夜、私は自室で勉強机に向かい、鉛筆で紙にペンギンの絵を描いていた。たくさんのペンギンが縦隊を組んで歩いている様子を遠くから捉えた絵になっていた。紙の端から描き始めて反対側の端に到達したところで数えてみたのだが、ペンギンは百羽を越えていた。
紙の上部に広大な空白が出来ていた。私はそこに太陽を加えようと思い付き、鉛筆で円を描き入れた。しかし、それは満月にしか見えなかった。明るい月夜の氷原を百羽を越えるペンギン達が行進しているのだった。
出来上がった絵を見ながら私はしばらく茫然とさせられた。百羽を越えるペンギンを描くという細かな作業を終えて放心状態に陥っていた。気が付くと既に就寝するべき時刻になっていた。明日も学校があるので夜更かしをしているわけにはいかないと思い、私は椅子から立ち上がってベッドに寝転んだ。
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