個人間の貸し借りの契約書 | 弁護士山中靖広のブログ

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友人や親族にお金を貸す場合、どのような契約書をつくればよいでしょうか。


個人間でお金を貸し借りする際の契約書については特に決まりはありません。

そもそも貸し借り自体は口頭でも成立します(保証契約は書面が必要です)。

それゆえ、貸し借りの場合に必要な書面について、特に決まりがあるわけではありません(貸金業者などが業として、つまり、商売として貸す場合は別です)。


純粋な個人の貸し借り、たとえば友人に貸した、親戚に貸した、というような場合は、口頭でも金銭消費貸借契約、つまり貸し借りの契約は成立するし、法律上は口頭の契約しかなくても返してもらえます。


しかし、実際に返してくれなかったときに裁判などをやって取戻すとなると話は別です。口頭の契約でも銀行の振り込みなどでお金の動きが明らかなら、あるいは勝てるかもしれませんが、その場合でも返還の約束が立証できずに、贈与、つまりあげたものだと認定されてしまうかもしれません。


ましてや、手渡しだとお金が動いたこと自体が証拠がないとして、認めてもらえない可能性もあります。


そう考えると、契約書はしっかり作っておくのが望ましいし、契約書はつくったけどまだお金は渡されていなかったというような言い逃れをされないためには銀行振り込みなど、はっきり記録が残る形での貸与が望ましいかもしれません。


また、契約書も、本人の署名と印鑑を押してもらって、できれば、印鑑は実印で、印鑑証明をもらっておくのが望ましいでしょう。


さらに、金額や、返済の条件についてははっきり定めておく方が良いと思います。もちろん、期限に関しては返済について期限を定めていなければいつでも返済を要求できるのが民法の原則ですが、相手方から、口頭合意で返済は1年後でいいと言われた、などの抗弁が出された時、契約書にはっきりと返済期限も書いてあったほうが抗弁を退けられる可能性が高いからです。


本当にいつでも返してほしいなら、請求されたらいつでも返すという文言を入れておけばいいし、半年後でいいなら明確にそう書いておく方が望ましいと思います。


いずれにせよ、契約書の内容は一義的に明確に定まるものにして、誰と誰の契約であるかも明確にする必要があります。しっかりした契約書であれば、返してもらえなかったときに訴訟を行なうなどして権利の実現を図れる可能性が高まります。


もっとも、相手方に資力がないとたとえ裁判で勝っても回収できないので、安易に貸さないことも重要だと思いますが。



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