昼食後に午睡をしてから目覚めると体が猫になっていた。瞼を開けると見慣れた寝室の天井が視界に入ってきた。一人暮らしなので家には他に住人がいなかった。それに、食料の場所も承知していた。差し当たって喫緊の用事は思い付かなかったので私は悠然とベッドに寝転がっていた。
退屈になったので私は口を小さく開けて声を発してみた。すると、やはり猫の声が出た。しかし、それはなんとなく物悲しいような鳴き声だった。どうも気に入らなかったので私は弾みを着けて楽しそうに鳴くように努めた。すると、どんどんと鳴き声が猫ではなくなっていった。
そして、私は自分が今度は鳥に変身していると気付いた。甲高い声色でさえずっていた。翼を羽ばたかせると体が宙に舞った。ちょうど窓が開いていたので大空を目指して屋外に飛び出した。
続き
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