにしても、イタリア国内に所有されている美術品は、かなり古い壁画や絵画、彫像などが殆どです。歴史的にもキリスト教と二人三脚で歩んできたこの国では、それらの美術品の多くは宗教を題材にした宗教画や、宗教上の人物をモデルとした石像、木像が多くの割合を占めていて、教会内部の美術館や壁画はその典型的な例ですね。


宗教色豊かな絵画を観賞するのも、ある程度キリスト教の知識があったり聖書の中の流れを知っておくと、個々の時代で変わっていく美術の技法や様式を覚えるよりもずっと、作品への興味や理解を深めるのに役に立ちますし、この国の根底を流れる大河であり、現在の生活にまで大きく関わってきているキリスト教という宗教に少しでも触れることは、イタリアという国を理解する上でどうしても避けて通ることのできない関所のような気がします。


でもいきなりキリスト教を身近に・・・と言ってもなかなか難しいですね。聖書は世紀のベストセラーで、人類始まって以来で一番読まれている書物ですが、キリスト教徒でない方が、いきなりあの本を読むのはかなり辛いのではと思い・・・・・



フィレンツェで美味しい生活 前置きがやけに長くなってしまいましたが・・・今回山猫文庫でご紹介する本は、ウォルター・ワンゲリン(WALTER WANGERIN)の『小説「聖書」』・・・・・


ウォルター・ワンゲリンは、さまざまな子供向けの本や短編小説、神学の本を執筆しているアメリカの神学者であり作家で、この『小説「聖書」』では、聖書をかなり噛み砕いて要約し、判りやすく口語体で物語調に綴ってあるので、聖書を全く読まれたことのない方でもすんなりと入っていける本だと思います。


この本は上下2冊の単行本で、2段組で書かれていて全巻で700ページに渡るボリュームのある本なのですが、読み出すと物語りに引き込まれ、あれよあれよという間に読んでしまいました。



山猫が読んだのは発売当初の10年以上昔の話で、実は今だと全部の内容はおぼろげにしか覚えていないのですが、復活祭が近づくと必ずこの本を本棚から下して、キリストが磔刑に処せられる1週間ぐらい前のところから読み返してみるんです。そこにはキリストがどうやってエルサレムに到着し、磔刑に処せられて蘇ったかがとても判りやすく綴られています



さて、今度はイタリアではどのように復活祭をお祝いするのか、少しご紹介させて頂きます。



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まずかなりメジャーになってきた、卵型チョコレート・・・これは復活祭になる1ヶ月ぐらい前から、町中のパスティッチェリアやバール、小売店、スーパーなどで売り出される、とってもイタリアンなイメージのチョコレートです。


春は生物界の全てのものが芽を出したり、生まれ育つ時期です。この生命のシンボル的な存在をキリストの復活とともに、卵は担ってきたわけですが、卵をこのように復活祭のシンボルとしてきた歴史はかなり昔に遡ります。


キリスト教においては卵をキリストの蘇生、卵の殻はお墓を表し、その殻を割って出てくるキリストを象徴しています。




古代ローマにおいても復活祭のお祝いには、卵に色を付けたり金箔を施したりして、贈り物にしていたようですし、中世ではこの時期召使に卵を与える習慣があったようです。


復活祭の時期にゆで卵に色付けする習慣は、従ってイタリアの大きな卵型チョコレートよりもずっと昔からあるものなのですが、現在はこちらの習慣の方が薄れ、チョコレート型の卵がチョコレート会社の進出によって全面に押し出されてきた形になりました。




フィレンツェで美味しい生活 イタリアでは土地ごとに、それぞれ異なる郷土の復活祭のお菓子があるのですが、イタリア全土でどこでも売り出される復活祭のお菓子に『コロンバ』があります。


これはコロンバ(白い鳩)を模ったふわふわの大きなお菓子で、白い鳩は平和の象徴です。


伝説上ではロンバルド時代(569~776)ぐらいまで遡る、とても古いお菓子なのですが、ミラノのお菓子会社MOTTAが1930年代にクリスマスのお菓子、パネットーネを作るのと同じ機械、同じレシピでパスクアのお菓子を考案し、その後イタリア全土にこのお菓子を食べる風習が広まり、現在に至っています。




復活祭の日曜日が来る前にこの卵チョコとコロンバを購入して、復活祭の日はクリスマスと同じく家族単位でお祝いをします。食事内容は家庭や地方地方である程度幅があると思いますが、やはり子羊のお肉のローストがセコンドピアットとして一般的ですね。



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ロンちゃんのお家でお祝いする時は、アンティパストとしてゆで卵が登場してきます。


丸のままのゆで卵・・・・これは復活祭の前日にお家で茹でたものを、復活祭の朝に自分の家にある教区の教会に持っていって、教会の司祭の方に祝福して貰います。


テレビではバチカンのミサの様子が報道され、復活祭の前後はキリストの磔刑の物語を映画化したものが、かなり放映されます。


古いイタリア映画も沢山ありますが、メル・ギブソンの『パッション』などが結構記憶に残っています。









フィレンツェで美味しい生活 フィレンツェではその歴史を1099年にまで遡る『LO SCOPPIO DI CARRO』という古い伝統行事があります。


パスクアの朝、ポルタ・プラートからドォーモまでの間を、沢山の花々で綺麗に飾られた2頭の白いキアニーノ牛に引かれて、巨大な山車がフィレンツェの旧市街を練り歩きます。


終着地点ドォーモ広場で下された山車には、ドォーモ内部の祭壇との間にワイヤー線が張られ、オリーブの枝をくわえ、導火線を点火された作り物の鳩(コロンバ)がワイヤー線上を山車に向かって滑走します・・・・すると・・・・


山車に仕掛けられた沢山の爆竹花火が順繰りにものすごい勢いで弾けて、最後には山車の一番上に取り付けられた3本の旗が開く仕掛けとなっているのですが、必ずしも全部上手に開くとは限らず、この開き具合で今年一年のフィレンツェの吉凶(当時は豊作だったのでしょう)を占うわけです。


今年はどんな催しになるか今から楽しみなわけですが、上手く当日写真などが撮れたら、後日アップしますね。




復活祭の次の日はパスクエッタと言って、祭日になっているので、土曜日から続くこの3連休を利用して、多くのイタリア人たちが家族や友達と春の小旅行に出かけます。


また、このパスクエッタの日は連休を利用せずに町に留まった人達も、LA GITA FUORI PORTAといって、天気の良い町の外の田舎にピクニックをするという慣わしが定着しています。



本日はイタリアのパスクア(復活祭)について、山猫のお勧め文庫『小説聖書』のご紹介を兼ねながら、綴ってみました。最後までご覧下さって本当にありがとうございます。


西洋文化の原点であるキリスト教や、イタリアという国をもう少し深く突っ込んでお知りになりたい方は、是非お時間の許す時に『小説聖書』目を通されますと、イタリア文化やアート、宗教行事などがよりクリアになるように思います。


次回は復活祭を直前に控えたフィレンツェの町の風景を、いつものように山猫ウォークでご案内させて頂きたいと思っています。もし宜しければ、どうぞ覗いてみて下さい。


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