『浦島太郎の日本史』

三舟隆之     吉川弘文館    2009/11

 

 

 

 

<『日本書紀』の浦島説話>

<「浦島太郎」の原型>

・われわれが知っている浦島太郎の物語は、室町時代に流行した庶民文芸の『御伽草子』『謡曲』などによって一般に知られるようになった。しかし浦島物語の原型は、実は古代の浦島説話に遡ることが出来る。『御伽草子』の「浦島太郎」の源流は、平安時代に成立した『浦島子伝』や『続浦島子伝記』などに求めることができるが、作者不詳でありその成立年代を類推するのは難しい。

 

・しかし『浦島子伝』の内容から見て、基本的なストーリーは奈良時代の『丹後国風土記』逸文と大差なく、「浦島太郎」の物語のベースとなった浦島説話は、日本では8世紀段階までさかのぼることができるのである。

 奈良時代の浦島説話は『丹後国風土記』逸文ばかりでなく、『日本書紀』『万葉集』にも見ることができる。この中でもっとも最古の文献は、『日本書紀』である。

 

<『日本書紀』の浦島説話>

・『日本書紀』雄略天皇22年(4787月条には、丹波国余社郡の管川の人、瑞江浦島子、舟に乗りて釣す。遂に大亀を得たり。便に女に化為る。是に、浦島子、感りて婦にす。相逐ひて海に入る。蓬莱山に到りて、仙衆を歴り観る。語は別巻に在り。

とあり、簡潔に浦島子の説話が記されている。「瑞江浦島子」がどのような人物であったかは明らかではないが、説話の舞台は丹後国余社郡の筒川(現京都府与謝郡伊根町筒川に比定)であるとされている。丹後半島の東側の先端に近いところで、現在も筒川という川が流れていて浦島太郎を祀る浦嶋神社(宇良神社)がある。

 

・説話の内容は、主人公の浦島子が亀に化した女性と結婚して、蓬莱山(常世国)に行ったことが述べられている。ただ、蓬莱山では神仙にめぐり会うということのみ記せられ、浦島子のその後については触れておらず、詳しくは「別巻」を参照せよ、と記しているだけである。この「別巻」については、『丹後国風土記』逸文や「伊予部馬養連記」を指すという説などがあるが、よくわからない。

 

<神仙思想との関係>

・亀は『延喜式』によれば祥瑞の中でも最高位であり、神の化身であるとされている。また長生の秘訣を知る動物であることが『抱朴子』に見える。しかし亀が女性に化すという説話は、浦島説話以外には古代日本では見当たらない。亀が女性に化す例は、中国の魏晋南北朝の志怪小説の『捜神記』や『志怪』などに見られる。亀との異類婚姻譚が日本の他の説話にはほとんど見られないことから、亀が登場することはむしろ大陸的といえる。

 

・蓬莱山とは、中国の遥か東方海上に存在すると言われる蓬莱・方丈・瀛州の三神山中で最も名高い仙境で、そこには仙人が住み不老不死の妙薬があると信じられていた。秦の始皇帝も徐福という方士に命じて、不老不死の仙薬を探しに行かせている。

 

・ただ『日本書紀』は、「蓬莱山」は、「とこよのくに」(=常世国)と訓読している。「常世国」とは『古事記』『日本書紀』などに散見され、これらの史書が成立する以前に存在していた古代日本人の世界観である。そもそもそこは、海原の彼方にある楽土境として理解されていた。「蓬莱山に到りて、仙衆を歴り観る」とあるところから、この説話ではすでに常世国と神仙境が同一のものと考えられていることを示している。「仙衆」とは不老不死の仙人たちを指すものと理解され、亀から変身した女性も「仙女」と考えられ、神仙思想の影響を受けていることが明らかである。すなわち、『日本書紀』に見える浦島説話は、『万葉集』や『丹後国風土記』に見える浦島説話の骨幹をなす物語となっているのである。

 

<物語の特徴>

・『万葉集』の浦島説話は、亀が出てこない点や白髪の老人となって死んでしまう点など、細部については丹後系浦島説話とは異なるところが多い。亀や蓬莱山が登場せず、海神の神の宮や海神の乙女が登場する点は大陸的な神仙思想が後退し、神話的な世界が強調されているともいえるが、全体的なモチーフは『日本書紀』や『丹後国風土記』と同一である。

 

・『日本書紀』では、神仙境に行った浦島子のその後については触れられていない。『日本書紀』には「蓬莱山に到りて、仙衆を歴り観る」とあって、「蓬莱山」という神仙思想の三神山のひとつに代表されている世界に浦島子が行ったとだけあるが、ここではそれは全く見られず、「常世国」に代表される世界が現されている。ただ「常世国」は、海神の乙女と結婚して楽しく暮らす歓楽的な楽土であり、「老いもせず 死にもせずして 永き世に」という不老不死の神仙境でもあった。すなわち記紀では「常世国」が遠方の永遠の世界を表していたのが、ここでは神仙境と同一化している。

 

 

 

 

 

『プレアデス星訪問記』 
上平剛史  たま出版   2009/3


<宇宙太子との再会>
・それは、私が故郷である岩手県に住んでいた16歳のときのことである。

<葉巻型巨大宇宙船へ>
・「葉巻型母船は長さ4キロメートル以上で、太さは一番太いところで、直径78百メートル以上あります」
                     
・「この母船はひとつの都市機能を持っており、ありとあらゆるものが備わっています。生き物のような船であると言っても過言ではないでしょう」

・なんと、これでも中規模程度の母船らしい。10キロメートル、20キロメートル、さらにそれ以上の大きさの地球人類には想像もできないほどの巨大な母船も存在するという。この母船では縦横およそ50メートルおきに道路が設けられ、階層は最も厚いところで4050層になっているそうである。母船の中に公園や山河まであるらしい。この母船で生まれ育ち、一生を過ごす者もいるそうである。

・宇宙人にはそれぞれ母星があるが、母船には母星の都市機能が備わっており、母星の社会がそのまま存在している。母船の惑星としての役目を果たすため母船が故郷となる者もいて、そういった者は、ある意味で、母星で暮らしている人間よりも精神的に進化しているらしい。

・「この母船には我々プレアデス星人だけでなく、様々な星人が協力のために同乗しています。地球人類がグレイと呼んでいる宇宙人もいます。もっともグレイは我々が遺伝子工学、バイオ化学、宇宙科学を駆使して造ったロボットでしたが、今では宇宙や特定の星の調査など、さまざまな分野で活躍しています。他にも爬虫類、鳥類、魚類、昆虫、植物などの生態から進化した人間もいます」

・「この母船は、最大収容能力は5千人ですが、現在は4千人くらいでしょう。ただ、乗せるだけならば、1万人は乗せられるでしょうが、常時生活して長く滞在するとなると5千人が限度です。食料やその他の問題がありますからね。この母船には、ここで生まれた子供たちを教育する係もちゃんといるのですよ。子供達が大きくなれば、母星の学校や他の進んだ星へ留学する場合もあります」

UFO研究家で有名な韮澤潤一郎氏も「微に入り細に入る教訓的宇宙オデッセイであり、近頃には珍しい詳細な本物の体験記であると思う」と記している。

・だれしも、ある時夢での宇宙をさまよったこともあるのだろうが、本書によって、しばし宇宙旅行を楽しまれることをおすすめする。